ダークファンタジー小説『平和の鐘』第三章兄と弟:「皇帝の目覚め」創作日記
こんにちわ。雌蛸改め、加賀宮カヲです。相変わらず、公募ジャンルに悩んでます。というかだね。エピソードが大アルカナに則って22ある以上、どうやっても規定文字数に納まらなくね?という境地に達しつつあります。
そして、第三章が始まったにも関わらず創作日記を忘れていました……
第三章兄と弟のコンセプトは言葉の通りです。エピソードも残りが見えてきたので、全面対決けの布石をポツポツ……のつもりがとんでもねえ地獄展開になりました。
【小説リンク】
カクヨム
皇帝の目覚め-Ⅰ - 平和の鐘(加賀宮カヲ) - カクヨム (kakuyomu.jp)
【あらすじ】
キングによって救出された子供たちの成長からスタート。エマの介入により、落ち着きを見せだしたポーランドの屋敷。一方で、叔父のフランツ・デューラー拘束をきっかけに中央情報局とキング達の接点が生まれる。整理される情報。また、新たな登場人物セツコ・モリシタから語られる先の大戦の真実とモリシタ家の秘密。キング視点の原点(両親殺害)とアンナ視点のヨシュアを描く。翻弄されるジョージ。ブラックダイアモンドの謎。力を強めるヨシュア打開の手はあるのか。
【登場人物】
キング・トート:本作主人公。15歳。両親を殺害し、死神の身体を乗っ取った少年。美しく非常に聡明な少年。取引と引き換えに様々なものを手に入れていく。当初、ミステリアスな面が目立ったのは生育歴によるもの。クロエと再会するまでは、学校に通うのが一番の夢であった。出生の秘密と兄の存在が明らかになっている。背負わされている運命が激重。
(主人公サイド)
エマ・ハイネマン:「審判の日」より登場。ヘッゲルの実娘であった。かつてのエマとしての記憶を全て失い、ただのエマとしてキング邸のメイドをしていた。キングの良き理解者。
フランツ・デューラー:「運命の輪」より登場。ヘッゲルの実弟。身勝手で冷徹であった兄とは違い、実直な性格。やり手のビジネスマンらしい強かさを持つ。キングとエマによってヘッゲルが死亡した事を知らない。
(トロイメンバー)
レイラ:「女教皇の憂鬱」より登場。傭兵部門トロイの幹部だった。18歳。クロエの実姉だが、彼女が生まれる前に売られてしまったため面識はない。ナイフを使った戦闘を得意とする。現実主義者。キングの過去を最もよく知る人物。トロイのボスの愛人であった。
カイン:「甘い節制」より登場。レイラと同じ、洗脳が入らないアダムの子。傭兵部門トロイの幹部だった。兵器である事にプライドがある。感情を殆ど表に出さない。その場にあるものを武器にした戦闘が得意。ヨシュアのお気に入り。彼にキスをされてからレイラを意識するようになる。18歳。
(キンドリー州知事サイド)
アンナ・キンドリー:「運命の輪」より登場。州知事の子供、二卵性双生児キンドリー兄妹の妹。盲目の美女。独特の勘の鋭さを持つ。ヨシュアから歪んだ愛情をぶつけられている筆頭格。ある意味、彼が本音を出せる唯一の相手。周囲が思っているよりも、様々な事に気づいている。キングに惹かれている。23歳。
オリヴァー・キンドリー:存在自体は「運命の輪」より登場。二卵性双生児キンドリー兄妹の父。妻は居ない模様。息子のヨシュア同様、冷徹。政治には長けてる。息子に対して複雑な感情を持っている。エヴァへの想いを吐露する場面も。
(キーパーソン)
エヴァ:キングの母。当初より登場。既にキングの手で殺害されているが「星の憧憬」で過去が語られる。元アダムの子で偶像の血液で実験をされていた。本作のキーパーソン。
クロエ:「月の嘆き」より登場。黒い瞳が特徴的な少女。彼女が持つ瞳は『ブラックダイアモンド』と呼ばれ、イブの庭が狙っている。本人は洗脳状態であった。キングを拒絶しており、取引が成立しなかったが魔術師との取引は受け入れた。6歳。
セツコ・モリシタ:「死神の罪悪感」より登場。モリシタ家と名字が同じ。
(モリシタ家)
ノブヒコ・モリシタ:ジョージの父。10年前に自死。表の姿は医師。本業はプロジェクト・エデンの責任者であった。エヴァの一件以来、実験には消極的になっていったものと思われる。最終的にはジョージを研究所で洗脳してしまう。
(その他)
ブラック&ホワイト:州警察の刑事。実態は中央情報局。誰による指示で動いていたかは、第2章末で明らかになっている。
ステファン大統領:米帝の現職大統領。ジョージの主観で語られる事が多い。オリヴァー州知事と同じ共民党。特別顧客の存在については陰謀論で済ませていたフシがある。持ってる情報はキングの叔父、フランツと同等かやや詳しい程度。
7(セブン):州警察の警察官。トロイメンバー。ヨシュアのペットであり、狂信者。
(死神)
