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校正作業のこと。

暦のうえでは大型連休中ということで、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
こちらはようやく長編の再校を版元さんにもどして、ひと息つけるかなぁといったところ。細々した仕事をしつつも、ちょっと出かけたり、趣味のアレコレをやったりと、それなりに休みを満喫しています。

それにしても、校正というのは負荷の高い作業だなぁとつくづく思いますね。出版前の最後のクオリティアップの機会ですし、ミスの取りこぼしがないかと神経をすり減らしますし。眼精疲労もピークに達するので、サプリと目薬とホットアイマスクが手放せない日々。
特に大きなゲラを戻したときには、毎回虚脱状態になってぐったりします。今回もまあご多分にもれず、完全に打ち上げられた魚になりました。

で。

作業をしていてふと思ったのですが、新人作家の皆さん、校正のやり方ってどうやって身に付けられているのかな、と。

私の場合、編集プロダクションに勤めていたときに叩き込まれ、また勤務先では編集記者ですから日常的に触れています。
が、関係ない職業のかただと、デビューしていきなり校正記号の使い方とかゲラの見方とかを要求されることになるのだなと。それはそれで大変だろうし戸惑うだろうなぁと、思ったりもしたわけです。

とはいえ、著者は厳密には校正者ではないので、そこの正確さとか技術の部分が必要かと問われると、その分、文章の腕を磨け、ということにもなるでしょうし。

とりあえず、校正をやることになったら、以下の教本がオススメです。作業に必要なことがひと通り分かります。ネットでも検索できますが、手もとに1冊で置いておくほうが便利ですしね。

ちなみに校正記号はJIS規格化されているので、基本的には共通言語。ところによっては、ローカルルールがあったりもしますが。

さてさて。
校正作業というと、とにかく目を使う作業です。それも、複数の視点で見る必要がでてきます。

本読みの同僚とも「そうだよねー」と話したのですが、「読者の目」と「編集の目」というのは明らかにちがいます。
ざっくり、読者の目ではエピソードを読んでますが、編集の目だと語と文型と文意の整合性で読む、というと伝わりやすいでしょうか。この辺り、仕事で培ったもののような気がしますが、それを意識的に切り替えながらゲラをチェックするわけです。

さらに、自分の創作物の場合には「著者の目」も加わります。こちらは書き手の意図やこだわりが最優先になりますね。
で、往々にして3つの視点はぶつかりやすいもので。こだわり抜いた表現も、読者に伝わらないんじゃ意味がない。かといって平板な語に言い換えたら訴求力がない。そもそもエピソード全体にかかわる部分じゃないからどっちでもいい、とか。

もちろん、そこには版元の編集さん・校閲さんという心強い味方もいます。ゲラが著者のもとに届く前には、編集さん・校閲さんがひと通りゲラをチェックして、それぞれの目で気になる点を指摘してくれています(鉛筆書きとか墨書きとか言われるヤツですね)。
それらも参考にしながら、作品の“弱い”ところを潰していくわけです。

編集の視点から見ると、初校と再校だと見るところがちがったり、校了とか責了とか用語もいろいろあったりしますが、そのあたりは別の機会に。


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