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No.60 アウィン

60アウィン

海の色を凝縮したような深いひと粒。濃く深く、そして澄み渡った青はどことなく品の良さを感じる。
「アウィンの青はサファイアより青し」と評されるほど見事な青だが、何故アウィンの青はこれほどまでに人々を魅了するのだろうか?
それには2つの要因があると私は考えている。
第一の要因として、アウィンは単純に青みが強い。そしてその青は暗すぎず明るすぎずちょうどよい色合いで、私達の目に心地よく感じる。しかしこれならサファイアやスピネルでも同じ色合いのものが産出する。では何故「アウィンの青はサファイアより青し」などと評価されるのだろう?
そこで第二の要因だ。アウィンは屈折率が1.496〜1.510とかなり低い。サファイアやスピネルは屈折率が高い鉱物なので青みに加えて輝きが強調されるが、アウィンは屈折率が低い分その美しい青みが全面に強調される。ゆえに同じ色合いでもサファイアやスピネルより青さが強く感じられるのだろう。
こんな素晴らしい鉱物なのだが、宝石としては非常にマイナーである。
これには理由がある。アウィンはとにかく結晶が大きくなりにくいことで有名な鉱物で、0.1ctを超えるような結晶などめったにお目にかかれない。ましてや0.3ct以上のものなど高級品以外の何物でもない品である。今回の標本も実物は米粒より小さい。このか弱き特性もアウィンが人々を魅了する一因なのかもしれない。

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