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【#MTGVR】「神河の世界観に入り込む体験を届けたい」 ウィザーズ西岡氏とambr西村が語る企画に込めた想い

ambr 採用広報担当のアシュトンです。

いよいよ本日から開催がスタートした「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展~総勢83名のアーティストたちが描く『神河:輝ける世界』~」。世界的な人気を誇るトレーディング・カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング(以下「マジック」)」初のメタバースでのアート展である本展には、弊社ambrのメタバース構築プロダクト「xambr(クロスアンバー)」が採用されています。

今回はそんな本展を企画・開発した弊社ambr代表取締役CEOの西村と、本展の発案・担当者であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト 日本法人(以下、ウィザーズ)、e スポーツコミュニティマネージャーの西岡氏の2名を招いた対談インタビュー!

本展企画の経緯や開発に込めた想い、これから足を運ぶファンへのメッセージなど、本展をより深く楽しめる企画・開発の裏話を伺ってきました。ぜひ最後までご覧ください!

※本インタビューは Red Bull Gaming Spere Tokyoで実施しました。

Takuya Nishimura / 西村 拓也
株式会社ambr 代表取締役CEO兼Producer。東京大学法学部卒業後、株式会社インスパイアにて、プライベートエクイティファンド運営・大企業における新規事業開発プロジェクト等の業務に従事。その後外資系AIベンチャー、国内エンタメテックベンチャーの取締役を経て、株式会社ambrを創業。『TOKYO GAME SHOW VR 2021』のVRアプリではプロデューサーを担当。

Hidetomo Nishioka / 西岡 英智
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト 日本法人、e スポーツコミュニティマネージャー。主にMTGアリーナのマーケティングとそのeスポーツ展開を担当。Twitterアカウント(@WotC_Hide)。

企画発足は昨年後半 コロナ禍におけるブランドとファンの懸け橋に

──本日はリリース前のお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。まずは、今回のプロジェクト「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」について簡単に概要を教えてください。

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▲対談インタビューに応じる両氏(左:ambr CEO西村 右:ウィザーズ e スポーツコミュニティマネージャー西岡氏)

ウィザーズ西岡:
よろしくお願いいたします。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト 日本法人、e スポーツコミュニティマネージャーの西岡です。主にMTGアリーナのマーケティングとそのeスポーツ展開を担当しています。まず、弊社はアメリカに本社を持つゲームクリエイティブカンパニーです。

今回はその中でも弊社の展開する元祖戦略トレーディング・カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング(以下「マジック」)」における新セット「神河:輝ける世界」プロモーションの一環として、メタバースを活用したアート展「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展~総勢83名のアーティストたちが描く『神河:輝ける世界』~」を実施する運びとなりました。

開催期間は同セットの発売日である2月18日から、2月24日までの約1週間。Meta Quest 2 (Oculus Quest 2), Oculus Link (Quest 2), Oculus Rift / Rift S, HTC Vive / Vive Pro 1&2などのVR環境および、Windows PCでのデスクトップ環境に対応しており、入場は無料となっております。

ambr西村:
そうですね。内容としては、特にマジックの「アート」にフォーカスし、神河の世界観をもとに制作した仮想空間を舞台に、『北斗の拳』の漫画家である原哲夫氏や、コジマプロダクションのアートディレクター・新川洋司氏、イラストレーター・寺田克也氏などを含め総勢83名のアーティストによるカードアートを展示します。

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▲2月18日~24日まで開催となる
「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」

──ありがとうございます。今回、マジックの世界を仮想空間・VRにて実現しようとなった経緯やプロジェクト発足の思いなどについて西岡さんよりお伺いしたいです。

ウィザーズ西岡:
まず、コロナ禍というのは良い意味でも悪い意味でも影響が大きかったです。コロナ禍の巣ごもり需要で、トレーディングカードゲームはより多くの方に遊ばれるようになりました。 一方で、コロナ禍で分断されてしまったカードショップを中心としたコミュニティをどう紡ぎ直すか?どうやってファンとの関係性をつくっていくのか?という課題がありました。

