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No.9 ジェレメジェバイト

9.ジェレメジェバイト

私が勝手に「世界三大名前ややこしや鉱物」に指定している鉱物の一つ、ジェレメジェバイトである。ちなみにもう二つはグランディディエライトとフォスフォフィライトなのだが、まあそれは置いといて、このジェレメジェバイトは自分が知っている中で最も名前がややこしい鉱物である。ただでさえ「ジェレメジェバイト」という名前だけでもややこしいのに人によっては「エレメーバイト」とか「エレメジェバイト」とか呼ばれたりする、さらに和名は「エレミヤ石」である。もうハッキリ言って訳が分からないことになっている。私はこの鉱物を「ジェレメジェバイト」と呼んでいるが、時と場合に応じて「エレメジェバイト」と呼んでいる。」
何でこんなにややこしいことになっているのかはまた別の機会に話すとして、この鉱物は原石とルース両方をコンプリートしている。今回のルースは私が所持しているジェレメジェバイト一つである。実はこのルース、原石を手に入れる半年前にたまたま御徒町で手に入れたものなのだ。自分もまさか手に入れることができるとは全く思っていなかった。今でも正直信じがたい。
どうやって手に入れたのか?その経緯を説明すると、私はその時とある鉱物のオフ会で東京に来ていたのだが、場所が近かったので前々から気になっていたしと宝石の街である上野の御徒町に来ていた。そこでとあるショールームに行ってまずルースを2点購入したのだが、このショールームは希望の物をオーダーして出してもらうシステムで、店頭に品物はなくあらかじめ自分で欲しいものを決める必要があったのだ。「2点だけでいいの?」という店員さんの言葉になんとなく気まずくなり、ダメもとで3点目として思いついたものを咄嗟にオーダーした。それがジェレメジェバイトだったのだが店員さんは「あるかもしれない」と言って探し始めたのだ。
そして、あった。
最後の1点としてジェレメジェバイトのルースがあったのだ。
まさかあるとは思わなかった。いや、最初は拝むだけのつもりだった。でも値段が見事に1万円以下の破格だったのだ。
ジェレメジェバイトはとにかく大きな結晶が出ない。最大でも7センチにしか結晶が大きくならないそうだ。ましてやルースにできる大きさなど尚更ないし、そもそも産出する場所がとにかく少ない。ゆえに超希少な鉱物なのだ。
目の前にあるのは直径2ミリぐらいの小さなルース。だがしかしこれでも超貴重なため1万以上の値段は軽くいってもいいはずなのだ。
しかし、破格の値段を突き付けられ私は悩んだ。これを買えばお昼のお金を削ることになるからだ。悩みに悩み、最終的にジェレメジェバイトの美しさと値段、そして「二度とこんなチャンスないかも」という思いに責められ、結局買うことにした。
改めて自宅でそのルースを眺めると買って正解だったとつくづく思う
茶色いツブツブとしたインクルージョンが目立つが、氷のようにひんやりとした薄い青と、それを引き立てる透明感は申し分ない。そのためインクルージョンもまた粋に感じる。また、小さいながらもしっかりとしたカットが刻んであるため、涼しげな輝きも十二分に楽しめる。
小さいのがちょっと惜しい気もするが、こういうのは小さいからこそ味があるのではないか?とも思える。
いずれにせよ、あの時はとにかく運が良かったよなぁとつくづく思う。
余談だが次の年に京都の伏見稲荷でおみくじを引いたら見事に「凶」が出た。まあ、いろいろ書いてあったが要約すると「何をやってもうまくいかねぇんだから、無理すんな」とのことだった。
うん。当たってる気がする。気を付けよう。

【参考書籍】
「世界のレアストーン図鑑」
亀山実 著
柏書店松原 2008年

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