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日記という名の小説

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He, his, him, his

He, his, him, his

小5の時のことを思い出した。朝学校に行ったら僕の机がなかった。僕はどうしたらいいか分からなくなって

ただランドセルを背負ったままヘラヘラ笑って立っていた。

僕には怒る才能がない。執着や苛立ちはあっても、誰かを本気で怒鳴りつけるということができない。多分昔からじゃなかったはずだ。優しくあらねばならない、そういう方法論ではどこにも行けない、そういう小難しいことを考えているうちに、いつの間にか言葉を

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6/23(土)

思い返せば、その日は雨だった。私は家に帰りたくなくてだらだらと春日の坂を下っていた。

いくつもの傘とすれ違う。遠くの方の傘を見てどきっとする。でもすぐに違う人だと気付く。

こんな所にあの人がいるはずが無い。

.........忘れ去りたいけど、決して忘れられない、忘れてはいけない人

ふと見覚えのある傘を目にして心臓が跳ねた。無地の藍色の傘。

その下に居るのは、確かにあの人だった。

あの

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11/1(火)

11/1(火)

掃除の後だった。たくさん雑巾を洗ったりしたから手はかじかんでいた。

友達を待っていたら一言「気持ち悪い」なんて言われた。そんな風に言われたからさすがにげんなりして、でも笑顔は崩さずに、1人で帰ってきた。

友達によく言われる。「あんたいい人なのにその性格で損してるよね。」違う。私はいい人なんかじゃない。いい人だったらこんな風にはならない。

私は滅多に嫌、とは言わない。でもそれは強迫観念があるか

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