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No.13 オパール

13.オパール

オパール。10月の誕生石になるほど人気の高い宝石だ。
今回のオパールは質が良く、オパール独特の虹のような光沢がある。さながら白い石の中に虹を閉じ込めたような美しさだ。
オパールは厳密に言うと「鉱物」ではない。
鉱物というものを簡単に説明すると、岩石を構成する物質のことだ。特徴としては同じ化学組成の結晶が規則正しく並んで、それが集まってできている。基本的に私が集めている鉱物標本やルースになるようなものは、鉱物がたまたま大きな結晶になったものである。ちなみに、その辺りに転がっている石などの岩石は、様々な種類の鉱物が細かい結晶の状態でぎゅっと塊になったものなのだ。
一方オパールは「シリカ」というゼリー状の物質が粒となって集まり固まったものである。シリカは日常生活の中で乾燥させた状態のものを、お菓子などの湿気を防ぐのに使っている。お菓子やパンの中に入っている「食べないで!」と書いてある袋の中身がそれだ。これとオパールは成分的に一緒である。
オパールはシリカの粒がそろっていればいるほど、今回のような虹色の光沢が出やすくなる。逆を言えば粒がそろっておらず虹のような光沢が出ないオパールもあるのだ。オパール独特のあの光沢は、まさに自然の生み出した奇跡の産物だと言えるだろう。
しかし、オパールの構成物質シリカはもともとゼリー状の物質であるため、とても水に左右されやすい。
どういうことかと言うと、もともとゼリー状だったという事は、最初は水分を多く含んでいたわけだ。それが長い時間をかけて個体になり、結果としてオパールになったのである。実際その証拠としてオパールの内部には5~10%ほどの水分が残っていて、この水分量の均衡が崩れるとオパール独特の虹の光沢がなくなったり、内部にひびが入ったりしてしまうのだ。
そのためオパールはとにかく水分を含みやすく湿気に弱い。かといって乾燥しすぎると水分によるバランスが崩れてひびが入ってしまう。
この点を踏まえると、オパールは案外ジュエリーに向いていない宝石なのかもしれない。
特に外的影響を受けやすい指輪はNGだ。もしジュエリーにするのであれば、指輪よりも外的影響を受けにくいネックレスや、服に固定できるブローチがいいのかもしれない。
私もオパールに関しては扱いに注意をしている。せっかく美しいオパールを手に入れたのだから、末永く美しさを保ちたいものである。

【参考書籍】

「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年

「ネイチャーガイド・シリーズ 宝石」
ロナウド・ルイス・ボネヴィッツ 文
伊藤伸子 訳   化学同人  2015年

「プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本」
下林典正・石橋隆 監修
ナツメ社  2014年


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