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おばあちゃんのおひざもと 第46話 力を貸したい

「田植えの時期になると、毎年家族総出で朝早くから忙しそうに田植えを始める斎藤さん一家を廊下から見ていて、『大変そうだなあ』って思ってねえ。田植えの時期は、猫の手も借りたいっていうくらい農家は忙しいんだよ。おばあちゃんね、ある日、『私にもお手伝いさせて下さい』ってゴム長靴履いて田んぼに入って行ったことがあるよ。『どうやるか教えて下さいな』ってお願いしたら、『いいのかい?それは助かる、有難い』って苗の束を渡されたのはいいんだけど、おばあちゃんは足を田んぼに入れたらその足が抜けないの。斎藤さん家は、親はもちろんのこと、子供8人もみんな上手に田んぼに張った紐に沿って、さっさと植えて行くってのに。おばあちゃんたらぬかるんだ田んぼから、どうやって足を運ぶのか勝手がわからないから。逆に皆さんの足手まといになっただけみたいで、恥ずかしくなってね。慣れないことをかって出たりしたもんだから。お隣の姉さんにはいつも助けてもらってたし、本当に力を貸したかったんだよ。全然助けになんかならなかったと思うけどね。」

*この本は第1話から46話まで、順番に各章の最初の頭文字一音(ひらがな)をつなげていくと、最後にメッセージが出来上がります。さて、何でしょうか?

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