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セナのCA見聞録 Vol.50 祖父と二人のハワイ旅行 その3

島内一周ツアーでは、朝10時から夕方6時近くまでみっちり観光することができました。

観光は全て英語の説明だったにも関わらず、祖父は気にせず全てを楽しんでいるようでした。バスの運転手兼ツアーガイドさんも、ツアー参加者も皆、祖父には笑顔で親切にして下さったので、有り難く気持ちが楽でした。

ツアーの始めのほうで、ハナウマベイを観光している時、ツアーガイドの地元のポリネシア系の小太りな男性が、海を眺めている私達二人の脇に来て、「お父さんと一緒に旅行かい?」と声をかけてきました。

英語の多少理解できる祖父は「父ですと?とんでもない。私は祖父ですよ。 She is my grand daughter. 私は1913年生まれですよ。1913年!87歳です。」と英語で切り返しました。

ツアーガイドは「え?! 😲87歳ですか? お元気ですねえ。とても見えませんよ。」と、大きなリアクションで祖父の若々しさを誉めた後、「二人の写真を撮りましょう」と海をバックに私達の写真を撮ってくれました。

島北部にある野生植物に恵まれた自然公園ワイメアヴァレーでは、こんなこともありました。

敷地内を移動するトロッコに乗っているときのことです。トロッコが到着すると、どっと大勢の人が同時に乗り込んだため、私と祖父は並んで座ることができませんでした。祖父は日本人女子大生数人のグループのところにできた一人分の空席に座り、私は背向かいに別の席に座りました。

誰とでもすぐに気軽に話をする祖父はここでもまた会話を始め、何やら楽しそうに話をしていました。聞き耳をたてて話を聞いていると、

「ほう! いやあ、そうですか。これは勉強になりました。」という祖父の言葉に、女子大生は「おじいさんくらいの年になってもまだ勉強することあるんですか?」と不思議そうに聞き返しているのが聞こえました。

「おじいちゃんらしい。」と私は下を向いて一人でクスッと笑いました。


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