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コロナ時代における就活下克上術

いつの時代も就活生の就活スタイルは変化を強いられ、その変化に乗り遅れる者は淘汰されてきた。いつまでも内定が出ず疲弊していく就活生を幾人と見てきた。それでも彼らは就職しなければならない。納得できていない企業に就職し、数ヶ月も経たずに辞めてしまい露頭に迷っている。しかしそんな彼らからも学ぶ事があった。変化のための準備をしていればそんなことにはならなかったという教訓である。準備さえしていれば、君たちの未来は拓ける。何も難しいことはない。さあ勝ち上がる術を身につけよう。

0、心構え編 ~もう売り手市場ではない~

よく学生と話をしていると、「売り手市場だから色々と会社を見てみて、自分にあった会社を見つけたい」という趣旨の事を言う人も多かったが、これからはそれが通用しなくなる。一つ上や二つ上の先輩がそうだったから、という常識はこの約3ヵ月間で様変わりしてしまった。企業では在宅ワーク・リモートワークが主流となり、出勤する人の数はこれからも減少していくことになる。リモートワークの普及は傍から見ると、ワークライフバランスの充実だとか、生産性の向上だとか良い傾向に見えるかもしれないが、実状は「仕事ができる人なのか、できない人なのか」実力の露見である。今まで出社してダラダラと仕事をしていた人は、本当は仕事がなかった事に気づき、その事実は上司にも露わになりやすくなってしまった。在宅だからこそ仕事のタイムマネジメントは個人に任され、例えば営業で成績を上げている人は特に何も言われないが、営業で数字を上げていない人はすぐに必要なかったねと判断されてしまう。それは本人も自覚しているからこそ、辛い出来事なのである。

実力主義の社会が到来するとどうなるかというと、大規模なリストラが始まる。メガバンクでの大リストラ計画や、大手企業による希望退職の敢行、派遣切りなど、とにかく必要ないと判断された者は体のいい形で切り捨てられていく。体のいい形で切り捨てられるならまだ良い方で、邪険に扱われて居心地が悪くなり追い出されたり、さらにはそもそも会社の経営が危うくなり出ざるを得ないという人もどんどん増えている。そうして、企業がダイエットをしていくと同時に、次はカロリー調整を始める。カロリー調整の煽りを食らうのが、新卒などの社会人歴が無い君たちである。企業が生き残っていくためには、いまこの現状をどうにかしてくれる人たちだけを雇い、その人たちに給料を支払い、なんとか経営を存続させていくというその日暮らしの経営が必要になるからである。社会人歴のない新卒たちを教育して何年後かに活躍してもらおうという余裕のある企業は、いまこの瞬間には少ないのである。

もちろん、こんな情勢の中でも躍進している企業はもちろんある。最前線で戦ってくれている医療関係の企業や、はたまたここ数カ月で企業の働き方を劇的に変革させたIT企業など、数えれば少なくはないと思う。ただそういう企業も計画的に良い人を取っていきたいと考えている。ではどうしたらいいのか?勝ち上がるための準備をして優秀な学生の一人になろう。

1、準備編~情報の取捨選択をしよう~

ここからはオンラインでの選考が増えてくることは必至である。例えコロナが収束したとしても、多くの企業がオンライン選考の便利さに気づき、そのままの選考スタイルが固定化していく。例えば、いままでの一般的な選考フローとしては、

説明会→グループディスカッション→一次面接→二次面接→最終面接であったが、これからは

説明会(WEBで省略)→一次面接(オンライン)→二次面接(オンライン)→最終面接(対面orオンライン)といった具合になっていく。

そうすると就活生としては、移動時間や説明会にかかっていた時間が短縮され、多くの企業を受けることができるようになるのである。一見すると良いことのようにも思えるが、間口の狭い選考の数が増えていくだけなので、選択肢が増えることによってむしろ就活疲れは早く訪れ、重く圧し掛かってくることになる。そりゃ同じように全ての就活生に時間が増える一方、企業の採用枠数は変わらないわけであるから、倍率は上がっていくのは避けられない。これからの就活生は、タイムスケジュールが重要になってくるということである。さらには選考の数を上げるのではなく、質を向上していくことを目標に日々取り組んでいく必要がある。その手法を公開しよう。

