見出し画像

パセリ

今朝。
夫のニキと娘の二葉が、花束のような大量のパセリを持って二人で笑いあっている夢を観た…。

私は再婚なので、ニキと二葉は血が繋がっていない。
それでも行く先々で当然ながら、ニキと娘は親子に見られる。
二人に親子という感覚はゼロだ。
ニキにとって、二葉は京子の娘で、
二葉にとって、ニキは母のパートナーだ。

夢の中、なぜ二人はパセリを持っているんだろうか?と不思議に思いながらも、この数年間で二葉自身が乗り越えた片鱗を思い返していた。

この二人が初めて出会ったのは、二葉が中学に上がったばかりの歳だったと記憶している。今から8年前のこと。(今 彼女は20歳になる。)

中学 高校と寮生活だった二葉は、長期の休みごとに私たちの家に帰省してきた。
10代の多感な時期の女子と中年のおじさん。
ま〜揉めない方が嘘でしょうが、二葉は事あるごとにニキにイラついていた。

「ねっ!京ちゃん!なんでニキってあぁなの?」
と 私に詰め寄ってくる。

「ニキはニキだよ。」
「あれがニキなんだよ。」
と  その度 私は一言答えるだけだった。

実は彼女の葛藤は私にも理解できていた。
二葉の葛藤は私自身の葛藤でもあったから。
「なんでニキってあぁなんだ? なんで? なんで?」
私の中で何度も何度も繰り返してきた、彼への期待感とジャッジを、ニキはものともせずにスルーし、いつも彼は飄々と彼自身でい続けた。
私の微細なコントロールや罠にもハマる事なく飄々と歩いて行ってしまう。
喧嘩を売っても「はぁ」とか「へぇ」とか言ってかわされる。
パワーゲーム? ハァ なんのことでしょうか?とかわされる。
″のれんに腕押し〟状態。
これには腹が立つ。

私が今まで男に勝つために有効だと思って使ってきた術、
(その術を使うがために、実際は自ら関係性を壊してきたのだが。)
その術が一切効かない相手だったのだ。
ニキ自身は静けさを携え穏やかで優しく、いわゆる男っぽいタイプではないが、要するに今まで出会った男の中で一番最強の男なのだ。

のれんに腕押し最強男と出会うと、どうなるか?
当然自分を見つめるしかなくなる。
「あ、これって全部自分の問題ね…。」とならざるを得ない。

だから二葉の葛藤は大いに理解できるのだ。

あれは一年半前の夏だったろうか?
ついに二葉の怒りが大爆発したことがあった。
「もぉ〜ニキとは一生口聞かない!もぉ〜許せない!」となった。
この時はニキには多少の落ち度があったので、二葉が怒る気持ちも理解できたし、我が子ながら、怒るとかなり怖い。
〝やばい やばい!〟と私は内心焦ったが、彼女の怒りに極力反応せずに、なるべく冷静にこう言った。
「ニキとちゃんと話し合ってね。二葉の思いを伝えてみて。とにかく話し合って。」と。

二葉は二葉、ニキはニキ、私は私。
私がこの数年してきた事は、二葉とニキの間に入って 二人を取り持つような余計な事は一切しないで、ただ中庸でいただけだ。
「二葉がニキに言いたいことがあるならば、私でなくニキにちゃんと伝えてね。」と。二人の問題は二人に任せてきたし、もっと言えばこれは一人一人自分自身の問題なのだ。
(この時はシェアする事なく、彼女の怒りは自然に鎮静していったようだ。)

あれから高校を卒業し京都に一年間修行に行っていた二葉は、今は岩手に帰省し、この半年は太陽舎で私たちと一緒に暮らしている。
社会に出ていろんな大人の男たちがいるのを彼女は見てきたようだ。
母の血を受け継いでいて、なぜか男には手厳しい二葉が最近口を突いて言うのは、

「ねぇ京ちゃん、マジ ニキって凄くない?」だ。

「うん、ニキは凄いよ。」と私も誇らしげに答える。

これは二葉自身が自分を乗り越えた証でもある。
「京ちゃん、マジ ニキむかつく!」を連発していた母の血を引く気の強い女は
男の本当の強さが分かる女に成長した。

私が出張で1週間くらい家を空けていたとしても、なんだか自然体で仲良く会話している二葉とニキがいる。

二葉は二葉、ニキはニキ、私は私。
ただ皆があるがままでいる生活。

パセリの花言葉を調べてみたら、祝祭、勝利、愉快な気持ち、お祭り気分と出てきた。ふ〜ん。

今日はそんなお話。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?