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田舎移住005.畑(自然栽培)を始めました。

移住してから4ヵ月が経ちました。里はますます緑を深め、いまは白い栗の花が存在をアピールしています。
眺望は人を養う」。これは詩人・大岡信氏の有名な言葉です。「眺望」とは「見晴らし」であり「広く遠くまで見晴らすこと」です。つまり、ある視点(景色を見る地点)から視対象(眺められる対象物、山や海など)を眺望したとき視覚で捉えられる世界をいいます。

人は基本的に視覚から入ってくる情報をもとに「世界観」を形成していきます。それは「」にも影響をおよぼします。人は見ている世界によって「人格」を形成していくという意味で、大岡氏は「人を養う」という表現をしたのだと思います。

奴隷労働で時間に追われていたころは、空を流れる雲を見る余裕もなく、季節の流れにともなう景色の変化を味わう余裕もなく、「視野」が狭くなっていたことに、移住してきてあらためて実感しています。
こちらへ来てからは、太陽の光によって刻々と変化する山の景色だけでも、いつまでも眺めていられるほど引きつけられるものがあります。その風景の中を鳥がゆったりと風に乗って舞っています。山や木々が何かを語りかけて来るような気がすることもあります。自然と対話するとでもいいますか、そのような体験を経て、私はまた徐々に変化していくのだと思うと、とても楽しみになってきます。
人はときには「視点」を変え、「視野」を広げることで自分の世界と可能性を広げていくことができるのだと思います。

というわけで、私も行動して何かを語りかけてみようということで畑を始めてみました。
まず、基本的には農薬も肥料も使用しない「自然農法」を目指そうと思いました。「有機農法」ではなく「自然農法」です。「自然農法」は「有機農法」とは違います。「有機農法」は「有機肥料」を使います。いわゆる「栄養」を作物に与えることで成長をうながそうという考え方です。
しかし私は免疫の勉強をする過程で、人体に必要なのは「栄養」ではなく、体内の「微生物のバランス(秩序)」だと考えるようになりました。
したがって、作物を育てる際にも「栄養」より「微生物」を重視してみようと考えたわけです。

自然農法」も、細かいところでは様々な方法があり、いろいろ調べてみましたが、その結果、YouTubeで「自然栽培20年実施ノウハウ教えます」というチャンネルを運営しておられる今橋さんという方の考え方が納得できるものでした。
今橋さんは土の中には作物を育てるために必要なものはすべて揃っているという考え方です。したがって、わざわざ肥料という「栄養」を土に入れる必要はないというわけです。要するに、土は「完璧」だということです。

■自然栽培20年実施ノウハウ教えます


私は拙稿「田舎移住004.移住してよかったと思うこと。」で「自然は完璧であり、その動きに身をまかせることで健康を維持することができる」という趣旨のことを述べました。つまり人間の体も、その意味では完璧なのだと思います。自然に沿った生き方をしていれば健康でいることができるのです。土も同様なのだと思います。

今橋さんの説明では、作物は太陽の光を浴びて光合成をし、微生物に必要なエネルギーを出すとのことですが、たぶんそれは光合成によって生じた炭素化合物(糖類など)のことだと思います。微生物はそれを餌としているので、それに誘われて寄ってくるわけです。そして、微生物はミネラルを運んできますので、作物はそれを吸収して自分の栄養(エネルギー)とするということです。

そこには作物と微生物の関係のネットワークがあります。自然に沿うという観点からみれば、大事なのはそのネットワークを育てることで、いたずらにそこに関与してしまうのは、それこそ不自然なことだと思います。
そこにわざと肥料(栄養)を入れるということは、育てるべきネットワークに割って入るということで、作物は炭素化合物を出して微生物を誘わなくても手軽に栄養を得ることができるので、肥料の方に依存することになります。
そうなってしまうと、作物は微生物との関係のネットワークを構築することができなくなり、自然から離れていってしまうというわけです。

人間の体も同じようなものだと思います。体内の微生物との関係のネットワークを育てることなく、手軽な栄養に依存してしまうと、体は自然から離れていってしまうのだと思います。

作物と微生物の関係のネットワークというと、そこに深く関係してくる微生物に「菌根菌」というものがあるそうです。「菌根菌」は作物の根とつながって菌の根を網の目のようにどんどん広げていき、数キロ先から水やミネラルを引っ張ってくることができるともいわれています。たぶん、そのネットワークでは膨大な量の情報のやり取りが行われているのではないかと、私などは思うわけです。「情報のやり取り」というか、それはある種の「元素転換」といってもいいと思います。
元素転換」とは、生物がもつ微かな生体電流によって、ある元素を他の元素に転換することができるという考え方です。つまり、作物が成長するために必要な要素(元素)は、その働きの中で生み出されているのかもしれないということです。
もしかすると、土の中ではそのような活動が展開されているのかもしれないと思うと、いろいろと想像力が働いてワクワクしてきます。それが「自然」というもののダイナミズムなのかと。