この新セット『神河:輝ける世界』の企画の検討は昨年の後半でした。新型コロナウイルスの情勢が目まぐるしく変わる中で、リアルな場ではなく、デジタルでのマーケティングを検討していました。そうした中で、もともとVRなどxR領域にも興味がありTGSVR2021をいちユーザーとして体験して、「メタバース空間がブランドとファンの架け橋になれる時がきたな」と感じました。ただ話題作りのために新しいことをやるということではなく、今であればきちんと新しい体験価値として届けられるタイミングになったんだと。

今回、「神河」はサイバーパンクな世界観だったこともあり、メタバースのようなSFな世界観とは相性が良かった。そういった点も複合的に考慮し、仮想空間での開催というのがベストなのではないかと辿り着きました。

02Towashi概観

▲サイバーパンクな世界観とメタバースの持つSFらしさが上手くマッチした(画像:本展会場概観)

ambr西村:
TGSVR2021での体験がひとつのきっかけになったんですね。ありがたいです。そこから実際に弊社にファーストコンタクトがあったのが10月4日だったので、ちょうどTGSVR2021が終わった直後くらいのことでした。

ambrとしては、本当にいまメタバースの活用というのはありがたいことに様々なお声がかかるんです。その中でも私たちとしては、ブランドやIPなどファンを抱えるパブリッシャーと組んで、ユーザーへ新しい体験を届ける、ユーザーとブランドを新しい形で繋げるという部分に注力したいと考えています。

私自身、マジックをはじめカードゲーム自体がもともと好きだったということもあり、「ぜひやりたい」と問い合わせいただいてすぐにご返信した記憶があります。

ウィザーズ西岡:
ありがとうございます。弊社としては当然、複数の候補様にヒアリングして評価をした流れではありました。その中でも弊社がambrさんへ惹かれた部分というのは、企画の部分でした。例えば技術的にもっとすごいことができる企業というのは世界を探せばあるとは思うんです。しかし、プレイヤー・受け手として「良い体験」になっているかというのは、技術力とは別の企画力の部分です。

TGSVR2021を実際に体験した際、本当に多くのIPブランドを預かっていて、様々な制約などもあるなか、それぞれの出展企業のコンテンツ最大限に活かしながら、インタラクティブな形で展示できていたという点には素直に優れたディレクション力があるなと感じました。今回は、コアなマジックファンを楽しませる濃い体験を届けたいと思っていたので、特にマッチするなと考えました。

「設定資料集を読んでいるだけで楽しくて」 バーチャル・アート展への経緯

──実際に、ambrと一緒に今回のバーチャル・アート展を創り上げてきたプロセスを振り返っていきたいと思います。まず、企画の部分ですが、最初からこの「バーチャル・アート展」というコンセプトは決まっていたのでしょうか?

ウィザーズ西岡:
最初は「ambrさんと、仮想空間を活用して何ができるのか」というところからのスタートです。決まっていたのは「バーチャルイベント×マジック」という部分だけで、コンセプト作りから協働してきました。

ambr西村:
そうですね。あとは「神河」の新作発表という点は決まっていたのですが、本当にそこからです。まず、どういう切り口にするかという部分から練っていきました。

ウィザーズ西岡:
最初は、神河の世界観を広いマップで再現しようという案もあったんです。ただ、マジックはカードゲームなので、2Dのアートはたくさんあったのですが、3Dモデルは持ち合わせていなかった。そこを一から大量に作るとなると、ライセンスや監修などの観点からスケジュール的に現実的ではなかった。そこで、マップを散策するのではなくコンテンツを充実させたいという話になりました。

ambr西村:
最初に「神河」についてヒアリングした際に、特徴として著名な方を含め、かなりの規模の日本人アーティストが携わってカードアートを制作されていると聞きました。また、様々な資料を拝見するなかで、とにかく世界観設定・アートにものすごく力を注いでいるという感想を抱きました。

もう設定資料集を読んでいるだけで楽しくて。このアートを主人公にしよう、そしてこれをVRという技術を使って、どう新しい体験にできるのかと具体化していきました。

エリアD「革新」

▲街道に並ぶアート群。ひとつひとつのアートを実際に目の前に引き寄せて鑑賞できる(画像:エリアD)

ウィザーズ西岡:
その部分は御社のCXO・クリエイティブディレクターの番匠カンナさんの意見なども強かったんでしょうか?

