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路傍の花

車の往来を
イヤホンで見ないようにして
ただ歩みを進める
すると路傍から
楽しげな笑い声
ふと目をやれば
満開の笑顔が
揺れていた
あまりに鮮やかな彼女らに
私の日常はモノクロだったのかと思う。

車の往来に
急かされて
2、3歩行き過ぎるも
流れに逆らい
時間を止めて
彼女らを被写体に。
こちらの視線など
気にすることなく
彼女らは歌う

色には
質感と味わいもあることを
脳が知る。

すると空から
チャイムの音色

瞬間
それがあの日の引き出しを開け
花の蜜が口にひろがる

ほんのひととき
モノクロで無機質な日常に
あの頃の絵の具が色を塗る。

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