思い出の家=メモリアルハウス=記念館
モノを捨てられない、全てが思い出と考える人が
一定数いらっしゃるかと思う。
以前、親御さんが
「自分が死んだ後も捨てないで欲しい」と
言い残し、また、それを引き継ぎたいという方がいらっしゃった。
私はそれを聞いた時に、
「え?いつまでですか?」と聞き返してしまった。
今考えると、冷たい対応だったのかも知れない。
人は必ず死ぬし、モノも劣化する。
価値のある品は引き継いでいかないとだし、
修復したり復元したり、メンテナンスしないといけない。
家をメンテナンスし続けるのは大変な事だと思う。
それに加えて室内の数々の品は、モノが多ければ多いほど
メンテナンス方法も違うので、手間も時間もお金もかかる作業だと思う。
親の残した室内の品、家具、食器類、写真やアルバム、贈答品の数々、
それを残す事は、そこで過ごした時間を慈しむ事かも知れない。
でも、親が自分の趣味や時間をかけて作った部屋やモノは、親の人生の品だと思う。その中で引き継いでいくべき品は何だろうか?
もし引き継いだとしても、引き継いだ息子さんも、いずれ年老いて死んでいくのだから、その後を子供達に引き継がせる価値がある品だろうか?
お金がたっぷりあって、蔵をいくつも建てたり、入館料を取れるほどの有名人の家だったりすれば話は別だけれど、果たしてどうだろう?
「え?いつまでですか?」と聞き返してしまった。
その後、その方は、大きなため息をついて、
「はぁ、、、、そうですよね・・・」と項垂れていた。
私の知っている限り、まだその家は片づけていないと思う。
死んだ人のために生きるのか、
自分は自分の人生を生きるのか、
子世代、孫世代へ、世代交代していくのか、
それとも、引き継ぐべき品を引き継ぎ守り、
自分の人生を自分らしく生きる選択をするのか、
家も、モノも、場所も、時間も、自分のエネルギーも、
何に使っていくのかで、その人の人生が映し出されると思う。