▲弊社CXO 番匠カンナ氏へのインタビュー記事はこちら!

ambr西村:
それもあります。私の中でも初期のころから「アートをフィーチャーしたい」という思いはあったのですが、「クリーチャーの召喚もしたい」など他の要素と並行して考えていました。ただ、意見交換をする中で、カンナさんが「アートを中心にしましょう」とまとめてくださったんです。

ウィザーズ西岡:
なるほど。確かに、召喚をメインとしてしまうとインパクトの強い演出にはなりそうですが、コアファンに向けた分厚さのあるコンテンツにはなりにくかったかもしれません。アートを中心にというコンセプトは結果としても非常に良かったですよね。私自身もアート展は月1ぐらいで行く趣味なのでVRでアート展をアップデートするとしたらどうなるのか?はこのコロナ禍で個人的にも取り組みたいテーマでした。

──ちなみに、アート展のような取り組みはこれまでリアル等も含めるとあったのでしょうか?

ウィザーズ西岡:
そうですね。直近だと、2018年に25周年を記念した展示「25th Anniversary マジック:ザ・ギャザリング展」を新宿・ルミネゼロにて開催しておりました。当時は私の担当ではなかったので、詳細までは把握していないのですが、かなりユーザーからの反響も良かったようです。そうした事例もあり、「バーチャル・アート展」というコンセプトは社内的な理解も得られやすかったですね。

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▲2018年実施のアート展。25周年を記念し当時多くのファンを惹きつけた(引用:https://mtg-jp.com/reading/kochima/0031016/

ゼロイチ開発でカスタマイズできるからこそ「マジック」の世界観を大切に

──なるほど。過去事例もあったからスムーズにできたという経緯もあったんですね。とはいえ、VRでのマーケティング施策はまだ実例も少ないかと思います。特に大変だった部分などについてお話しできる範囲でお聞きしたいです。

ウィザーズ西岡:
やはり、社内の理解という点で苦労しました。ゲーム業界ということもあり、VR領域に関して関心がないわけではないんです。当然、「面白そう」「検討・研究する余地はある」というスタンスが多かったのですが、実際にQuest 2を持ってるなど体験している人というのはほぼゼロに近い状態でした。本当に初めのころは、反対はないけど、一緒になってやりたい人は少数という状況でした。

ambr西村:
VRの最大の弱点は、体験しないと分からないものが明らかにあるという点ですよね。体験すると面白い!となるし、そこに熱量が生まれてくる。ambrチームが客観的に見ても熱量の高いチームであるというのは、それも影響しています。ただ、この熱量をVR体験したことがない人に伝播させていくのはかなり骨の折れることです。言語化できない魅力や熱量をどう伝えていくかというのは常に意識していますし、簡単なことじゃないです。

ウィザーズ西岡:
体験しないと分からないという中でも、今回はソーシャル上でTGS VRの体験動画が多く上がってましたしアートを中心にするというコンセプト提案をいただいてからは具体的なイメージをVR体験の有無に関わらず社内チームで持てました。

今後はカジュアルで面白そうなメタバース・仮想空間が、デスクトップやモバイルだけでも行けるというようなハードルの今回は多く生まれてくると思います。

今回のMTGVRもそうしたメタバースでの可能性みたいなものが伝わるプロジェクトの一つになっています。みんなVRデバイスを持って遊んでほしいし、体験もしてほしいというのは一コアゲーマーとしても強く思います。

ambr西村:
本当にそうですね。そのためにも最高の仮想空間を届け続けていきたいというのが弊社の目標です。

また、今回のプロジェクトで大変だったことというと、弊社としては短期間かつ、アメリカ本社とのコミュニケーションなど不確実性の多いなかで、どう組み立てていくかが大きな課題でした。

