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森に通うわけ⑤〜体の中に森がある

 それは、

「体の中に森がある」

 という気づきでした。

 この日は気温が10度を下回る寒い日でした。 いつものように池のほとりに立ってストレッチをし、身体がほぐれたころに携帯用座布団を地面に敷いて、そこにあぐらをかいて座りました。

 真冬とはいえ、見渡すと、池は常緑樹に覆われています。そこにはたくさんの鳥たちが集まってきて、美しい鳴き声が響き渡っています。

 しずかに目を閉じて、いつものように全身の部位を意識でボディスキャンします。胸からおなかにかけての体内に、深山幽谷の霧が立ち込めている感覚を感じるのです。

 今度はその意識をシャボン玉のようにふくらませて体の外を感じてみました。自分の前はどうか、後ろはどうか、左右はどうか、上はどうか、下はどうか・・・。

 そうして自分を包んでいる意識のシャボン玉を池いっぱいに、その周辺の森にまで広げ、そして意識でそこにある森の息吹を感じてみました。

 森にはいのちの循環があります。地上ではたくさんの動物や昆虫などが活動をしています。地中はどうでしょう、冬に散った葉や生き物の死骸を微生物が分解しています。それを養分として水分とともに樹木が吸い上げ枝葉の末端まで届けます。その樹木の実や、樹皮に生息する昆虫や幼虫をもとめて、たくさんの鳥たちが集まってきます。
 池の中はどうでしょう、水中のプランクトンを小魚が食べ、その小魚を大きな魚が食べ、その魚を水鳥が食べます。水鳥の死骸は微生物に分解され、プランクトンの餌となります。
 こうして、すべてのいのちが上手にバトンタッチされ、循環しながらつながれていきます。これらすべてが全自動で行われているのです。豊かにいきいきと、いのちの活動がここにあります。

 わたしは、その森の中で行われている完璧なまでの活動を意識で感じながら、その静寂に身をまかせていました。

森の静寂に包まれて


 しばらくして、ふと自分の体の感覚がないことに気づきました。きっと森との一体感がすごかったのでしょう。

 少しだけ不安が湧いてきました。もしかして、森の一部に吸収されるのではないか・・・という不安です。いままで経験したことのない感覚でした。しかしあせることなく、そのまま森の静寂に身をまかせていると、不安はどこかに消えていました。

 しばらくして、そろそろ自分の体に帰ろう、と意識をしたとき、すーっと自分の体を感じることができました。

 その余韻を感じながら、しばらく自分の体の中に意識を向けて、自分の体がここにあることを確認しました。するとこんな気づきがやってきたのです。

「体の中にも森がある」

 森のいのちの活動とまったく同じはたらきが、この体の中にもある。それは今さっきまで自分が感じていた森の営みとまったく同じ働きが体の中でも行われているという気づきです。

 わたしは心臓を感じてみました。心臓は絶え間なく拍動を続けて全身の末端まで余すことなく血液を送り、この体を生存させています。
 他の臓器はどうでしょう。ひとつ一つの内蔵が、体を維持するために自動で活動しています。これらは完璧なまでの活動です。先日、血液検査をしたとき、その正常数値がいつも変わらない不思議を感じたばかりでした。
 また全身は数十兆の細胞で構成されているといわれています。1日に数千万、数億の細胞たちが死滅し、新たな細胞をつくり上げ、死と再生を繰り返ながらこの体を保ってくれているのです。

 これらのすべての現象がいのちそのものの活動です。それは、森のいのちの循環とまったく同じなのだと・・・。

 体の中にも森がある、ということは、この自分もまた森のひとつの存在だということです。

 この体験をしたときから、ものの見え方が変わってきました。街中にいても、森を見ることができるようになったのです。どこにいても、森とひとつでいられるという実感です。

 次回は、森の人体の構造がよく似ていることについてお話ししてみたいと思います。

↓↓全編の記事はこちらでお読みいただけます。
森に通うわけ①〜森には人を癒す力がある
森に通うわけ②〜森からのメッセージ
森に通うわけ③〜あるがままの森の姿を感じてみる
森に通うわけ④〜森が教えてくれた生き方

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自分を感じる自然セラピーの体験をしてみませんか?

自然セラピーガイドのあまのつかさです。
五感をしっかりと感じる「自然セラピー」のやり方をお伝えしています。
ぜひお近くの森で試してみてください。
詳しくは「森に通うわけ①」もご参照くださいね。

自然セラピー体験ワークは、思考する自分から離れて、感覚の自分と出会う体験をするためのワークです。
わたしは毎週のように自然の中でこのワークを続けています。このワークを続けていくうちに、森の静寂の中にはすべてのいのちを生かす力があり、人の手のおよばないところでそのいのちが循環していることを実感します。
わたしたち人間もまた、この森に生かされているいのちと、まったく同じいのちの存在なのです。ただ人間には思考が与えられています。その思考があまりにも優位になってしまったがゆえに、本来の五感の感覚が鈍くなり、思考の中で想像しているのが本当の自分だと勘違いしています。
ぜひこの自然セラピー体験ワークを通じて、本当の自分に出会う体験をしてみてください。きっと今まで見えていなかった自分に気づくはずです。

■ 自然セラピーの体験プログラム例(2時間)
1、ウォーミングアップ
2、山の小径をゆっくりと散策
3、睡蓮の池で自分の五感を感じるワーク(腕振り運動、ボディースキャン、瞑想など)
4、休憩所でトイレ休憩
5、遊歩道を散策
6、ウォーミングアップ

以上がわたしが森で毎回体験しているプログラムです。
五感を感じるためにはコツがあります。森で過ごしながら、自分の五感感覚が甦っていくのを体感します。
森林浴をすることによって、NK細胞が活性化してがん細胞やウィルス感染細胞から防御する自然免疫が上がることがわかっています。またストレスが軽減することも医学的に実証されています。
その持続効果は、1か月経過しても森林浴前よりも高いことも実証されていますので、1か月に一度、森林浴を習慣づけるようにすれば、生体はつねに高い免疫機能を維持することができます。
この自然セラピー体験が、自分らしい人生をおくるための機会となれば幸いです。

            あまのつかさ@自然セラピーガイド

※このやり方は、あくまでもわたしが今自分で楽しんでいる方法です。森林セラピーとは関係ありませんのでご了承ください。

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