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来年の夏へのバトン【BaseBallBear】

思い返せば、私は夏だからといって特別ワクワクするような人ではなかった。
夏といえば、いろんなイベントが目白押しだけど、最後に花火大会に行ったのはいつだったけな。浴衣は風情があって好きだけど、そういえば当分着てない。
プールも海も長らく行ってない。海を眺めに行くことはあるけど、泳いだりなんかはしてない。
夏フェスも2・3年前の森、道、市場。を最後に行ったっきり。

いつもなんとなく、眩しい太陽に目を細めて、麦わら帽子をかぶった子供達の走る姿を横目に、熱を帯びたアスファルトを避けるように、私はクーラーの効いた家へと逃げ込む。
うるさいセミの音をかき消すように音楽を再生。
そしてそのままネットの海へと飛び込む。
そんなインドア生活に拍車がかかるのが、私のいつもの夏。

今年ももちろんそんな夏。
昨年、友人と森、道、市場。のフェスに行く予定だったが、この状況下中止になった。
今年は開催されることになったけど、
昨年の中止の報せがあって「次こそ行こうね」なんて約束をしたけど、
お互い遠方に住む同士。「行く?どうする??」なんて会話をすることもなく、フェスの予定を立てるまでもなく、私は静かに今年もフェスに行かない選択をした。


そしてインターネットの海には、いろんなイベントの開催中止や延期の言葉が羅列していた。
みんなのどこにもぶつけようのない感情が渦巻いていて、
どこかに行く予定がなかった私でさえも気持ちが落ち込んだ。

セミがうるさくって、うだるような暑さなのは変わらないけど、
近所の子供達の笑い声が聞こえてこない、今年はそんな異様な夏だった。


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9月8日、私にとって"夏のバンド"代表格のBase Ball Bearのライブに行ってきました。
夏のバンドは何かと問われれば、私は真っ先に、「Base Ball Bear」を挙げます。
それほどまでに、夏の印象が強いベボベ。
そして、今回行ったツアータイトルが、「LIVE IN LIVE (夏)」
セトリが予想できそうなツアータイトルですが、なにせベボベは夏の曲が多すぎて、夏の曲全部やるとしたら、明らかに時間足りないぞ…!?ということになる恐ろしいバンドです。笑


『senkou_hanabi』
ギターの軽やかなメロディと、こいちゃんの柔らかい歌声でベボベのライブが始まります。


この曲に限らず、ベボベの夏の曲は特に爽やかで甘酸っぱくて水色。
関根嬢のコーラスも相まって、夏の瓶ラムネみたいな、キラキラ感があるのです。

彼らの演奏で、目の前のステージは、太陽に照らされて乱反射してるみたいにキラキラ光って見えました。
ベボベが、この会場に、夏を連れてきたんだな、なんて思いました。


そのキラキラをまとったまま、『SUMMER ANTHEM』で夏の太陽を、『BREEEEZE GIRL』で爽やかな風を届けてくれました。
今まで見てきた夏の情景がフラッシュバックするように、ステージに繰り広げられます。


完全に3人体制へと移行したベボベのライブは、配信で何度か見てきましたが、
ワンマンライブで3人編成を見るのは実は初めてでした。
4人体制時代の曲に対して、どこか物足りなさを以前感じていましたが、今回のライブでは全くそんな風に感じませんでした。
というか、昔物足りないって感じてた時もあったっけ?と思うほど。
どの曲も、完全に3人で完成している音楽に成っていました。
ライブ中は全く違和感がなかったので、そんなこと過ぎりもしなかったけど、
後々考えると、「もともと4人編成の曲を3人編成で違和感なく演奏するって、とんでもないことじゃん…」と思い、震えましたね。笑

初めはサポートギターを入れてのライブをやっていたベボベですが、
完全に3人での演奏へとシフトしてからは、楽曲自体をアレンジして3人で演奏を行なっています。
過去の曲を、今に落とし込んで演奏してくれることで、
過去の楽曲が今のベボベを体現してくれる音楽に感じ取れて、
ライブでそれらの楽曲が聞けるたびに、懐かしくも嬉しい気持ちになりました。

そして、驚くことに、『Transfer Girl』のサビで、
聞こえるはずのないギターの音が私の頭の中で鳴り響きました。

これは決して、物足りなさとかそういう話ではなく、
私の頭の中に、ギターのメロディーが鮮明に残っているという証拠だな、と思いましたし、私自身とってもびっくりしました。
ベボベに自分の青春を重ねる人が何人かいて、この音色が記憶にある学生時代とっても羨ましいなぁ、と思っていましたが、
「私にもベボベの曲が、あのギターとベースとドラムの4つの音色達が、私の記憶にもちゃんと色濃く存在してたんだ…!!」と思えて、
なんだか勝手に嬉しくなりました。


そしてそこからまだまだ”3人が奏でる夏"は続きます。

ドラムのリズムから始まる、青春の1ページを切り取ったような『short hair』
『Transfer Girl』が演奏された時点で、これも来るかな…!!と期待していた、こいちゃんの強烈なカッティングが印象的な『転校生』
(この曲もすごく好きなので、個人的にボルテージがぐんっと跳ね上がりました。)
そして、6月に発表された『プールサイダー』