前回のTGSVR2021に関しては、様々なIPホルダーが関わっていたので、各出展エリアに関してはレギュレーションは厳しかったのですが、逆に言えばそれ以外の部分、例えばアバターデザインやUI画面、展示以外のスペースなどに関しては実は自由度が高かったんです。ただ、今回はすべてウィザーズさんと、マジックのIPを預かって創り上げていくプロジェクトです。本当に細かい部分まで含めて「こういうことやってもいいんだっけ」「この見せ方で良いんだっけ」という部分を慎重に確認しながら進めていきました。

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▲開発の上で苦労した点を語る西村。単一IPとのコラボだからこそ、これまで以上にIPホルダーとの密なコミュニケーションが重要となった。

ウィザーズ西岡:
1社のIPの世界にカスタマイズできるからこその部分ですよね。弊社のブランドイメージやアセットの利用に関してはもちろんのこと、「マジックプレイヤーならこうしてほしいよね」「こうしてくれると嬉しいよね」という部分も含めて様々なご提案をさせていただきました。聞くところによると、御社にもマジックのプレイヤーがいらっしゃったとか。

ambr西村:
そうですね。もちろん、もともとマジックを遊んでいた人もいましたし、今回のプロジェクトを通してファンになったという人もいます。御社からいただいていた記事やカードは勉強しましたし、関連雑誌なども見つけたら買って集めていました。中でも特にプランナーの櫻井やディレクターの金山は、プロジェクト期間中にもMTGアリーナのアプリをかなりプレイしていて、ランクをあげていたと聞いています。IPを預かるにあたって、そうした作品理解の部分は絶対に必要なので、マジックへの理解はチーム一丸となって深めていきました。

ウィザーズ西岡:
そういっていただけると嬉しいです。今回は発注もコンセプト作りを含めてということだったので、そうしたリサーチの量と質は大変重要だと思います。それがあったからこそ、良いコンセプトができたし、細かいディティールの部分もガイドライン化されてないところを含めて、大事にしないといけないポイントというのが押さえられていました。大切にする価値観の共通認識を作れていたからこそ、ボトムアップの提案も含め芯を食っているものになったのではないかと思います。

ambr西村:
今回、もちろん私たちもマジックを勉強しながら進めていたのですが、コアなファン目線という点では御社よりご紹介いただいたフリーランス翻訳者の若月繭子さんのご協力も大きかったです。彼女にチームに入ってもらい、一緒に考えて進めたからこそ本当にマジックに詳しいユーザーから見て違和感のない制作が進められたのかなと思います。

ウィザーズ西岡:
そうですね。若月さんはフリーランスでマジックに関する記事を執筆されたり翻訳を担当されたりしています。今回も主に翻訳やテキストの部分でご紹介させていただいたのですが、それ以外の部分でもファン目線の意見が提供できていたんですね。

もちろん、弊社の日本スタッフもそういった点では、マジックのコアなファンなので、こちらからの提案も含め、コアなマジックファンにも楽しんでいただけるアート展にできたかなと思います。

ambr西村:
一方で、今回のプロジェクトで初めてマジックに触れたメンバーなど、これまでそこまでマジックに触れていなかったメンバーの意見というのも大切にしました。そこで、「ファンなら当たり前だよね」という基礎的な説明や補足なども吸い上げられたことで、初心者からコアファンまでバランスよく楽しめるコンテンツにできたかなと考えています。

メディア体験会での反応でほっと一息 0.25秒までこだわり抜く改善

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▲インタビュー実施の直前まで行われていたメディア向け体験会の様子

──先ほどまで、実はメディア向けの体験会を実施していました。そこで実際にメディア関係者の体験した声というのも直に確認できたと思います。実際に反応を見てみた中で、率直な感想、手ごたえのほどはいかがでしょうか?

