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No.8 モルガナイト

8.モルガナイト

淡いピンクが愛らしいモルガナイトだ。
私自身お気に入りのルースなのだが、このモルガナイトに対して周囲の評価は結構低い。
「色薄くない?」とか「無色っぽいよね」とか、とにかく色が薄いという点がマイナスポイントなようだ。一般的な価値観からすると二流以下なルースらしい。
それでも、私はこのモルガナイトが好きだ。
確かに色は薄い。だがその絶妙な色の淡さ故ベリル特有の優しい輝きが良く映える。またピンク色というのもベリルの輝きと相性が良く、まるで愛らしい女の子のようなかわいらしさがある。更にカットも細かく丁寧なのでその魅力が十二分に引き出されている。そのため全体的におしとやかでつつましい印象があり、上品なルースに仕上がっていると私は思っている。
世間的には二流以下のルースであっても自分にとっては魅力的だ。要するに言いたいことは「価値が高い=自分にとって良い物」とは必ずしも当てはまらないし「周囲の評価が高い=自分にとっていい物」というのも必ずではない。もちろんその逆もしかりである。
余談だがモルガナイトはエメラルドやアクアマリン、そして前に紹介したレッドベリルと鉱物学的には同じ「ベリル」という鉱物だ。本来ベリルは無色透明なのだが、結晶時に混入した不純物によって色がつく。で、モルガナイトのピンク色はベリルに混入したマンガンによるもので、このマンガンの量が多くなるとレッドベリルというエメラルドよりヤバイ鉱物になる。
このモルガナイトもひょっとしたらレッドベリルになったかもしれない、と考えると少しロマンがあるような気がする。

【参考書籍】
「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年


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