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「作家は経験したことしか書けない」というトピック、火種は僕でした~『存在しない敵』を作ってしまった話~

Twitterに『作家には経験したことしか書けない』という手垢にまみれた言説への反論や「え? ということは、ラブコメ作家である僕ってばモテモテ?」的な大喜利があふれかえっている。

8月15日は火が燃え広がり、Twitterトレンドに「#漫画家は自分が体験したことしか描けない」というハッシュタグが乗るなどしています。

……。

すみません、発端は僕です……!!

別にムーブメントを作ってやったぜという話ではまったくなくて、『何の気無しにやった宣伝ツイートが飛び火を重ねて存在しないパブリックエネミーになる様をなすすべなく眺めてた』という話です。

この記事では、この大火事?が起きてTwitter上のみんなが「存在してもいない見えない敵を生み、それと戦うことになった経緯」を火種の僕から見た観測範囲でまとめてみようと思います。

なお、文末に非常に重要な事実が書いてあります

大まかな流れは、こう。

①Twitterでの宣伝の一環としての一連のツイートだった

8月に発売の新刊があるので、Twitterにて『蛙田アメコが作家だと知っていてフォローしてくださるフォロワーさんをふやそう』施策を実施。

・なるべく深夜帯に
・ふわっとした創作論と
・メシテロをする

というシンプルなものだ。50~500いいね♡をコンスタントに稼ぎ、フォロワーが100人増えればいいなと。いわゆる、読書の習慣があり、創作に興味があるクラスタを対象にしたもの。

これが例の8月新刊。8月31日発売です、ぜひ買ってください。ちなみに私はドラゴンも最強も子育ても経験がありませんが、死ぬほど可愛い作品です。
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②上記①の施策のうち3日目にコトが起きる



このツイートをしたのが、8月12日の夜10時30分。

見ての通り、「まぁ、こういうこと言う人いたり、古典的な議論のトピックだけど、ちょっと『えー』って感じだよね」というだけの内容で、『作家には経験したことしか書けない』という主張はいっさいナシ。

過去に作成したnoteの記事も乗っけており、論の展開を丁寧に追うならこちらってかんじだ。

最初はこのツイートを見た、フォロワー周辺の人たちがやいのやいの言っていた。ちょっとツイートは伸びて、ちょっとフォロワーもふえた。ここまでは、まぁ想定通り。

その20分後、「タマゾンに生息するアマラ」先生というラノベ作家がこういうtweetでバズった。

この時点で、「作家は体験したものしか書けない」に反論する作家諸君」というものの存在が認知されるようになる。それと同時に、

「作家は体験したものしか書けない」という主張をした愚か者の存在が、虚数時空に発生した。

つまり、存在してもいない『作家には経験したことしか書けない』論者がいることを想定とした反論、茶化し、大喜利ツイートが加速度的に増える。

ツイートというのは、「マジメっぽい導入」+「ふざけたオチ」という構成をとるとバズりやすいので、まぁこのツイートを見た瞬間にバズるんだろうなとは思った。

問題は、このツイートのインプレッションがすごいことになった段階で、火種であるアメコのツイートが見えなくなったことだ。ちなみに、アマラ氏とはまったくもって接点がない。

この後に爆発的に、

・なんかすげぇ怒ったテンションの人
・冷笑的に「馬鹿がまた何か言ったらしいな」というスタンスを取る人
・大喜利をする人

などがTwitterで散見されるようになった。その敵は存在していないぞ。

③めちゃくちゃ燃え広がる

ことの発端がわからない「存在しない敵」と「伝言ゲーム」とが広がった結果、綾辻行人先生ほか業界大御所まで話題が飛び火する。

この時点で「やっちゃったwwww」と大笑いすることになる。

ちなみに、今回の騒動で一番うれしかったのは、『GS美神』や『絶対可憐チルドレン』の椎名高志先生が今回のツイートの発端と、前述の過去のnoteの記事をご覧になってくださってワザワザ紹介してくださったことです。

椎名先生ありがとうございます、一生ついていきます。

④パリ(Twitter)は燃えているぞ

この後、8月15日に至っては話が漫画業界にまで広がり、ハッシュタグでみんなが大喜利をしてくれている。

蛙田アメコという零細ラノベ作家の、しかも「なんてことない連投ツイート」が発端だと思っている人はもういないだろう。

自分の発言がバズらず、周辺がワーーッと話しを広げたことで「存在しない敵」を作り上げてしまった経緯は以上だ。

……。

………さて、ここで重大な事実を話しておきたい。

もともとは蛙田アメコ名義で8月に発売される、孤独に生きてきた最強のドラゴンがめちゃ可愛い人間の娘を拾うことで始まるハートフル家族ファンタジー小説のプロモーションというか、作家としてのフォロワー増加の施策としてはじめたツイート活動だったわけだけれど。

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「パパ、だいすき!」

人間達から崇められていたドラゴンは、突如現れた人間の子供からパパと呼ばれ困り果てていた。色々と考えた結果、近場の村にいた実の父親に子供を帰そうとするのだが、あまりのクズさに自ら育てることを決意する。実の娘の様に可愛がりながら、すくすくと育っていく彼女の元に人間の学校から入学通知が届いて……。

発売日
2020年08月31日
価格
1,000円 (税別)
サイズ
B6
ISBN
9784867160497

つまりは、「深夜の連投ツイートによる販促」は効果が薄いということに……くそうぅ、くそぅううぅ(涙)
※フォロワーさんはちょっと増えた。

おわりに

個人的には、自分の宣伝効果がイマイチだったことを除けば、活発な議論が行われていて、みんなが大喜利を楽しんでいてよかったなとおもいました。

個人的にはみんなが一つの話題についてワイワイしているのを見るのが好きなので、とても楽しかったです。

また、今回「存在しない敵」の発生を始めから終わりまで観察していた経緯から、

・書き出しの大切さ
(発端tweetの一行目だけに反応・引用しての空リプが火種を大きくした)

・あるあるっぽい話はパイが広い
(ガバガバっぽい理論も話題になりやすい)

・『反論する人』が人々に認知されることで『もとは存在していなかった敵』が虚空に発生する。

伝言ゲーム怖い

という知見をえました。

今後は小説を書く際は、今まで以上に1行目入魂!!の精神でいきます。

また、3番目なんかは、敵キャラや敵組織の造形に『スライド』させることができそうなので、大きな収穫だったと思います。創作に使っていきたいです。

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