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【旅行記】ポーランド国鉄てんやわんや(10年以上前のこと)

かつて仕事で中・東欧の国々をよく訪れていたのだが、なかでもポーランドには愛着を感じている。波乱万丈の歴史を秘めた街並み、豊かな民族文化、あたたかく飾らない国民性、おいしい料理やおやつ…と美点をいくつも挙げられるけど、鉄道での移動にはしょっちゅう難儀した。
隣国ではスムーズだった鉄道旅が、ポーランドに入ったとたん、思わぬ落とし穴にはまってしまいがちになる。
一人でポーランド国内あちこちを巡っていた当時の日記を読み返すと、トラブルさえも今では懐かしい。
(以下転載)

切符に印字された情報も信用ならない

ポーランドのことは好きなんだけど、鉄道事情だけはなんとかしてほしいと思う。
周辺国ではそんなことないのに、なんだかトラブルに遭う頻度が高いんだよ…。

ワルシャワからグダンスクへ移動するとき、当初は午後3時の列車に乗るつもりだった。
でも、少しやり残したことがあって、1本遅らせることにした。
泊まっていたホテルに荷物を取りに行ったら、何故かバゲッジルームの鍵を持ったドアマンがどこかに行ってしまったということで、何分も待たされた。
そして、市バスが渋滞していたため、仕方なくもう1本遅らせた。
駅に着いて切符を買おうとしたら、どの窓口も悪夢のように行列していて、待っているうちに間に合わなくなって、さらにもう1本遅らせた。
次の便で本日最終だ。
焦る。
窓口のおばさんに、最終便の発車時刻が印字された切符を発券してもらう。
そしてそのホームで待っていたが……来ない!
あわてて荷物を引きずりながらウロウロし、悪夢のように行列しているインフォメーションに並んで、列車が来ないんだけど!と訴える。
そしたら、その便は15分後に出発するよ、と教えてくれた。
要は、切符の便名やシート予約は正しいものなのに、出発時刻が間違っていたのだ。
どういうこと?コンピュータ発券じゃないの…?
まあとにかく、深夜とはいえ、その日のうちに到着できたので結果オーライ。 

混んだ車内で見つけた座席は…

グダンスクからトルンに移動するときは、車内が混んでいた。
3時間くらいかかるのに座れないのはツライので、必死に空席を探す。
そしたら車両の一番端に、無人だけど、書類やら車掌の帽子やらが置いてあるコンパートメントがある。
ここは…ダメかも?と思いつつ、横にいた外国人女性と「ここって車掌の席かな」「どうする?あなたがトライするなら、私もここに座るけど」と相談し、ふたりで座っちゃうことにした。
すぐに車掌が戻ってきて「ダメダメ!この貼紙を見なさい。ここは車掌席だ」というような感じのことをポーランド語で言ってくる。
私たちは「ポーランド語、ワカリマセン」とあどけない表情で居座ろうとしたが、あっさり追い出された…。
仕方なく立ってる覚悟で通路にいたら、その車掌さんが、締め切られていた隣のコンパートメントのカーテンを開け「プロッシェン(どうぞ)」と言う。
なぜ隠してある…?
だいたい、混んでいる車両で、車掌が(8人席の)コンパートメントひとつ占領しているのはいかがなものか。
まあとにかく、無事に座れたから良かった。 

ポーランドの人、みんな親切

トルン駅に着いたらすぐ、壁に貼られた時刻表で、次の目的地ウッヂへの便をチェック。
しかし、印刷された時刻表も電光掲示板も、必ずしも信用できるとは限らないので、念のためにインフォメーションでも確認しておくことにした。
インフォのおばさんには英語が通じなかった。
「ウッヂへの時間は…」と問うと、
立ち上がりホームのほうを指差しながら大声で何かを叫んでいる。
「え?あの、時間だけ聞きたいんだけど…」と言っても通じない。
そしたら私の後ろに並んでいた親切そうな青年(英語しゃべれない)も一緒になって、携帯電話に時刻と思しき数字を表示して、急いで行け!と言う。
いや、今ウッヂに行くんじゃなくて…ていうか、それ、私がさっき降りてきた列車だし…。
「違う違う!ユートロ(明日)!ユートロ!」と叫ぶとやっと納得してくれて、時間を教えてくれた。
おばさんが時刻をポーランド語で言って、後ろの青年が携帯電話にその数字を表示してくれる。
朝の5時台とか、6時台とかの便を…。
「うん、アフタヌーンなんだけどね…」
もういいやと思って、「ジェンクーイェン・バルゾン(ありがとうございます)」と丁寧に挨拶したら、おばさんも青年も満足そうにうなずいていたよ。

過去には、右も左も分からない町で接続便がなくなって途方にくれたこともあったし、乗っている列車がいつの間にか逆行していて丸1日棒に振ったこともあったけど、今回はまあ、たいした被害はなかったと言えよう。
ポーランド…不合理なことも多いけど、なんだか可笑しみが漂う…そういうところも実はけっこう好き。

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