2、実践編~少しの余裕と準備が勝敗を分ける~

①オンラインツールを使いこなす

説明会から二次面接、下手したら最終面接までオンラインで完結することを鑑みると、オンラインのツールが使いこなせなければ意味がない。採用市場では、ZOOMやハングアウト、wherebyといったツールが流行っているが、その使い方を暗記しろと言っているわけではない。少なくとも面接の5~10分前には静かな部屋でスタンバイし、パソコンに不具合がないかどうか動作確認をしておけと言っている。ただそれだけである。当たり前のことを言っているようにも見えるが、意外とこの基本ができていない人が多い。

まず論外なのは、屋外で対応することである。電話などを屋外でするとわかるだろうが相手の声は意外と聞こえない。そしてこちらはイヤホンで聞いているから大丈夫という時でも、相手には思っている以上に雑音が混じって聞こえている。この時点で印象は最悪なのである。どんなに志望度が高くてもどんなに良い受け答えをしたとしても、相手への配慮が足りていない、準備が足りない、自社への志望度は低いと判断されて不合格になってしまうのである。どの企業の面接を受けるにしても、前後30分は予定を入れず余裕を持ってオンライン面接に臨むようにしよう。

また、いざオンライン面接をしようとなった際にも接触不良でうまくつながらないという場合もある。これは自分の環境がいけないこともあるし、面接官側の問題であることもある。そうなった時にも慌てないように、面接を対応してくれる方の名前、人事担当者の名前、緊急連絡先は脇に控えておこう。これができれば事前準備としては問題ない。

②エントリーは企業への理解ができている会社だけにしよう

説明会や面接がオンラインになると、就活生は時間的な余裕が生じたと錯覚するようになる。大半の人は多くの企業の説明会を見て、いくつもの企業ににエントリーしようとするようになる。しかしそんな時間の余裕はあるだろうか?一社エントリーをすると、ESの提出が求められ、SPIを受けさせられ、面接に時間が奪われる。そうしていいパフォーマンスができないと落とされるし、あるいは自分から辞退することになるかも知れない。お互いにとって時間が無駄になるのである。

新卒採用を積極的に行っている会社、力を入れている会社は新卒採用ページを拘って作っている。就活生はこちらを見るだけでも良い。特におすすめのページは社員インタビューである。後でも触れるが、ここには面接の参考となる要素がいくつも詰まっている。社員へのインタビューページを見て、仕事のイメージがついたり、雰囲気が自分にあっているように感じたらエントリーを考えても良いかもしれない。その上で、ビジネスモデルや事業内容を見てみるのである。ビジネスをやったことがない就活生が、事業内容を完全に理解することなど土台無理なのである。もし完全に理解できている人がいるとしたらそれは既に起業をしているか、学生時代をインターンに時間を割いていたか、知ったかぶりをしているかのどれかである。だからこそ面接では、知ったかぶりをせずにわからないことはどんどん質問しまくろう。知ったかぶりをする小生意気な若者よりも、素直でわからないことを曖昧にしない若者と人は働きたいはずである。

③自己分析が終わることはない、途中から始めるくらいで良い

就活を始めようとなった時に、まずは自己分析用に厚い本を買おうとする人がいるがそれはやめた方がいい。それだけやって満足してしまうか、挫折するかのどちらかである。前提として、自己分析には終わりがない。むしろ社会人になってからもやり続けるし、その時の経験や心境、状況によっても内容は変化していくものだからである。面接を受けながら考えていこう、くらいの軽い気持ちで臨むくらいでちょうどいい。むしろ面接で必ず聞かれる事項について先に考えておく方がよっぽど生産的である。自己紹介、就活の軸、志望動機、学生時代に頑張ったこと、自分の強み弱み、逆質問このあたりは用意しておこう。ちなみに、それぞれの項目にはテンプレが存在する。