曲名を見たとき、[Pool cider]だと思っていたんですが、[Pool sider]の意でタイトルをつけたとのこと。

こういう言葉遊びというか、曲名1つをとってもいろんな意味を持たせてくれる言葉選びが本当に秀逸ですよね。

ドラムに先導されリズムを刻むように奏でられるギター・ベースのメロディ、フレーズ終わりのギターが刻むメロディを聞いて、サビがこんなに軽やかなメロディだと想像ができず、初めて聞いたときにびっくりしたのを覚えてます。
それにしてもベボベが奏でる夏って、どうしてこんなにも鮮明に情景が思い浮かぶのでしょうか。
光が水面に乱反射して、少しの飛沫(しぶき)がプールから飛び出て、それがきらきら光るひかりのシャワーのように見える、そんな一瞬の光景がパッと浮かぶ、そんな曲だなぁと思いました。
それでいて、[青い、甘酸っぱい]というよりは、[どこか淡い色の乾いた思い出]そんな印象を受けました。
それこそまさに、
主役ではなく、側から見ている見学者=[Pool sider]が創り上げた印象なのかな、とも思い、自分が感じたその感覚に妙に納得しました。笑


そしてそのまま『海になりたい part.2』へ。
こちらもすごく好きな曲。
Cメロ、間奏後の3人の演奏がライブverのアレンジでとにかくかっこいいのです!
3人の演奏をガツンと魅せられ、会場のボルテージは最高潮へ。

そしてその熱を更に焚き上げるように始まった『CRAZY FOR YOUの季節』
他の曲ももちろんそうなんですが、ドラムが曲の高揚感を引っ張っていってる感じがしていいんですよね〜
堀くんのドラム姿もとっても楽しそうで、見てるこっちまで笑顔になるというマジック。笑
この曲は、こいちゃんと関根嬢のハモリも多くて、二人の声のバランスがいい味を出してるなぁ〜と感じる一曲。


そして、本編ラスト。
夏の締めくくりの曲は、夏がスタートする『ドラマチック』

周りの環境や状況が変われば、曲の印象も変わってくる、というのは常々あることですが、まさに、この曲もまさにそれを体現している曲です

永遠に続きそうで 一瞬のワンサマー

数年前まで、夏っていうのは、いろんなイベントが目白押しで、うだるような暑さの中、いろんな歓声や楽しそうな笑顔がいろんなところで溢れているものだと思っていましたし、そう信じて疑いませんでした。
うだるような暑さの中、毎日マスクをつけて、外出を規制させられ、人と笑あう姿がほとんど見られなくなる、そんな夏を一体誰が予想したでしょうか。

本当に、あの夏は、永遠じゃなかったんだなぁ、と痛感しました。
そして、こいちゃんが言った「来年はいい夏にしましょう!」という言葉。
ベボベが連れてきてくれた夏を満喫して、なんだか少しだけ来年が楽しみになりました。
来年は青空の下、うだるような暑さの下、太陽に照らされながら、この夏たちを聞けたらいいなぁ〜なんて思いも浮かんできました。
失ったものばかり数えてちゃダメだなぁ、と、ベボベの曲が、この会場の空気が、私に少し先の明るい未来を想像させてくれました。


配信はここで終了でしたが、ここからアンコールが続きます。

もうすでに発表となりましたが、アルバムリリースの発表と、その新曲がお披露目されました。
4人から3人になっても変わらず進んでいくベボベの姿を目の当たりにして、なんだかとっても心強いなぁと感じたのが正直なところ。

そして、アンコール2曲目。
本当の夏の終わりは『祭りのあと』

新曲発表の後で、初期のこの曲を持ってくるのはずるいなぁ〜と思いながら、そして何より、楽しい!という強い思いを抱きながら、
本当に"お祭り"みたいな高揚感のままライブは終わりを迎えました。



ベボベが夏を連れてきて、かっさらっていった、そんなライブでした。
ドリンク交換したメロンソーダを飲み干して、
花火大会の屋台で並んでそうな物販のパッチンバンドを腕にしたまま、
私はライブハウスを後にしました。
9月8日は雨が降っていて、少しジメッとした蒸し暑さでしたが、
このライブがそんな暑さをまるっと吸い込んでしまったかのように、
帰り道は半袖だと少し肌寒いくらいの秋でした。


私にとっての"夏のバンド"代表格のBase Ball Bearは、やっぱり期待通り、こんな灰色の夏でさえも彩ってくれるバンドだと実感しました。
来年の夏は青空の下でベボベの曲を聴きたいなぁ〜

来年はみんなが笑顔あふれる夏になりますように。
夏嫌いで引きこもりの私も、来年の夏のために!晴天の下音楽を聴き続けられるように!頑張って体力をつけようと思いました…!!笑



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ちなみにこちらが可愛いパッチンバンド。
頑なにラババンを作らないベボベ。
パッチンバンドも可愛いのでむしろアリ。笑

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ちょっと個人的なお話。
実は職場で欠員が出てしまい、仕事量が倍に増えててんやわんやの毎日を送っています。
最近、体調不良の人も多い気がするので、なんだかすぐ近くまで脅威が迫ってるのかな、、と思ってしまいますね。。

と、マイナスなことは置いておいて。
10月はライブの予定を入れていなかったのですが、親から「チケットが手に入った!」との知らせが届き、半強制的にライブに行くことになりました。笑
なんのライブかはとりあえず伏せますが、レポはおそらく書きます。
お楽しみに。( ´ ▽ ` )

ライブの日までに予習しとかないとなぁ〜と思い、親にオススメ曲を聞いたところ、曲だけじゃなくてYoutubeに上がってる動画まで勧められたので、しっかり予習しておきます。笑
それにしても、この好きなものに対する熱の入りっぷりがすごく親子だなぁ、と…。笑



きいろ。

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