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#読了「ノートルダム・ド・パリ」 16

天海 悠




15を寝ぼけて投稿してしまったので、最後がしまらない感じになってしまった。ついに読了報告ができます。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。


目次はこちらです。

まとめ 読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」進捗 1~13まで

グーテンベルクのリンクです。(英語版フランス語版
フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。
訳したのはIsabel F. Hapgoodさん

前回までの記事

注:この記事はすごくすごくネタバレです!



後日譚が少しだけくっついている。

みんなはカジモドはあくまでフロロの魂を持って行った悪魔だったのだという風に考えてる。
よってフロロは聖職者が埋められるはずの聖なる土地には埋葬されなかった。
グランゴワールは山羊を助けることに成功した。そして演劇の脚本でも成功した。よかったね(怒)

Phoebus de Chateaupers also came to a tragic end. He married.

不思議な運命によって取り替えっ子さえた二人は 同じ場所で 骸骨となった。カジモドはエスメラルダを 抱きしめたかっただろうが、すでに土くれになっていた。


ー完ー



読み終わった。
ここまで読めば、あのディズニーの話を作った人たちの気持ちもよくわかる。
結末が人魚姫よりもはるかにひどい。
if の世界を 与えたいというのは分かる。
フィーバスはいい人で、フロロは悪人だから死ね。それでいい。
エスメラルダは幸せになりました。カジモドはちょっと悲しいけど幸せ。
完璧。

このお話がたぶん胸糞な終わりかたであることは、最初から知っていた。

・エスメラルダは処刑される
・フロロをカジモドがノートルダムから突き落として殺す

この二つはもう変えようがない。それはわかっていた。
だからずっと手を出さなかった。ここまで読まずにいた。

読み始めてからも、結果が分かっているので、途中で全てを隊長のせいにしていた。
しかし、フィーバス隊長としても、アホであるとか軽薄であるとか、果てはイケメンであるとかそんなこと責められてもどうしようもない。日陰のものが太陽を求めたとき、それは命取りになる。

そして読了後、不思議なことに読後感が悪くはない。
フロロの死に時間をかけているから、エスメラルダ処刑のショックもすべて持っていかれる。

優しい心と美しい容姿を持ったたった一人の少女、女子高生ぐらいの年齢の、未熟で、無邪気で、純真な子が、母親の手から盗まれて地下世界で育つことになった。

ただアホに夢中になった結果と言えばそれまでのことだが、16歳の女子の初恋なんてこんなものだ。

エスメラルダは汚濁のふきだまりのような場所から助けてほしいと願いフィーバスを求めた。

エスメラルダの美しい、少女の心のたけを尽くした愛の言葉、この心の美しさを感じる心を持つ者はこの物語にはいない。

その心を受け取ってくれる人は誰一人いない。
そして優しく受け止めて彼女の事を理解し分かって安心慰め守ろうとしてくれていたはずの母親の守りも彼女は手放してしまった。

…なのだろうが、エスメラルダはならばたった一人、どこにも誰も救いのない一人ぼっちなのだろうか。「アホの子、人生になんの価値もなかった」と決めつけるのは簡単だ。

この本を読む人の中に、あの美しい愛の言葉を読んで胸を突かれその心を受け止める誰かがいる限り、やはりエスメラルダには意味があったのだと思う。

フロロは悪人ではなかった。
博識であり、真心もある。そうでありながらにして芽生える悪があった。このつきつけられた事実は大きい。

フロロの恋は単純な肉欲とは少し違うが分けては語れない。
肉欲に端を発して、無実の者を無罪と知りながら死刑にさせるという、もっと深い罪に落ちていく。



結局、「結末だけありき」なのではないということだ。
実際に読んでみて、「読書を通じ、経緯を自分の一つの体験として得ること」と「サラっと書かれたあらすじと結末だけ読んで知ったような気になること」は天と地ほども違うと再確認をした。

「まんがで名作シリーズ」など、とてもいい試みだと思うし…だが、それ「だけ」ではやはりいけない!というのは肝に銘じたい。

原作、特に名作は、それ自体が芸術であり、どんな翻案もどんな視覚化も表現できない。
そして名翻訳者に出会う事ができた作品は幸いだ。

エスメラルダの死と
フロロの苦悩と
フィーバスの無関心と
フロロ弟の笑いと
カジモドのむなしい力

この物語をまったく別次元の出来事としてしか捉えられないのか、それとも、我が身の中の悪を感じることに繋がるか。
受け取り方は人それぞれながらも、不正に対する激しい怒りと、気付いてほしい、ここにいるとの叫びが、見捨てられちっぽけなひとりひとりのわたしに届く。

今この時を生きるわたしたちも、不正やよこしまな恋、あんぽんたんやくそ、深く考えてない人たち、地下組織の闇、司法の欺瞞、権威の横暴などに囲まれている。

この一冊の物語自体が、虐げられ差別された者たちの代弁であり、反撃だった。

社会の改善を願って旗を降る、そんな社会的喚起をおいてはるかに遠く、今昔を問わず人とは如何?という問いを投げ掛けている。逆らいがたい運命の渦と人のさがを思い知らされてただ頭を垂れるだけだ。




おわり


読んできてくださった方、ここまでお付き合いくださって本当にありがとうございましたー!!






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天海 悠

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天海 悠
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