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成仏した気持ち

厄祓いの後、久しぶりに勤めていたブラック企業の夢をみた。

一年に数回はみるのだが、毎回どれもあのときの嫌な思い出の夢。

私は若い頃、食品を取り扱っている店で働いていた。
これがまあ、とんでもなくひどい職場だった。

一時間半前には出勤は絶対で、就業後も三時間は絶対残って上司が良いと言うまで帰っては行けなかった。(しかもタイムカードは就業前は十五分前、就業後はピッタリに押さなければならない。つまり残業代はつかない)
遅番の業務終了後に連絡きて品出しを命じられ帰りは深夜の二時とか。


その日の売上がキリのいい数字じゃないと自腹で商品を購入。(もちろん上司の叱責付き)

上司が嫌味をチクチク言ってくるのは当たり前。
客の前でわざわざ叱りつけられる。

そしてシャーペンで腕をチクチク小突かれる。(ヤバイ)

などなど。あげればキリがない。

もちろんそんな職場は人の入れ替わりが激しく、常に人手不足でいつもピリピリとした空気が漂う職場だった。
顔色が常に悪くて、バイトの子達に会うたびに心配されていた。

上のマネージャーに直談判して移動になったものの、結局またその上司と一緒になった…。

肉体的、精神的にも限界を迎えた私は結婚を機に辞めることになるのだが、辞める時も大変だった。

「若いうちに結婚して人生棒にふってる」

だの

「こんな忙しいときに辞めるなんて考えが足りてない」

だの。

上司とつるんでるお局バイトにまで

「店長より先に結婚して辞める気持ちはどう?」
なんて冗談なのか嫌味なのかわからないことを言われたりもした。(冗談でも笑えない)

まあ、こんな感じで常に疲れきってた私は辞めた後も夢に元上司が出てきてうなされたりした。

だんだん夢に出てくる回数は減ったものの、年に数回は見る度にその日の気分は最悪だった。

あのときの思い出に囚われている気がして嫌だった。

それがこの間みた夢は違った。

同じ企業でも、まったく違う店舗で働く夢だった。
職場環境はよくて、ピリピリしてなくて知らない顔の同僚と思われる人達みんなと私は笑っていた。
仕事は楽しくて私も夢の中にいながら

「職場環境は最悪だったけど、私この仕事は好きだったんだよな」

と接客をしながら思い出していた。

お客さんと話して商品が売れたり、新商品のチェックをして家でも試してみたり。

知らないことを知るのは楽しかったし、お客さんとのコミュニケーションも好きだった。(おかげで業務成績はいい方だった)

目が覚めるといつものどんよりとした気分ではなく、なんだかスッキリしていた。
あの頃の思い出に囚われていた自分が昇華されたような、成仏したような。

厄祓いの効果かはわからないけど囚われていた自分が前に進んだ気がした。

あの企業で社員では絶対は働きたくないがパートで働きたいかも、なんて思ったりもした。

晴れやかな気持ちで朝を迎えることができたことが嬉しかった、そんな日。

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