ウィザーズ西岡:
まずは、初見で体験していただいた皆さんもとても良い反応だったので一安心しました。制作サイドというのは企画やベータ版から何度も見てきているので、初見の反応というのはどうしてもわからなくなってしまう。本当に初めて見てくれたときに面白いコンテンツなのかどうかは実際の反応を見てみないと分からない節があります。

今回の体験会では、長年マジックを追いかけてくれているメディアも、そうでない方も幅広くいて、彼らの反応が良かったというのは率直に安堵しました。

ambr西村:
そうですね。同意見です。
これは、制作サイドの難しいところで、開発プロセスを経ていく中でどんどん「本当に面白いのか」の部分が分からなくなっていってしまうんです。もちろん、都度都度あがってくるものを見る時は「すごい!」と新鮮味を持った感想になるのですが、開発期間中はそれを疑いながら何度も何度もプレイする。そうした中で「本当に大丈夫だっけ」と不安になってくることが多々あります。

ただ、今回の体験会を通して、最初は静かだったメディア関係者の皆様が、実際にVRゴーグルを被って体験するコーナーになると、「おぉ」「すごい」とリアクションがぽつぽつと聞こえてきて、終わったあともわざわざ私のところに感想を伝えに来てくれてと。こうした素直な反応には勇気づけられました。

一方で、体験づくりというのは、ただインパクトのあるコンテンツが1つ、2つあればいいというものではない。本当に細かいブラッシュアップが全体の体験の向上につながるんです。例えば、SEの音量を少し下げるとか移動の速度を少しだけ変えるとか、UIの表示を0.25秒短くするとか、そういった細かい修正の積み重ねです。ある意味、「完成」というのはないのですが、リリースまでの1週間、こうした細かい改善はやれるところまで詰めていきます。

ウィザーズ西岡:
具体的な反応を見ての感想というのは言語化が難しいですよね。もちろん体験コーナーで感嘆が漏れて聞こえてきたのは、純粋に良かったなと感じました。具体的な体験の感想については、本日お越しになった各メディアさまが、記事や動画にしていただけると思います。そこから見えてくる生の声や彼ら個人の体験を見てもらうのが一番です。

ambr西村:
そうですね。あと、個人的に嬉しかったのはやはり新しくなった「Grab&Play」への反応が良かったことです。本機能は、前回TGSVR2021を踏まえて、新たにバーチャル・アート展のスタンダードとなる鑑賞体験を目指し開発した機能のひとつです。そこを楽しんでいただけたのはとてもうれしかったです。

全体で見ても、自由散策の時間にどんどんと前に進んでいって、自ら体験していく様子であったり、楽しんで体験しているのが伝わってきたのでよかったです。

03Grab_Play参考

▲進化した「Grab&Play」機能の参考図。
このようにイラストを引き寄せて表示、関連情報とともに鑑賞ができる。

サウンドへの挑戦 「それぞれが高いレベルで調和」

──なるほど。「Grab&Play」のお話しも出たところで、具体的な制作面でambrとして特にこだわった部分などもお聞きしたいです。

ambr西村:
まず全体的な部分としてみんなでマジックの事を理解し、世界観やアートをリスペクトしてモノづくりしていくというところはマインドとしてすごく大事にしました。あとは、バーチャルならではの展示にしたかった。リアルの展示会をそのまま再現したり、ウィザーズさんから要求された要件をリスト化してただそれを満たしたら完成としたりというようなことは一切考えてなかったです。マジックのプレイヤーや、アートが好きな人が本当に心から楽しんでもらえる新しい体験を作る。そこを第一に考えてきました。

そのうえで、具体的な要素としては先ほどもお話ししたアート鑑賞の部分。そして、特にサウンドに関しては今回こだわりました。実は、今回は限られた予算の中でも5・6曲ほど新規のBGMを制作しています。そのほか、ナレーションも日英きちんと別で制作していたりと。ambrとしても今回はサウンド領域にチャレンジしたかったというのと、やはりアート展はオーディオの部分も含めての鑑賞体験だと思うので、特に意識していました。

ウィザーズ西岡:
そうですね。サウンドの部分はambrさんからの提案も多く。ナレーションに関しては、もともと弊社としては予定していなかったものの、ambrサイドからの提案で実現したものです。マジックの世界観や価値観をフォローアップしていただいたうえで、「こういう機能入れてみました」みたいな話も多くあり、そういった要素も多分に含まれています。