自己紹介・・・30秒~2分程度。大学名、名前、後はこの後の面接で触れてほしいがんばったことを二個ほど触れておくだけで良い。

自己PR・・・上記自己紹介の内容に、がんばったことの詳細を付け加えるのみ。

就活の軸・・・2要素ほど挙げておくと良い。その際にはこういう仕事がしたいという会社軸と、その会社の中で自分がどうなっていきたいのかという成長軸の2点を触れておけば問題ない。

志望動機・・・基本的には就活の軸と同じになる。それに加えて、今まであった社員の雰囲気や社風に魅力を感じた点を入れておけば他の会社との違いを表現することができる。

学生時代に頑張ったこと・・・2つくらい用意しておくと良い。ESに書くときや面接で言う際には、結論→当初の課題→解決策→結論の順に言うと良い。その中でも特に失敗事例を入れておくと、相手方も部下にした時のイメージがつくので好印象になる。

自分の強み弱み・・・強みに関しては頑張ったことと同じ流れ。弱みに関しては、最後に今はどうやって改善しようとしているかを忘れずに付け加える。

逆質問・・・必ず2~3は用意しておく。質問する時にはなぜその質問をしているのか前提を話すと相手にも伝わりやすいし、求めている回答が返ってきやすい。上級者は逆質問の際に自分の自己PRもちゃんと入れ込みながら質問を投げかける。

以上が基本であるが、これだけ抑えておくだけでも就活は有利に進められるだろう。

3、メンタル編~理不尽な不採用や内定取り消しがあることを想定する~

世の中には理不尽なこと、理解できないことが多く存在する。いくら自分が正しく、相手よりも勝っていたとしてもそれを覆されたり、無かった事にされてしまうことだってある。この激動の時代を生きているなら猶更、今までに味わったことのない屈辱を感じたり、窮地に追いやられたりすることだってある。そんな時には相手の立場に立ってみよう。一緒に働きたいとあんなに言ってくれていた人事担当者からお祈りを告げられた時、あなたはどう感じるだろうか?その会社の志望度が高ければ高いほど落ち込むだろうし、憤りを感じるかもしれない。それでも諦めるしかないのである。もしかしたら裏でその会社は業績不振に陥ったかも知れないし、昨日まで良いと言っていた社長の気分が変わって不採用となり、人事担当も理解できないまま断腸の思いであなたに連絡をしてきているのかも知れない。残念だが、切り替えていこう。その会社には転職で入れるかも知れないし、入らなくてよかったと思う日が来るかもしれない。

また、これは良く質問が来るのであえて伝えておくが、内定は辞退できるから安心して行動しよう。内定承諾書にサインしたからといって法的な効力はないので、あなたが訴えられたりすることは心配する必要がない。ただし、あまりにも内定承諾後の辞退を乱発するのはあなたの信用を損ねる可能性があるので、おすすめはしない。上記の内容とも被るが、企業の担当者は敵であるわけではない。出来たら自分の状況を説明して、承諾期限を交渉するなり相談するなりしてみた方が後々自分にとっても良い結果となってついてくるはずである。その姿勢は社会人になった後できっと役立つはずだ。

4、終わりに~就活は思っているよりも楽しいかも知れないし、苦しいかも知れない~

いまは特に、新卒の採用計画を企業側が書き換えている真っ只中で、思い通りに選考が進まなかったり、不合格になって落ち込んだり、とにかく焦っている人も多いだろう。そんな時は自分を見失わないでほしい。とは言ってもどうしたらよいかわからなくて自暴自棄になることもあるだろう。特にコロナウィルスの収束はまだ見えず、先行きが不安なのは何も就活生だけではない。社会人だって急に取引先がなくなったり、この状況でも満員電車に乗せられたり、突然会社を解雇されたり、人それぞれではあるが不安なのである。そんな時は皆で助け合ってこの難局を乗り越えていこう。幸い私にはまだ余裕があるから、今までの経験を元に手を貸すことだってできる。もし本当に必要だったら、遠慮せずに相談してきてほしい。礼はいらない。強いて言えば、将来、立派な社会人になったあなたが「あの時はありがとう」と一言言ってくれればそれだけで満足である。


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