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そのひとことの瞬間

言葉ってすごいな
そう思わされることは
今まで幾度となくあった

「忘れられないひとこと」は
生きていく時間を重ねるたびに
わたしの中に書き記されていく

それは思い出すだけで
思わず感極まりそうになる
そんな優しい言葉で埋め尽くされ...
というわけではないのが
言葉の怖いところだと思う

何気ないひとこと
相手にとってはそうだったかもしれない
けれどわたしにとっては
もう一生治らない傷あとに
なってしまった言葉もある

言葉は人を救うこともできれば
その逆になることもある
表裏一体
だからこそ尊くて
美しいものなんだと思う

「よく頑張ったね」

数日前、そのひとことを
看護師さんからもらったとき
本当に久しぶりに
涙が込み上げてきた

そのひとことの瞬間
凍っていた心が
じわじわと溶けていくようだった
わたしは子どものように泣いた

「頑張ってるね」
ではなく、
「頑張ったね」

そのひとことが多分
ずっと欲しかったんだと思う

そうだよわたし
頑張ったんだよ
頑張ってここまで来たんだよ

そんな気持ちが涙と共に
ぐわっと込み上げてきた


数日経った今振り返ると
あの瞬間はひとつ
何かが変わり始めたきっかけに
なったような気がする

「なんだか色々あったけど
 まあよく頑張ったよね」

自分にそう言ってあげられるようになって
ずいぶんと心は軽くなった

言葉ってすごい
それは魔法でもなんでもなくて
人と人を繋ぐもの
人とその人の心を繋ぐもの
その人の人生を紡ぐもの
かけがえのない美しいもの
そんな気がする

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