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〜運は動より生ず〜 スティーブ・ジョブズが最後まで尊敬し続けた陶芸家 釋永由紀夫氏との対談 あとがき Vol.7 


あとがき

最後に、海外移住者の私が、そもそもどうやって釋永さんの存在を知ったかについて触れてみたい。

オーディオブックからである。。

何のオーディオブックかというと。。。

Ikigai - The Japanese Secret to long and happy life

https://www.youtube.com/watch?v=r3rJF6KMg2U&t=6151s

生きがい:幸せに長生きする日本人の秘訣 (私なりの和訳タイトル)

私の住むカナダは、公共の交通機関が乏しく、どこへ行くにも車。しかも距離が長いことが多い。私にとってオーディオブックは旅の友のようなもの。ある夏の週末、”IKIGAI" を聞いていた。

3時間以上の長めの録音で、かなりの情報量。その中で、釋永さんとスティーブ•ジョブズとの交流のくだりが出てきたとき、突如として私のアンテナがスッと立ち、ビビビっとなった。なぜか惹かれ、心にしかと留まった。
そこで、動画を止めて再生し、この部分が流れている時間をメモした。

帰宅後、パソコンでShakunaga Yukio とタイプし検索。 そして辿り着いた越中瀬戸焼 かなくれ会のホームページの内容を読んでさらに興味が湧いた。

スティーブ•ジョブズが惹かれた日本人、釋永由紀夫さんとはどのようなお方なんだろう。

スティーブ•ジョブズは、きっと自分には持っていない資質がこの人にあると見込んだに違いない。それは何だろう。このお方にお目にかかれるだろうか。

この英語の本に書かれていることは、日本ではどれくらいの人が知っているんだろう。

この内容をベースに記事を書いてみよう。

そう思い立ち、早速 釋永さんとスティーブ•ジョブズの交流の様子の部分を日本語に訳し、また釋永さんについて自分で調べた内容をベースに執筆してみた。そして、その原稿を越中瀬戸焼のホームページに掲載されていた釋永さんのメールアドレスに送ってみた。

釋永由紀夫様
お目にかかったこともございませんのに、突然のメールを差し上げます失礼、何卒お許し下さいませ。 と。

釋永さんから、すぐに返信が届いた。

びっくりした。

その後、釋永さんは時間をかけて私の原稿にご丁寧に赤ペンを入れて、正確な内容に手直しをして下さり、訂正した記事は校正をかけた後、2021年秋に某雑誌に発行された。

それから2年後、久しぶりに日本へ一時帰国することになった。

そこで、「日本帰国中に、富山の釋永さんの庄楽窯をお訪ねさせて頂けたらと思うのですが」とお伺いのメールを出したところ、「是非お越し下さいませ」との快諾を頂いた。

かくして、釋永さんに直接お会いすることが実現したというわけである。

ご訪問日は2023年4月24日に決まった。
私の訪問する前日、その翌日には釋永さんにはご予定があり、ご自宅には居られないそうであった。私の方もスケジュール調整が難しく、全くもって奇跡的にお互いの都合が合った。

カナダで車を運転中に流したオーディオブックから耳に入った一情報にピンときて、そこから調べて、書いて、ご本人に連絡。それが記事となり、最終的にはお会いできるところまで行った。感無量だった。

当日は、本当に有意義の一言に尽きる。

11時ごろ釋永さんのお宅に到着し、たくさんのお話を伺い、貴重な場所をご案内頂き、お昼も夜もお食事をご一緒させて頂いた。食事はご家族と一緒で、温かいおもてなしに恐縮すると同時に痛く感動した。


陶農館


夕食には、釋永さんの奥様、娘さん夫婦、お孫さんを交えて、富山市にあるお寿司や"「寿司栄」にてご馳走頂いた。

この「寿司栄」については賞賛しないわけにはいかない。私は子供の頃からお寿司はよく食べて育ったほうだと思う。東京の築地にも何度か行った。

しかし。。ここほど美味しいお寿司は食べたことがない。

口に入れた瞬間、「何これ?」とそのとろけるようなネタとシャリの組み合わせに驚愕してしまった。ネタが違うのか、シャリに使うお米か、職人さんの腕、技か。どれもだとは思うが、絶品すぎてどう褒めたら良いのか言葉が見つからない。

「今まで私が食べてきたお寿司は何だっったの?」と思わされるほど。

寿司栄さんの極上の寿司

歓談中に、「明日の新幹線は12時過ぎ」と伝えると、川原さんから出発までの午前中の過ごし方について、お勧めを2つ頂いた。
富山県美術館で展示中の、棟方志功の作品を鑑賞し、その後で”世界で最も美しいスタバ”と言われているスタバでコーヒーを飲む。

ベストなお勧めに、またしても感謝、感謝。
お陰様で、翌日は目的を持ってホテルをチェックアウトできた。

富山県美術館から川を挟んで向こう側にある世界一美しいスタバ 富山環水公園店 


ちなみに、アマゾンで見ると、この "Ikigai" という本は2017年に発売され、世界中で200万部を超えるベストセラーだった。ミリオンセラー本だ。世界中の人が、日本人の「生きがい」という生き方に啓発され、多大な関心を寄せている一方で、その実、今の日本にどれだけ「生きがいを持って生きる」日本人がいるのかと思うと、危惧してしまうことは否めない。

でも、今回、富山に行き、釋永さんにお会いし、娘の陽さん、旦那さんの川原さんから直々にお話を聞く機会に恵まれ、「やっぱり、日本にはちゃんと生きがいを持って生きている人がここにいる」と頼もしく、誇らしかった。
あの泣きそうに美味しい寿司を握る寿司職人さんも然り。仕事に情熱を注いでいるから、食べる側が感動するんだ。

私は、日本人に知ってもらいたい。

何百万人という世界中の人々が、幸せに生きることに難しさを覚えている中、その解決法として、日本に目を向けていることを。幸せに長生きする秘訣を日本人から学ぼう、日本をモデルにしようと、世界中の人がこの本を手にして読んでいることを。

スティーブ•ジョブズが釋永さんに惹かれ、亡くなる間近まで交流を続けたのには、それなりの理由があったに違いない。彼は、このような生き方が実直な人に、自然と共に生き平和な心持ちの人間に、宇宙の真理に沿って生きる芸術家に惹かれたのだと思う。彼の住む利益一辺倒のビジネスの世界とは全く次元の違う世界に触れていたかったのではなかろうか。

私自身、釋永由紀夫さんに直接お会いし、感銘を受けたことは色々あった。一つのことをコツコツと真摯に取り組まれてこられた人のみに備わる、揺るぎない真の強さを感じたし、お人柄からその高尚さを見させて頂いた。

全く面識のないどこの誰かもよく分からない、私のような海外在住の日本人に、丸1日を費やし、快く歓待して頂けたことにはただただ深謝するより他ない。

この場を借りて改めてお礼申し上げたい。どうもありがとうございました。

この一連の流れを振り返って思い当たる言葉がある。

”運は動より生ず”



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