職場詠10首 と あれから(パンデミックとわたしと)

2020年に「パンデミックとわたしと」という短歌関連の企画の依頼を受けて、僕は短歌作品を載せずに消防士という職業人としてのインタビューを受けて執筆した。
いま街はマスクを外した人が増えて、僕もシーンによってはマスクを外して過ごしている。
経験をすることが無いだろうと思っていたパンデミックを経験してこのまま忘れ去ることが無いように受けたインタビュー記事を自分のnote記事にも残しておこうと思います。
企画とインタビューいただいた、とみいえひろこさんと牛隆佑さんに改めてお礼を申し上げます。

下記に前編と後編のリンクを貼っておきます。
何首かこれまで詠んだ職場詠も載せておきます。

職場詠10首選 雨虎俊寛
空気ボンベのバルブ開けば導管が生体のごとぐうんと撓(しな)る

交差点進入のとき助手席のベタ踏みモーターサイレンが啼く

「燃えている家は他人の家だから」キャビンで我ら嘯きながら

薄雪はまだ踏まれずに側道の消火栓の蓋ここにあるはず

水圧をあげてゆくとき放水のしぶきに虹は架かってしまう

残圧は10MPa(メガパスカル) 面体の中は自分の呼気がうるさい

その人にかけられていた毛布から灯油反応測定されて

ためらって消されたようなマッチ棒コーンの缶に12本あり

キープアウトテープ貼られた内側のポンプ車はまだ水をこぼして

ポンプ車が遠のくときに告げてゆく鎮火したぞと二打の警鐘

近々、「自選30首+1首」の第5弾をするかもしれません。