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セナのCA見聞録 Vol.15 やっぱり日本人は日本人

前の章で、世界市民などとかっこいい表現を使ってみたものの、日本にいるとき以上に日本を意識し日本人だと自覚する場面も多くあります。

食に関しては特に顕著で、例えばごはんを食べるときはやっぱりお味噌汁かお茶で、コーラと一緒というのは抵抗があります。

たいしておいしくなくても機内にカップラーメンがあれば食べたくなりますが、七面鳥のサンドイッチが残っていても手が出なかったりします。

緑茶にお砂糖を入れる西洋のお客様を見ると「え~!」と思いますが、みかんやぶどうの皮をむいて食べる日本人を変だとは思いません。

また公衆の面前で鼻を〝チーン〟と大胆にかむ日本人はまず見かけませんが、アメリカ人はそれは額の汗をふくのと同じくらいの感覚で、平気でできます。そして鼻をかんだティッシュはくしゃくしゃっとまるめてまたポケットへと戻します。ハンカチはあまり持ち歩く習慣はないようです。私はハンカチは正方形にたたんでキッチリとアイロンをかけ、モノグラム(イニシャル)や文字がハンカチを使うときにチラッとなにげに見えるようにと割と気をつかう方なので、くしゃくしゃには驚きました。

立ち居振舞いというものは、個々の育った環境や生い立ちに大きく依存はするものの、お辞儀をせずに日本語で送迎のごあいさつをするのはどうもしっくりきませんし、お客様に対して友達のように気さくな口調で会話はできません。お客様とは必ず敬語で接するものと日本社会はしっかり教えてくれました。

ミーティングなどの人が集まっているなかで異なった意見があがり、それが意見のぶつかりあいになりそうなとき、その場をまるく治めよう、またはその反対に無関心でいようと、どちらにしても声をあげずに引っ込んでいるのは圧倒的に日本人で、それが正に日本人の特性なのですが、こういう場で角を立てずに上手に自己の意見を主張するには、日本語(日本人)の場合、経験やテクニック、しいては人格が要求されます。

私の乗務した便でこういうことがありました。

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