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「女性スペース守る連絡会 性同一性障害特例法の改正案私案で集会 外観要件議論に危機感」(03/19 11:35 産経新聞)に対する、東京大学法学部卒業生からの意見表明


性的マイノリティの人たちが直面する過酷な現実

・性的マイノリティの人たちは、今この瞬間も、私たちが想像する以上の差別や偏見に苦しんでいます。職場や学校、地域社会で、排除やハラスメントに晒され、深く傷ついています。

・自分の性自認に沿って生きることができず、毎日が生き辛く、自分らしく生きる喜びを奪われています。自暴自棄になったり、自殺を考えたりするほどの絶望の中にいる人たちがいるのです。

・この残酷な現実を直視するとき、私たちは性的マイノリティの人権を守ることの緊急性を痛感せずにはいられません。彼らが差別のない社会で安心して暮らせるよう、今すぐ行動を起こさなければならないのです。

トランスジェンダーの人たちへの根拠のない偏見

・女性専用スペースへのトランスジェンダーの利用に反対する声の中には、トランスジェンダーは性犯罪を起こしやすいという偏見が潜んでいます。

・しかし、こうした考えを裏付ける確かな証拠はどこにもありません。トランスジェンダーであることと性犯罪の発生率に関連はないというのが、研究からも明らかになっています。

・ごく一部の事例を取り上げ、トランスジェンダー全体を危険視するのは、明らかに不当なレッテル貼りです。私たちは、少数者に対する偏見や差別に加担しないよう、自らの意識を問い直す必要があるのです。

シェルターやトイレ利用制限の本当の意味

・女性に対する性犯罪は、言語道断の重大な人権侵害であり、断じて許されるものではありません。

・しかし、トランスジェンダーの人たちの利用を一律に制限しても、この問題の解決にはつながりません。むしろ、シェルターの徹底した入居者チェックや、トイレの防犯対策の充実など、より効果的な対策を講じるべきなのです。

・一方的な制限は、悪意ある侵入者を阻止できないばかりか、本当に支援を必要としている善良なトランスジェンダーの人たちを追い詰めてしまいます。私たちは、そうした意図せぬ負の影響にも思いを巡らせなければならないのです。

理解と共感の輪を広げるために

・性的マイノリティの人権と女性の安全は、決して二者択一ではありません。私たちは、どちらも大切にしながら、誰もが安心して暮らせる社会を目指すべきなのです。

・そのためには、トランスジェンダーを始めとする性的マイノリティの人たちの声に真摯に耳を傾け、寄り添うことが欠かせません。立場の違いを越えて、建設的な対話を重ねる中で、お互いの理解を深めていくことが何より重要なのです。

・学校現場などでも、性の多様性や人権尊重の意識を育む教育を一層充実させるべきでしょう。多様な生き方を認め合い、共に支え合える社会の礎を、一人一人の手で築いていかなければならないのです。

まとめ

性的マイノリティの人たちが直面する苦難も、女性の安全に対する脅威も、私たちの社会が今すぐ立ち向かわなければならない喫緊の課題です。
しかし、排除や分断によってではなく、理解と共感の輪を広げることによってこそ、解決への道が開けるのだと信じます。

トランスジェンダーを始めとする当事者の声に真摯に寄り添いながら、私たち一人一人が建設的な議論を重ね、誰もが自分らしく生きられる社会の実現に向けて努力を重ねていくことが、今こそ求められているのです。

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