というわけで、とりあえず「自然農法」の実験をしてみることにしました。厳密には「自然栽培」といった方がいいのかもしれません。その理由は、畑を完全に自然にまかせて雑草を生え放題にしておくのではなく、畑の様子を見ながら人間の手を加えて、ある程度コントロールする方がいいと考えているからです。要するに、里山は人間の手を入れないと美しい里山にならないと思うからです。その詳細については、おいおい説明していくつもりです。

で、まず今橋さんの方法を真似て、穴を掘るところから始めました。

80cm×120cmの穴です。この庭は畑用ではなく宅地用に造成されたものですので、やはり土は小石混じりの硬い土で、そのうえドクダミや笹などの地下茎があり、掘るのは困難を極めました。小石と地下茎を取り除く作業も大変でした。というわけで、20cmほど掘って諦めました。掘っているとき、端から見ると墓穴を掘っているように見えるかもしれないとか思いました(笑)。

今橋さんによると、微生物が豊富でなさそうな土地で畑を始めるには、山の落ち葉を土の下に敷きつめる「床堆肥」をするといいとのことで、裏山へ行って落ち葉を拾ってきて敷きました。

家のすぐ後の裏山へ行くと、道端にいくらでも落ち葉があります。
フカフカのベッドができました。気持ちよさそうです。

その上に土を被せなければならないのですが、庭の土だけでは足りないので購入しました。花の土屋さん「カネア」の「金の土」です。

宣伝ではありません(笑)。東京在住のとき、放射性物質検査をした安心な土ということで購入し、クリスマスローズを育て、まるで狂い咲きのように豪勢に花を咲かせることに成功し、私はご近所の方々に「神の手を持つグリーンハンド(草花を育てるのが上手な園芸家)」という称号を頂戴した過去があり、その経験から購入を決めました。で、今回あらためて土の成分を確認したところ、蛎殻が入っていることが判明しました。いわゆる有機物が入っていることになりますので、厳密に自然栽培を目指すのであれば、こちらのメーカーで出している有機物を入れていない「銀の土」を使った方がいいかもしれません。

畑に撒く種はなるべく「伝統野菜」を選びました。

というわけで、何も深く考えず、とりあえず実験のつもりで、思うがままに適当に種を撒いてみました。あとは土さんにお任せします(笑)。

右上に見えるじゃがいもとさつまいもは、キッチンに保管していたものですが、芽が出てしまったので、試しに埋めてみました。これも実験です(笑)。

その結果、3日後には早くも小松菜くんたちが芽を出し始めました。

1週間後には小松菜に続いて大根も芽を出し、写真ではわかりにくいかもしれませんが、人参とニラの芽も頭をのぞかせ始めています。教科書どおりです。

ここまでは順調のようですが、これから先、何が起こるかわかりません。私も勉強しながら作業していくという状態ですので、初心者が家庭菜園レベルで「自然栽培」を始めると、どのようなことが起こるのか、皆さんの参考にしていただけましたら幸いです。いまから練習をしておくこと、それが「行動」の一環となります。

里では週にに2度はそれぞれ2時間ぐらいかけて草取りをしないと、家の周囲が大変なことになってしまいます。草取りが日常です。畑作業をしているより、草取りをしている時間の方が長いです。農業を仕事としている方は、たぶん草取りが仕事のほとんどを占めているのではないかと思うほどです。
草取りをしていると、視点も体の動きも東京在住のころとは違ってきているのがわかります。草取りは無心になることができるので、私は好きです。瞑想と同じ状態になれると思います。そんな状態の中で、風の心地よさを感じてふと目をあげると、木の葉の輝きや空の青さに気づいてハッとすることがあります。これほどまでに世界って美しかったのか、という感覚です。そして、世界に対する信頼の気持ちが湧いてくるのです。
私は、もう少しの間、世界を信頼してみようと思います。


                                      

【後記】
自然栽培」を始めるために勉強している過程で「菌根菌」のことを初めて知りました。微生物の複雑なネットワークの存在を知ったことで、私の世界観はますます広がりをみせました。とても面白い題材が見つかりました。勉強したいです。時間が足りません(笑)。


【管理支配システムに組み込まれることなく生きる方法】
1. 自分自身で考え、心で感じ、自分で調べる
2. 強い体と精神をもつ
3. 自分の健康に責任をもつ(食事や生活習慣を考える)
4. 医療制度に頼らず、自分が自分の医師になる
5. 人の役に立つ仕事を考える
6.権威に依存しなくても生きていける道を考える(服従しない)
7. 良書を読み、読解力を鍛える(チャットGPTに騙されないため)

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