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12球団ドラフト展望⑥~千葉ロッテ編~

ここ2年のドラフト会議では、佐々木朗希と藤原恭大を連続で引き当てた。加えて、3年目にして4番に座る安田尚憲を筆頭に、藤岡裕大、小島和哉、種市篤暉と近年ドラフト指名した選手が次々と主力になり、2020年シーズンは、ソフトバンクと優勝争いの真っ只中だ。

とはいえ、元々分厚い選手層があるチームではなく、優勝争いの常連でもなかった。今シーズンの快進撃が「マグレ」と言われないためにも、今年のドラフト会議でも佐々木朗に次ぐ逸材を獲得したいところだ。そのなかでも、シーズン中に緊急補強をした部分については、将来を見越した指名は必須だ。

1 早川隆久

一昨年が藤原、昨年が佐々木朗ならば、今年は何と言っても地元・千葉が生んだスター候補生、早川隆久(早稲田大・投手・左投)だ。

コンスタントに150キロ前後を記録するストレートに加え、スライダーやツーシームを投げる。140キロ前後のストレートを投げていた高校時代から、10キロ程度球速が上がり、力勝負ができる投手に変身した。今秋の東京六大学野球・秋季リーグ戦の明大戦では17の三振を積み上げ、より一層凄みを増した投球を見せた。

千葉ロッテの特徴としては、毎年のように千葉に縁のある選手の指名があることだ。過去5年のドラフト会議では、以下の選手を指名している(支配下のみ)。

2015年 原 崇 (専大松戸・投手・右投)

2016年 島 孝明 (東海大市原望洋・投手・右投・退団)

    有吉 優樹 (九州三菱自動車・投手・右投):千葉・東金高出身

2017年 該当者なし

2018年 古谷 拓郎 (習志野・投手・右投)

2019年 横山 陸人 (専大松戸・投手・右投)

一連の流れを考えると、今年の「千葉枠」は都の西北のエースに狙いを定めたい。チームには小島や中村稔弥といった若い左の先発投手がいるだけに、必要性に疑問を抱くかもしれない。

しかしながら、先日チェン・ウェインを獲得したように、投手陣、とりわけ先発陣が盤石とはいえない。事実、種市が右ひじの手術で長期離脱中で、早川の加入によって先発陣の層が厚くなるのは大歓迎といえる。早川が先発ローテーション入りした場合は、中村稔をリリーフに回すことも可能になる。

「右の佐々木、左の早川」が仮に実現したら、一球団の枠を超えて、日本球界の看板になる可能性を秘めたコンビとなる。早川を獲得できるかがドラフト会議の命運を左右する。

2 救援陣の若返り

今シーズンの躍進を支えている救援陣の力は大きいものの、主力の多くが30代なのは気がかりだ。ベテラン勢の負担を軽減するために、若手のリリーフ投手は不可欠だ。

なかでも、木澤尚文(慶應義塾大・投手・右投)は150キロを超えるストレートと落ちる球で、三振を奪える剛腕だ。継続して活躍したシーズンが少ない点に課題が残るが、千葉県出身で、小学校時代はマリーンズジュニアにも選出されるなど、球団と縁を感じる投手でもある。

同じ東京六大学野球リーグでは、入江大生(明治大・投手・右投)も有力な一人だ。木澤同様、150キロを超えるストレートとスライダー気味の落ちる球を持っている。明治大の強力投手陣に囲まれていたこともあり、先発での実績は少ないこともあり、現時点で自身の持ち味を発揮しやすいリリーフで実績を積みたい。

他には故障がちではあるが、小郷賢人(東海大・投手・右投)もリリーフ適性が高い投手だ。万全のシーズンを過ごすことが少なかっただけに、評価が難しい面もあるが、能力は木澤や入江に引けを取らない。薮田和樹(亜細亜大・現広島)のように、登板機会が少なくとも、高い評価でプロ入りするケースもあるだけに動向を見守りたい。

3 右打ちの外野手

ここ数年のドラフト会議で連続して外野手を指名している一方で、山口航輝を除くと左打ちだ。チーム全体では右打ちの外野手は4名しかおらず、内2名が30代中盤を迎えた荻野貴司と清田育宏であるため、左右の偏りの是正が必要だ。打線全体を考えても、右打ちの外野手を指名したい。

年齢バランスを考えると、今川優馬(JFE東日本・外野手・右打)が最有力になる。ホームランラグーンの設置によって、チーム本塁打も増加しており、スラッガータイプの選手の指名も躊躇なくできる環境となっている。

大学生だと若林楽人(駒沢大・外野手・右打)の走攻守が、今以上に注目されてもよい。初めてプレーを目の当たりにした方も魅了できるだけの、長打力と脚力、守備力を持っている。安定して結果を出すことができるようになれば、NPBでも面白い存在になる。

まとめ

2005年と2010年に日本一になったものの、いずれもポストシーズンを勝ち上がってのもので、ペナントレースで勝率1位になったわけではない。今シーズンの躍進やここ数年のドラフトの成果を考えると、悲願達成は遠くないところに来ているだけに、的確な指名をしたいところだ。


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