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No.7 アレキサンドライト

7.アレキサンドライト

光の差によるカラーチェンジがはっきりしていて、LED灯では深みのある青緑、白熱灯ではエネルギーのある赤紫を示す。カットが細かくないので輝きは少々薄いが、その分色味が際立つのでカラーチェンジの様子がより分かりやすく観察できる。
あまりにもはっきりとした色の変化が楽しめるので、意気揚々と母にこのルースを見せてあげたのだが、これを見た母は一言。
「これ、ガラスか何かなんじゃない?」
軽くからかわれて私は割と傷ついた。一応「こういう鉱物なんだよ」と話したが「ふーん」と興味がなさそうにあしらわれてしまった。
恐らく、偽物という事はないはずだ。産地は不明だがこのルースを買った店では天然石と合成石・人工石を別物として売られていたので、わざわざアレキサンドライトだけ合成石を天然と偽ることはしないだろうと思うし、そんなことをするメリットはないと思う。
アレキサンドライトはクリソベリルの一種で、光の種類によって色が変化するその特異性から世界三大希少石の一つとして名高い鉱物である。カットは甘く小粒だが石自体の良さは十分なアレキサンドライトなのだが、どうやら母にはそれが伝わらないらしい。
そもそも母とは昔から趣味が合わず、私が熱心に楽しんでやっている趣味は全て母によって「わけのわからないもの」「変なもの」として切り捨てられる。
別に趣味を合わせてほしいとは思わないが、自分の好きなものを頭から否定することはやめて欲しいものだ。

【補足】
カラーチェンジ
光の種類によって石自体の色が変化して見える現象。
アレキサンドライトの場合は自然光やLED灯などの一般的な光では青緑色、白熱灯など赤色成分の多い光では赤紫色を示す。これは「赤」という色を認識できる人間ならではの視覚特性で、その他ほとんどの動物はこの現象を認識できないらしい。

【参考書籍】
「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年


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