今回、私自身もデモなど事前に体験させていただいて、音楽とナレーションと空間のオブジェクトとエフェクトと.....とかなりマルチメディアな仮想空間体験を、複合的にバランスを取って調和されているというのは、個人的に魅力に感じました。こうしたマルチメディアでの制作というのは、例えばモデリングはすごいのにサウンドがイマイチで、浮いてしまうみたいな、どれかが強くてバランスが取れなくなってしまうケースも珍しくないと思います。それぞれが高いレベルで調和して全体としてのプレイヤー体験をあげている点はシンプルに良かった点です。

1人でも多くのファンに「神河の世界観に入り込む」体験を届けたい

──様々なお話しを聞かせていただきありがとうございます。最後に、これから足を運ぼうとしているファンのみなさまに向けてアピールポイントを改めてお聞かせください。

ambr西村:
ambrはあらゆる企業やブランドが自社の仮想空間を持つ未来が到来すると本気で信じています。まだ、VRやメタバースというものが単なるバズだと眉唾に思っている人もいると思います。そういった人たちにも見てもらって、、「ここまできてるんだ」と思ってもらえたらうれしいですね。

また、やはりマジックのファンには「神河の世界観に入り込む」「カードのクリーチャーを出現させる」という体験はぜひしてほしいです。今回、マジックのファンのほかターゲットとして設定しているのがアートのファンです。マジックはカードゲームですが、その美しいアートをきっかけにコレクションする人もいるし、日本人アーティストも多く活躍している。神河の世界観と一緒にカードゲームの世界の中でアートを鑑賞していただき、改めてマジックにおけるカードアートの素晴らしさを再発見してほしいです。

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ウィザーズ西岡:
今回のメッセージとして「マジックのカードゲームにおけるアートの大切さ」を改めて実感してほしいというものがあります。仮にアートがなかったとしてもカードテキストさえあればゲームとしては成り立つんです。ただ、エンターテインメントとしての厚みのためにはアートが大事なんです。

毎セット、テイストの異なるファンタジーの世界があることでそこにキャラクターが登場し、キャラクター同士の物語が動き出す。そのストーリーやキャラクターが最終的にアートとしてカードに表現され、マジックプレイヤーはカードのプレイやコレクションを通じて物語の追体験ができたりキャラクターへの愛着が持てるわけです。マジックがアートにどれだけ力を入れているか、カードアートの裏側にはどれだけ複雑な設定があるのかが分かるバーチャル・アート展になっています。

実は、会場内に流れているナレーションなどもよく聞いてみると「Towashi」の設定などかなり深いことを言ってるんです。展示物も合計すると200点近くあるので、ワールド全体を丁寧に見て回れば1時間ほどはかかると思います。そういう細かいところまで掘り下げてみんなの触っているカードがある。

また、カードゲーマーやマジックプレイヤーならカードに描かれた世界に自分が入り込みたいとか、カードに描かれるクリーチャーを目の前に出現させてみたいとか、そういった夢を一度は思いますよね。それをVRで実現できている。1人でも多くのマジックプレイヤーに実際に自身の目で体験していただいてそうした夢をかなえていただきたいです。

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西村さん、西岡さんありがとうございました!

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「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展~総勢83名のアーティストたちが描く『神河:輝ける世界』~」は2月24日まで無料開催中!詳しい参加方法ほかは特設サイトをご覧ください!

https://mtg-kamigawa-vr.art/

■開催概要
会期:2022年2月18日(金)10:00 〜2月24日(木)21:00まで (JST)
主催:Wizards of the Coast LLC
対応デバイス:Meta Quest 2 (Oculus Quest 2), Oculus Link (Quest 2), Oculus Rift / Rift S, HTC Vive / Vive Pro 1&2, Windows(※PC単体でもご体験いただけます。)
対応地域:日本、アジア太平洋地域(※一部地域を除く。詳細はHPにて記載)
参加料:無料
推奨ハッシュタグ:#MTGVR
公式サイト:https://mtg-kamigawa-vr.art/

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