偶像:「星の憧憬」にて登場。人間界に存在する、死神の一人。イブの庭の聖母エヴァとも呼ばれている。今なお、多くの禍根を残す存在。血に関する能力者。姿を自在に変えられるのに、デフォルトがエヴァなのは単純に本人が気に入っているから。エヴァを巡る関係者の反応を見ているのが楽しいというのもある。狡猾で死神らしい死神。
プルト:「死神の罪悪感」より登場。魔術師の弟。無邪気で子供っぽい。
(キングと対立)
ジョージ・モリシタ:本作「吊るされた男」エピソード主人公。本作においてもキーマンを担う。かつてソビエト組織からそそのかされ、大統領暗殺を目論んでいた。父親が過去に行っていた人体実験を知ってしまい、過去を思い出してしまう。しかし、父の施した洗脳は依然残ったまま。クロエを誰よりも大事に想っている。28歳。
ヨシュア・キンドリー:「運命の輪」より登場。二卵性双生児キンドリー兄妹の兄。非常に利己的で残虐な性格。目的の為には手段を選ばない。私情に走りがちな一面も。キングとの関係性については最新話までで明かされている。23歳。
【キーワード】
洗脳:今作で最も重要なキーワード。偶像の力を用いて行われる事が殆ど。教団イブの庭の存在によって、勝手に心酔している者も多数存在する。
特別顧客:国や人種、組織を横断していく存在であり、特定の誰かを示す呼称ではない。第一次産業革命時より存在している。情勢により異なるが、基本的に称号を持つ者は一人。現在の称号所持者はヨシュア・キンドリー。
イブの庭:表向きはカルト教団だが、作ったのは先代の特別顧客。特別顧客の隠れ蓑。
アダムの子:人身売買された子たちの呼称。教団イブの庭の信徒も同じ呼称だが、人身売買の隠れ蓑として名付けられていた。キングの育った集落の子供たちは皆、何故かいなくなってしまう子供たちとして、アダムの子となっていた。集落そのものについても、第2章で結論は出ている。
トロイ:イブの庭、傭兵部門。全員が自爆テロ兵器として訓練されている。
エデン:イブの庭、人身売買部門
州警察:特別顧客の持ち物。中には多数のトロイが警察官でいる。署長の命はトロイによって管理されている。
プロジェクト・エデン:ジョージの父と先代の特別顧客が、偶像と共に行っていた人体実験の総称。研究所は現在、機能していない。作中人物の子らの多くがこの研究所と関わりを持っていた。作中では父親の残したファイルという形で出てくる。
特異体質:死神の血を使った人体実験の成功体。現存する特異体質者はキング一体と言われていた。自死したノブヒコ・モリシタが隠匿した事実により、そうではない事が明らかになっている。
ブラックダイアモンド:現在は、クロエの瞳を呼称している。その内容については特別顧客のみが知っている状態。もう一体存在することが「塔の住人たち」で明らかになった
【作者から一言】
キングとヨシュア、二人の皇帝。そしてその原点を今一度、振り返っておきたかったのがあります。特にキングは淡々と「両親を殺した」しか周囲には話していなかったので。本当はどう思っていたのかを吐露させておきたかった。動きも正位置になぞらえてあります。
一方のヨシュアは、逆位置そのまんまです。ジョージがまたそこに乗っかっちゃってるんだな……
二人は出自の事情で、倫理観が欠落していたり破壊衝動を生まれながらに持ってますから。そこを玉虫色にしてしまうのも違うなと思って、そのまま書いたらとんでもない地獄になりました。
モリシタ家の話をこのエピソードで纏められて良かったです。結局は彼らもカードの中に囚われていた人々だったので。それは、オリヴァーも同様です。
ゲームチェンジャーとしての元トロイ組とプルトの動きが生きて良かったです。
洗脳を解かれたクロエの叫びが書いてて悲しくなってきました。魔術師の行動原理はアンナに集約されていますし、言うて彼は死神なので。本当に洗脳を解いていっただけという状態。こちらも地獄です。
そしてジョージ。彼の主語がどんどん「俺」から「クロエ」になってゆく。
キングも一時期、主語が「僕」ではありませんでした。「アダムの子のため」主語が「私」しかないヨシュアに敵うわけがないんです。第二章は、主語を取り戻すまでのキングの話でした。
機会を見て、第一章の途中まで改稿を入れる予定です。集落を出た当初のキングは確実に主語が「僕」しかありませんでした。しかもロールモデルはテレビから得る情報しかないんですよ。そこをもっと強調したいなと。
正直、かなり胸糞エピソードです。
レイラのさっぱりした性格とプルトの無邪気さだけが救いという。
今日から始まる新エピソード「教皇の憂鬱」ではブラックダイアモンド謎が明らかになります。新組織も誕生します。
ヨシュアは一体、何を考えてるんだろうなあ。
彼の行動原理がこの作品では一番の謎です。アンナ主観で語られてはいますが、あくまで主観なので。それが全て正しいとは言い切れません。
めっちゃ語ってしまった。
それでは、第三章兄と弟をよろしくお願いします。
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