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腎臓を守る食生活習慣

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎症、腎硬化症などにより、腎機能が悪化した状態の総称です。

具体的には、以下のように定義されています。

①蛋白尿の所見が認められる
もしくは、
②GFRが60mL/分/1.73m²未満である
のいずれかまたは両方が、3ヵ月以上持続する状態のこと。

CKDは、全世界で増加の傾向にあります。患者数は、日本では2,000万人以上、世界では実に6億人以上と推計されています。とくに高齢者で患者の割合は高く、「65歳以上では約10%、80歳以上では60%以上が罹患している」との報告もあります。高齢化社会において、その割合は、加速度的に増加していくことでしょう。

CKDの予防は、とくに以下の二つの理由から重要とされています。

透析

一つ目の理由は、CKDが末期腎不全(End-Stage Kidney Disease:ESKD)の危険因子であることです。末期腎不全とは、腎機能が正常の5%以下で、透析が必要な状態を指します。現在の医療技術では、一度悪くなった腎機能は改善できません。腎臓の再生医療も研究中されていますが、まだ実用化はされていません。現在では、腎機能が低下した場合、透析(血液透析または腹膜透析)か、腎移植をしなければなりません。


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二つ目の理由は、CKDに罹患していると、心血管疾患など、さまざまな疾患にかかりやすくなることです。合併症の一つである心血管疾患は、世界的に見ても死亡の主要因となっています。腎機能低下の合併症には、ほかにも高血圧症、糖尿病、骨粗鬆症/骨折、サルコペニア・フレイル、認知症、齲歯などがあります。腎機能が低下すると、腎臓以外にもダメージが及ぶことがあるのです。

CKDの予防が重要な理由は、おわかりいただけたでしょうか。
しかし、腎機能の改善には、現在の医学では有効な打ち手はなく、予防するしか方法はありません。

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ところで腎臓には、心臓が送りだす血液の約1/3~1/4が流れ込んでいます。血管、とくに毛細血管を豊富に有する臓器でもあります。
つまり、この豊富な血管を守ることこそ、腎臓の機能を守ることにつながるのです。

血管の健康を保つ有効な手段としては、タンパク質制限、減塩、禁煙といった生活習慣の改善が推奨されています。今回は、とくに「食生活習慣の改善」に的を絞り、以下3つのポイントをご紹介していきます。

① 抗糖化
② 抗炎症
③ 抗酸化

①抗糖化
AGEはAdvanced Glycation Endproductsの略語で、日本語では「終末糖化産物」と呼ばれています。これは、血糖中の過剰な糖が変質を繰り返した結果、生じる物質です。AGEと結合した血管の動脈は、本来の柔軟性を失い劣化します。さらには炎症を起こし、動脈硬化を招きます。
体内のAGEを減らすアクションを「抗糖化」といいます。それにはまず、高糖質の食品を避け、血糖値を下げることです。しかしこれだけでは、AGEを減らすには十分とは言えません。同じ食品でも、作り方によってAGEの産生量は異なります。例えば、高温加熱(焼く、炒める、揚げる)で調理された食品では、AGE量が爆発的に増えることがわかっています。鶏胸肉は、焼いた、あるいは揚げた場合には、茹でた場合に比べて、AGEは4~5倍も多く産生されます。食品の種類だけではなく、作り方にも注意が必要なのです。

②抗炎症
一般的な動脈硬化のリスク因子には、喫煙や肥満、高血圧などが挙げられます。しかし、これら古典的な危険因子以外にも、リスク因子が存在することが、最近の研究でわかってきました。体の中に発生する「慢性炎症」もその一つです。
慢性炎症とは、体内で静かに進行する炎症です。一般的に炎症は、私たちを外敵から守ってくれる免疫システムです。しかし、現代の生活習慣や環境の変化で、炎症の慢性化が進みました。結果、炎症は「味方」ではなく「敵」になってしまったのです。
さて、この慢性炎症を悪化させる食事としては、精製された炭水化物(一般的なパンやパスタ)が有名です。そのほかにも、フレンチポテトなどのフライ類、ソーダに代表される砂糖が豊富な飲み物などがあります。
一方で、慢性炎症を改善する、いわゆる「抗炎症」の作用がある食事としては、魚(サーモン、マグロ、サバなど)が有名です。そのほかにも、果物(リンゴ、オレンジ、イチゴ、ブルーベリー、チェリーなど)や緑色野菜、ナッツ類などがあります。
つまり、より自然で、かつ精製されていない食事が、慢性炎症改善や動脈硬化予防に有効とされています。

③抗酸化
私たちの身体は、酸素を利用してエネルギーを作り出しています。酸素を利用すると同時に、常に活性酸素が体内で生じています。この活性酸素(酸化ストレス)は、私たちの細胞を傷つけ、さまざまな疾患をもたらす元凶となっています。活性酸素は、老化、がん、シワ、しみ、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなります。とくに活動量の多い腎臓では、活性酸素の酸性が多くなっているといわれています。
もちろん、私たちの体内には、活性酸素から身体を守るシステムが備えられています。しかし、このシステムの機能は加齢とともに低下します。結果、活性酸素の量が過多となってしまうのです。
抗酸化作用に富んだ栄養素には、ビタミンC、Eやポリフェノールなどがあります。ビタミンCは緑黄色野菜や果物に、ビタミンEはナッツ類に多く含まれています。また、りんご、コーヒー、緑茶や紅茶などには、ポリフェノールが多く含まれています。これらの食材を意識して摂り入れてみてください。

「食生活習慣の改善」の3つのポイントはいかがでしたでしょうか? 
腎機能低下を予防するためには、何よりもまず減塩が第一であることはもちろんです。減塩ができた後に、今回紹介した3つのポイントを、ふだんの食生活の中で意識してみてください。


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