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No.6 クンツァイト

6.クンツァイト

透明感抜群のクンツァイトである。
多色性もあり、見る角度によってピンクの濃さが変わる。
クンツァイトは劈開が強く、少しの衝撃ですぐに欠けたり割れたりする。この原石もどこかで割って出したものなのだろう、採掘の時にできたと思われる断面には真っ直ぐ直線に割れた跡があり、この断面からキラキラとした朝日のような輝きを楽しめる。ルースにせずとも原石のままで充分満足感のあるクンツァイトだ。
話は変わるがクンツァイトというのは宝石としての流通名で、正しい鉱物名は「スポジュメン」という。スポジュメンは和名を「リシア輝石」と言ってリチウムとアルミニウムを含んだ鉱物だ。このスポジュメンの中でピンク色の物をクンツァイトと呼んでいる。
この「クンツァイト」という名前はジュエリーの一流メーカーであるティファニー社がつけたもので、ティファニー社に所属していた鉱物学者のG.F.クンツ博士が最初にクンツァイトに関する記録を残したことを賞して名付けられたのだ。
実はクンツァイト以外にもティファニー社が名付けた宝石は多く、有名どころだと最近12月の誕生石となったタンザナイトや深いグリーンが特徴的なツァボライトがある。更にはピンク色のベリルであるモルガナイトも、クンツ博士のスポンサーだった資産家J.P.モルガンにちなんで名づけられた。
他に私が知っている物だとプラシオライトやティファニーストーンがあるが、もしかしたら他にもまだたくさんあるかもしれない。
有名で美しい宝石の名づけにティファニーが多数関わっているとは、ティファニーってすげぇ。

【補足】
①劈開
「へきかい」と読む。特定の方向に割れやすい特性のこと。
劈開が強ければ強いほど、劈開に沿った特定の方向に割れやすい。
劈開が強い鉱物は加工がしやすいという特徴もあるが、同時に欠けやすく割れやすいという性質もある。ダイアモンドは硬度こそ最強だが、劈開が強いため加工ができるのだ。
②多色性
複屈折を示す結晶で起こる現象。見る角度によって異なる色に見える。
クンツァイトの他タンザナイトやアイオライト、アンダルーサイトで起こりやすい。

【参考サイト】
https://www.dujour.jp/how-to/story/3822


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