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2024年2月の記事一覧
ウタカゼ物語をなんとなく書いてみたい その5
「もう、そんなことも忘れちゃったの?」
ツバキは、目の前にいるヨシノが村の言い伝えを全く覚えていないことに驚いていた。ヨシノは、ばつが悪そうにすまないと言った。
「とにかく、昨日ヨシノが体験したことは、悪いことじゃないはず!」
言い伝えを信じれば、と後に続いた。
「それで結局のところ、その言い伝えとやらに従えばどうなるんだ?」
ツバキが気になることは、とにかく冒険につながる話のみだ
ウタカゼ物語をなんとなく書いてみたい その4
「どうしたのヨシノ?ぼーっとしちゃって」
「ああ、いや、別に何でもないんだ。気にしないでくれ」
「うそ!その感じは絶対に何かあったでしょ!私にはわかるんだから」
「ツバキは鋭いな。」
月明かりから一夜明け、豊穣祭の準備が着々と進んでいる。ヨシノは昨日の記憶を手繰り寄せ、自分の身に何が起こったのか考えていた。
しかし、考えても何も思い出せず、あの2羽の鳥たちがどこに行ったのかさえも分
ウタカゼ物語をなんとなく書いてみたい その3
※サムネイル画像はイラスト生成AIを用いました
ヨシノは、月明かりに照らされた森の中を、まるで誘われるように進んでいった。足を一歩踏み出すごとに、足元の落ち葉はかさかさと音を立て、虫たちのざわめきが耳を鳴らす。そうして不思議な世界へと誘われていき、やがて森の中心部に佇む湖までたどり着いた。
湖面には月が水に反射し、その姿は美しくも歪んでいた。ヨシノは水面に映る月を見つめ、その妖艶な姿に目を
ウタカゼ物語をなんとなく書いてみたい その2
ヨシノは長い間、村の日常に飽き飽きしていた。彼の心は常に何か新しい冒険や未知の世界への探求を追い求めているのである。毎日同じ景色、同じ顔ぶれ、同じ話題に飽き飽きしていたのだ。だからこそ、彼は冒険への憧れを常に抱いていた。彼は星を見上げ、村の外に出て、探求心の赴くままに世界を旅してい見たいという強い欲求を感じていた。
豊穣祭の前夜、彼は違和感を抱いた。村の麓近くにある森に呼ばれるように、どこか