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2ヶ月に1度のparty。


美容院が苦手だ。

人見知りで美容師さんと上手く話せない。
鏡に映る自分と嫌でも対峙しないといけない時間がしんどい。
話してる自分の口調や表情が目について気が逸れる。嫌な所ばかり目につく。
美容院で販売してる商品のPRの圧が辛い。

上手く話せないから雑誌を手にすると集中して活字を追ってしまう。
とたんに無口な客認定されるのを感じる。
だからカットの要望やシャンプーの時、帰り際は極力丁寧に、穏やかに、礼儀正しく振る舞うようにしている。
せめて無愛想な扱いずらい客になるのは避けたい。

今日もそんな風に考えながら美容院で時が過ぎるのを待っていたら担当の美容師さんが私がカラーを置いてる間他のお客さんと話している声がうっすら聞こえてくる。
何となく、自分の事を話してるような気がしてくる。多分気のせい。
でも私がお店のシャンプーの説明聞いているのを後ろで椅子に座って待っていた人だと思われる。
「愛想がない」「本人は普通に過ごしてる」そんなワードが聞こえる。
何となく担当美容師さんが私をフォローしている感も伝わる。仮定だけど。
いやいや、気にしすぎ。私の悪口そんな同じ空間で言うか?言わないだろ。
昔はいたなー。何にも危害加えてないのにいきなり威嚇してきた同級生。あれ、何だったんだろ。

まあ今は私の自意識過剰ってやつだね〜


ってか仮に言われた所で「なるほど、それで?」って話で気を遣ってエネルギー消費してる私にこれ以上求められても困る。
愛想がない?愛想振りまきたくないんじゃなくて髪をまともにしてほしくて来てるんです!!!!
これでも必死に会話してるんですコミュ障が!!

ただもしこれが本当に私のことだったなら他人の目にはそう映るのか。そうかそうか。自分の事は意外と自分じゃ気付けない。

美容師さんも大変だ。資格とって数多の客を相手にして沢山のことを覚えて。
私にできない事をしている。素晴らしい。
シャンプー売るのも仕事だもんなあ。商売だもんなあ。シャンプーちょうど買わなきゃだしシャンプーは説明聞く限りかなり良さそうだし頑張って買うか…
いや、自分の状況考えろ。5千円越えのシャンプーなんて私には手が出せない。明日からもやし生活になる。

あそこの窓から見える木は桜の木かなあ。
だったらいいなあ。次来る時咲いてたら…いや終わってるか。

シャンプーが始まる。
あ、ちょっと耳に水が、シャンプーが、か、痒い。まあ我慢するかこの程度。
買うかなあシャンプー…でも二度洗いってパンフレットに書いてあったな…だる…。
てか今日この後どうしよそういや何も考えてなかった。支払いして、ドラッグストア寄るか…いや明日でいいか…
ごはんと味噌汁はあるしチョコもあるし、いや本屋も行きたいなー

頭の中でお喋りは止まらない。勢いは止まらない。美容院で過ごす時間ほど考え事が捗る時はない。
2時間近く1人で会話してる。怖い。

人は当然ながら家に1人でいたところで映画や本に触れることはできても
外に出て人と接しないと前に進めない。
人と接して交わる事でしか変化しない。成長しない。

美容院に行くたびに昔読んだ小説に書いてあったそんな風な言葉を思い出す。

帰り際、エレベーターが閉まるまで笑顔で担当美容師さんにお辞儀している自分が何だか不思議になる。
せっかく傘を買ったのに建物を出ると雨はすっかり止んでいた。

はあ、本当に疲れる。

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