見出し画像

反射的に起こる先延ばしや回避行動の改善法について

反射的に起こる先延ばしや回避行動があります。
このようなケースでは「やらなければ」と「やりたくない」による葛藤の場面がなかったりするので、そもそも「やりたくない」に抗う機会が持てなかったりするんですね。
これがこのケースにおける行動変容の難しさだったりします。

自分の思考で自分の行動をコントロールすることが可能な状態になる

このようなケースで「今やる」の行動変容を実現させるためには、課題に取りかかろうとするときに「やりたくない」と思いつつも、「しょうがないからやるか」とか「とりあえずやるか」のような言葉が頭に浮かぶようになり、その言葉に従って行動することが可能な状態になる必要があります。
つまり、自分の思考で自分の行動をコントロールすることが可能な状態になるということです。
身体が反応して先延ばしや回避行動をしてしまう状態は、そのような状態ではないんです。

安全を感じること

反射的に先延ばしや回避行動をしないで済む状態になるためには、「それに取り組んでも大丈夫」と、自分がその取り組みを行うことについて安全であるということに納得する必要があります。
この反射的行動は防衛反応であると言えるからです。

自分の人生哲学が反射的行動を引き起こす

そんな防衛反応がどうして起こるのかについては、例えば「傷つきたくない」とか「恥をかきたくない」とか「失敗したくない」」とか「厳しい現実を見たくない」などの思考を生み出す信念が強すぎることによって起こる現象であると説明することができます。

信念、つまりは自分の人生哲学です。
自分の人生哲学が反射的行動を引き起こしていると捉えるんです。
それは反射的行動が起こるのとほぼ同時に、その人生哲学が瞬間的に頭をよぎるような感じです。
「取り組むか、目を背けるか」の評価をする余地もなく、反射的に頭をよぎった自分の人生哲学に従って行動してしまう感じ。
見つめるべきはここなんです。

もし自分の人生哲学が瞬間的に頭をよぎり、何の疑いもなくそれに従って行動してしまうのだとしたら、それは「思考して行動している」と言うよりも「反応して行動している」と言った方が適切な表現だと言えますよね。
それゆえ反射的に先延ばしや回避行動をしないようにするためには、自分の人生哲学が頭をよぎる場面に直面する前に、「私は傷ついてはならない」とか「私は恥をかいてはならない」とか「私は失敗してはならない」とか「私は厳しい現実を見てはならない」などの、それら自分の人生哲学と向き合って、じっくりと見つめる機会を持つことが肝要なのです。
それが先延ばしや回避などの反射的行動の予防策となります。

自分の人生哲学の再構築が行動変容を実現させる

「それに取り組んでも大丈夫」と、その取り組みについて安全を感じられるようにするためには、その取り組みをしようとする瞬間に頭をよぎる自分の人生哲学についてたくさん自問自答することだったり、その取り組みについて誰かと話をしたり相談することが役に立ちます。
もちろんカウンセリングも有効です。

自分の人生哲学が反映された自分の体験している世界で、自分が感じている危険や脅威を理性的な状態で多角的に観察してみることが大切なのだと思います。
その中で自分の人生哲学についての新たな気づきや修正したほうが良いポイントなどが見えてくると思います。

自分の人生哲学を再構築することによって行動変容が実現されます。

反射的な先延ばしや回避行動を減らしていくための実践

まず目指すべき状態は、「やらなければ!でもやりたくない!」といった葛藤の場面を経験できるようになることですね。
それができる状態とは、反射的に防衛行動をとってしまう状態ではなく、自分の思考で自分の行動をコントロールできる可能性のある状態と言えるからです。

その状態に自分を置くことができるようにするために、日頃から、あるいは反射的に先延ばしや回避をしてしまったあと、しばらくして理性的な状態になってからでもいいので、その反射的な防衛行動を作動させた自分の人生哲学について多角的に自問自答してみることが肝要です。
自問自答をすることで「私はこれをしても大丈夫」と思えるようになるための、いくつかの安全を手にできたときには、再度課題に取り組む挑戦をしてみてください。
そういったことを繰り返すことで、次第に反射的な先延ばしや回避行動を減らしていくことができるでしょう。

自分の人生哲学の見つけ方

最後に、特定の場面で瞬間的に頭をよぎる自分の人生哲学の見つけ方について、簡単にではありますがお伝えしておきますね。
まずは「自分は何に対して脅威を察知しているのか」を考えてみるといいです。

失敗すること?
恥をかくこと?
怒られること?
見限られること?
嫌われること?
厳しい現実に直面すること?

そこで得た答えは、先延ばしや回避という反射的な防衛行動を作動させる自分の人生哲学を見つけるための大きなヒントを与えてくれます。
反射的に防衛行動をとらせるその人生哲学は、強く何かを要求しているはずです。
例えば「私は絶対に失敗してはならない」とか、「私は絶対に恥をかいてはならない」などのように。

その人生哲学は、失敗することや恥をかいてしまうことの可能性を全く受け入れないくらいの勢いで独断的な要求をしているはずです。
もちろんそれは不可能な要求だったりして。
不可能なことをやろうとするから自分を苦しめてしまうんですね。

「自分の先延ばしや回避行動は何を物語っているのか」の視点を持つようにして、反射的な先延ばしや回避行動を作動させる自分の人生哲学を見つけてみてくださいね。

※この記事は私がカウンセリングで日々活用している、心理学者アルバート・エリスの考案した心理療法であるREBT、およびステファン・W・ポージェス博士の提唱するポリヴェーガル理論を参考とし、先延ばしや回避行動の改善を目標としたカウンセリングを日々行う私の考察を交えて書かせていただきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?