読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 10 ここからが本番だ!
皆さんの一年の記事まとめをすごく興味深く拝見しています。
自分もやろうかと思ったのですが10まで続けてきたこの連載を一つでもすすめよう…と決心した。
ちょうど10でキリもいいし。
まだあと5記事ぐらいあるかと思います。
盛大なネタバレだけど、古典なのでもういいかなと思いました。ラストまでやります。
みなさんぜひこんな投稿を待たずに、図書館に足を運ぶなり書店応援のため本屋で買うなりAmazonでポチるなりして、読んでみて頂けたらと思います。
目次はこちらです。
グーテンベルクのリンクです。(英語版・フランス語版)
フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。
訳したのはIsabel F. Hapgoodさん
前回までの記事
注:この記事はネタバレです!
「じゃあ死ねーー!!」
で終わっていた前記事からかなり時間があいてしまった。
このドキドキな展開からちょっと先を読みたいな、と思う人が現れてくれればいいなー。
と思いながら放置してました☆
絶賛☆言い訳!
「じゃあ死ねーー!!」
とは言ったものの、フロロはそこでエスメラルダを刺そうとかそういうわけではなく、ただ単に去っただけ。
つまり、死刑執行されるままに放置すると決めたということだ。
ここで、「明らかにエスメラルダの母っぽい尼」の嘆きターンがまた入る。
フロロの告白も長々しかったが母の嘆きも同じか、より長く続く。
15年は長い。
このようなどうしようもない苦しみに救いをもたらすのは神の祈りか死しかない、と読んでいるこちらも確かにそう思う。
何も知らない母親は、ジプシー(エスメラルダ)が絞首刑になるというニュースを聞いて、ヒステリックなハイエナのような笑いを上げる。
何とも言えない気分になる。
そして、再登場のフィーバス。
なんだ生きてるやん!
ピンピンしてる。
裁判では死んだ死んだ、殺した殺したと言っていたのにだ。
あれは何だったのかね?
エスメラルダを取り巻くみんな、警察も司法関係者さえ、正確なことを何も知らないのに、適当なことを言ってたのだ!
肝心の被害者不在で進む裁判と拷問と、適当に下される死刑執行の命令。
エスメラルダを待ち受ける運命がいかに不当であるかより強調される。
これも、アホに自分を投げ与えようとしたエスメラルダの罪だというのだろうか。
肝心の隊長本人は、何が起きたのかさっぱりわからない。
とにかくおおごとになって騒がれるのを恐れてる。
半裸でジプシー娘といちゃついていた所を背中から刺されたなんて恥だし、婚約者に知られたくない!という感じ。
最初はこいつはアホだと思っているのは自分だけの勝手な下げ目線なのかと思っていたが、作者の意図するところは実に正確に伝わっていた。
その頃は絞首刑も晒し台も珍しいことじゃなくて風景の一つだったし、冤罪であろうがなかろうが気に止める人はいなかった。
婚約者の名前がフランスの象徴である百合の花(Fleur-de-Lys's)であることと、フィーバスの名前が太陽であることは何かの暗喩なのだろうか。
太陽のもとに咲く百合の花?
太陽王とフランスをさしているのだろうか。暗喩にしては随分、辛辣な描写だ。
(この話の時代設定はジャンヌダルクの百年戦争後。王様はジャンヌに助けられたシャルル7世の息子、ルイ11世)
フィーバスも婚約者のもとに来て、まともな世界に戻れてほっとしてる。
婚約者、くそを心配してるとこはかわいい。怪我したと聞いて涙ぐむ。
うそつきフィーバスは何とか誤魔化そうと必死になる。
「どこで?だれと?どんな風に?」
突っ込まれまくる。隊長は上手な嘘をつくにはあほすぎる。おそらくあほなので浮気もやめないだろうな。
お祭りの日に魔女が絞首刑になるらしい、と世間話のついでみたいに聞かされる。
「名前は?」「わかりません」
なんて会話を交わしている最中に、突然の釘指し。
これは女の直感だ。
言われた当の相手の反応はというと、こんなときにも期待を裏切らないあんぽんたんは何と、婚約者の体を値踏み!
「味見も悪くない」なんてくそなことを思い付き、不道徳で性的な気配を察した婚約者は真っ赤になって暑いから空気を吸いたいと窓へ。
窓の外は真っ黒な群衆がたかっている。
これはあれだ。
炎上案件に群がるひとびとの縮図だ。
「懺悔を拒否ったってまじで?」
「なんて異教徒だ!」
などなど、ささやきかわす。
「可哀想に」と口走る婚約者。
突風が吹き、中に入ろうとうながすフィーバスだが、婚約者は拒否。
何が起きてるかこの目で確かめたいという心はわたしにだってある!と主張。
そこにエスメラルダが死刑囚の車に乗せられて引かれてくる。
縄目の様子をこんな風に表現してる。
フィーバス、真っ青になって倒れそうだ。
激変した隊長を見て婚約者の女の直感が何かあったな、と悟る。
彼女の詰問にたいしての返事
怖い。
さっきは「可哀相に」なんて言ってたのに。女は怖い。
エスメラルダは刑場に引き出される。
多少愚かだとしても、若さから来る決して悪意のない選択が、結局致命的・致死的な結論になるということは確かにある。
エスメラルダもそういうことなのだろうか。
司祭が聖書の言葉を読み上げる。
この期に及んでエスメラルダはフィーバスの名前だけをつぶやく。
若い情熱のすべてを捧げているのだ。相手がそんな価値があるかないかは関係ない。
フロロが最後に近くに寄り、「will you have me?」と聞いて、エスメラルダは「Begone, demon,」と答える。
フロロ退場。
キリエ・エレイソン。
絶妙に挟み込む詩句がドラマを盛り上げる。
英訳版、ちゃんと注釈をつけてくれていてそつがない。
ここでエスメラルダ、バルコニーから見てるフィーバスを発見したー!
大声で名前を読ぶが、伸ばそうとした腕は縛られている。
隊長は当惑、隣の美少女は疑いの目で見て、あっというまに奥に入る…。
全てから見捨てられたと見えたこのときに、ここで!ついに!
カジモド登場!!
あっという間にエスメラルダをさらい、ノートルダム大聖堂の聖域につれていく。
周囲はてんやわんやの大騒ぎになる。
(肝心のフロロは去っているのでここを見ていない)
カジモドはノートルダムに駆け上がり、尖塔の上で彼女の体を高く差し上げて叫ぶ。
「サンクチュアリ!」
続く
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