新人Vtuber天宮圭の朝は早い
「まぁ好きではじめた仕事ですから」
最近は同接が取れないと口をこぼした
まず、入念なエゴサからはじまる。
「やっぱり一番うれしいのは名指しで叩かれてるのを見つけた時ね、
この仕事やっててよかったなと」
今日は配信日
彼は配信するゲームを探す為、steamへログインした。
好きなジャンルは決まっているが、最近のユーザーの嗜好に合わせ
多種多様なタイトルを配信しなければいけないのが辛いところ、と彼は語る。
「やっぱ死にゲーはキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
「このゲームはダメだ。ほら、すぐに無言になってしまう」
彼の目にかかれば、タイトルを見るだけで配信した際のコメ欄の空気が分かってしまう。
天才配信者天宮、ここにあり。
今、一番の問題は同業不足であるという
視聴者が増えないと早ければ数ヶ月でやめてしまうという
同じ夢を追って仲間達とVデビューしたが
今ではVtuberは彼一人になってしまった
問題はデビューしてから
手応えを掴めようになるまでに、1~2年はかかると、匠は語る
「自分が気持ちよいのももちろんだけど、
見てくれる人はもっと気持ちよくないといけないね」
「もちろんアーカイブは一つ一つ私自身で見返しています」
ここ数年は、YouTuberに押されていると言う。
「いや、ボクは続けますよ。待ってる人がいますから───」
新人Vtuber天宮の灯火は弱い。だが、まだ輝いている。
「時々ね、わざわざマシュマロまでくれる人もいるんですよ。
はやく辞めちまえカスって。ちょっと嬉しいですね」
「星の数程ある配信の中からわざわざ求めてこられるお客さんが何人もいる。体が続く限り続けようと思っとります」
「やっぱねえ、新人だからこそのスリルってあるんです。
ベテランがいくら頑張ったってコレだけは味わえないんですよ。」
デビュー直後、毒マロを送りつけられ
一時は配信をたたむことも考えたという
「やっぱりアレですね、
たいていの若い人はすぐやめちゃうんですよ。
仕事しながらだと辛いとか、プライベートの時間が減るとか……
でもそれを乗り越える奴もたまにいますよ。
ほら、そこにいる江戸川もそう。
そういう奴が、これからのVtuber界を引っ張っていくと思うんですね」
最近ではトーヨコ界隈からも注目されているという。
額に流れる汗をぬぐいながら
「本物に追いつき、追い越せですかね」
そんな夢をてらいもなく語る彼の横顔は職人のそれであった
今日も彼は、日が昇るよりも早くランクマのキューを入れ始めた
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう
そう、新人Vtuber天宮圭の朝は早い
───――完───――
https://dic.pixiv.net/a/職人の朝は早い
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