企画背景
大量生産や使い捨てといった「速さ」を価値とする「ファスト」文化が加速しすぎたために、人も地球も消耗してしまい、疲弊しやすく希望を抱きにくい社会を生み出そうとしています。
その対案として、「長さ」を価値として、人のつながりや自然と文化の多様性・循環を大切にする「スロー」文化をベースにした社会の実現が求められています。
世界的に有名な「食の革命家」であるアリス・ウォータース氏は、人生の集大成となる書籍『スローフード宣言』(海士の風)にて、ファストフード文化とスローフード文化を次のように定義しています。
私たちが「なにを食べるかが、価値観となり文化となる」ということを本書では伝えています。ここでは、アリス氏の提唱するファストフード文化=ファスト文化、スローフード文化=スロー文化と定義します。
アリス氏が提唱するスローフード文化をビジネスの世界でとらえ直してみると、課題を短期視点・部分最適にファストで解決しようとするのではなく、課題の本質を捉え、壁を超えて連携し、長期的な課題解決に取り組むスローイノベーションやスローリーダーシップといった経済活動のあり方が見えてきます。
スローな経済とは、単に「ゆっくり」な経済ではありません。競争とスピードを重視してきた「ファスト」な経済から、互いを生かしあう経済への移行と捉えてみると、新しい展望が開けます。
79歳になられるアリス氏来日というまたとない機会に、「ビジネスリーダーたちが、スロー文化をリードするイノベーションを起こしていけないだろうか?」という問いを起点にして、本プログラムは企画されました。
私たちの趣旨に賛同くださった世界トップクラスの講師たちの力もお借りして、歴史や文化が奥深く根付く京都にて、本プログラムを開催いたします。
本プログラムの狙い
「スローイノベーション」とは、課題を短期視点・部分最適にファストで解決しようとするのではなく、課題の本質を捉え、壁を超えて連携し、長期的な課題解決に取り組むアプローチです。
このような時間のかかる、本質的な課題解決を推進し続けるには、リーダーシップ自体も、自分自身の心の声、周りの人の心の声に耳を傾け、結果だけではなく、つながりの質やプロセスにおいても長い関係性を維持する「スローリーダーシップ」を発揮する必要があります。
本プログラムの中では、参加企業それぞれが「スローイノベーションの視座を持つ」ことに加え、参加者一人ひとりが「スローリーダーシップの視野を持つ」ことを可能にします。
このような短期間のプログラムで、スローイノベーションの視座とスローリーダーシップの視野を獲得できる可能性があるのは、このプログラムの講師と参加者が厳選されたスロー文化への体現者と共感者であるからです。
スロー文化の実践にとどまらず、スロー文化から得られるインサイトに基づき、自身のこれからや自社ビジネスにイノベーションの種を見出していくことが、このプログラムのめざすところです。
スローイノベーション、スローリーダーシップについて詳しくは、Slow Innovation株式会社様のウェブサイトおよび下記スライドをご覧下さい。
企画内容
プログラム内容
講師のご紹介
アリス・ウォータース氏(10/13登壇)
中東 久雄(なかひがし ひさお)氏(10/13登壇)
草喰なかひがし 店主
松山 大耕(まつやま だいこう)氏(10/13登壇)
妙心寺退蔵院 副住職
生江 史伸(なまえ しのぶ)氏(10/13,14登壇)
レフェルヴェソンス 総料理長
野村 恭彦(のむら たかひこ)氏 (全セッション登壇)
Slow Innovation株式会社 代表取締役
主催者紹介
阿部 裕志(あべ ひろし)
株式会社風と土と(出版社:海士の風) 代表取締役
中東 篤志(なかひがし あつし)
One Rice One Soup 株式会社 代表取締役 / カリナリーディレクター
ご参考:『スローフード宣言』書評のご紹介
「食の工業化」を再考
入山章栄氏(早稲田大学ビジネススクール教授)
食にとどまらず、人間性のサステナビリティについて書かれた一冊。世界のビジネスリーダーが求めている話が詰まっている!
高津尚志氏(IMD北東アジア代表)
スローライフとファーストライフは、実は相反するものではなく、自在に行き交うものなのではないだろうか?
名和高司氏(京都先端科学大学教授 兼 一橋ビジネススクール客員教授)