天巌 陸 amamine riku

いま世界は分かれ道に来ています。1つは思考や行動を管理される道、もう1つは自分の意志をもって世界を切り拓いていく道。後者の道を行くには確固たる意志(哲学)が必要です。そのための力となる「哲学」を参考になる映画なども紹介しながら展開していきます。

天巌 陸 amamine riku

いま世界は分かれ道に来ています。1つは思考や行動を管理される道、もう1つは自分の意志をもって世界を切り拓いていく道。後者の道を行くには確固たる意志(哲学)が必要です。そのための力となる「哲学」を参考になる映画なども紹介しながら展開していきます。

最近の記事

33.無課金おじさんで思い出した、日本経済衰退の歴史。

パリ五輪、私はテレビを持っていませんし関心もありませんでした。SNSでは開会式の気色悪いパフォーマンスが話題になっており、これを不快に思わず国家レベルのイベントとして受け入れている人が多数派であるなら、由々しき事態だと暗い気持ちになっていました。 あのようなパフォーマンスは、昔は「アングラ(アンダーグラウンド)」と言われていて、いわゆる一般常識とは違った独自の主張をする前衛的で実験的な表現として表舞台ではない場所で、反社会的かもしれないという自覚のもとで大人が遊びとしてやる

    • 田舎移住006.移住した私が体験した美のあれこれ。

      移住してから6ヵ月が経ちました。里は猛暑に見舞われています。日中は気温は35度にもなり、東京とあまり変わりません。その中で相変わらず草取りの日々が続いています。取っても取っても、翌日にはもう緑の草が伸びてきます。あらためて自然の生命力の物凄さを実感しています。 ご近所の方も「自然には勝てないよね〜」と言っておられ、私は激しく共感しました。地元の方々も、すでに諦観の境地に達して日々を過ごしているのだと思いました。私もそれを実感できただけでも、移住してきた甲斐があったと思ってい

      • 田舎移住005.畑(自然栽培)を始めました。

        移住してから4ヵ月が経ちました。里はますます緑を深め、いまは白い栗の花が存在をアピールしています。 「眺望は人を養う」。これは詩人・大岡信氏の有名な言葉です。「眺望」とは「見晴らし」であり「広く遠くまで見晴らすこと」です。つまり、ある視点(景色を見る地点)から視対象(眺められる対象物、山や海など)を眺望したとき視覚で捉えられる世界をいいます。 人は基本的に視覚から入ってくる情報をもとに「世界観」を形成していきます。それは「心」にも影響をおよぼします。人は見ている世界によって

        • 田舎移住004.移住してよかったと思うこと。

          移住してから3ヵ月が経ちました。里は梅や桜など花々の饗宴に続いて、あちらこちらで木々の新芽がグングンと成長する新緑の景色へと移り変わりました。景色の変化が目まぐるしく、植物というか生命のダイナミックさに驚かされている毎日です。 冒頭の写真のように、山々は深緑色の針葉樹と、広葉樹の芽吹きの黄緑色のコントラストが美しく目を楽しませてくれます。 花々の変化も驚きで、桜が終わると次々とニューフェイスが登場しています。前稿「田舎移住003.移住してわかったこと。」で紹介した石垣が芝桜

          田舎移住003.移住してわかったこと。

          田舎へ移住して2ヵ月が経ちました。我が家の桜も満開となりました。 いままで桜の香りに意識がいったことはなかったのですが、物干し台で洗濯物を干しながら桜の花に近づいていくと素晴らしい香りに包まれて「えっ?」と思います。別の世界に誘われているような感覚です。 何の根拠もないのですが、「幸せ」を感じるのですよね。どのような花でも「幸せ」を感じさせてくれますが、桜、とくに薄い桜色の染井吉野は格別な感じがします。不思議です。 「願わくば花のもとにて春死なむ その如月の望月のころ」と

          田舎移住003.移住してわかったこと。

          哲学025.人間を考えるうえでの基本中の基本。

          自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、鈴木財務大臣が、収支報告書に記載されていなかった収入のうち、政治活動に使わなかった残額を「個人の所得として納税を行うかは、議員本人が判断すべき」という認識を示し、話題となりました。 私たち国民は、納税を行うかどうか本人が判断することは許されていません。法律に従って納税しなければ罰せられます。ところが国会議員は法律に従う必要がないというのです。ということは、日本は法治国家ではないということです。 権力をもつ人々は法律に従うことな

          哲学025.人間を考えるうえでの基本中の基本。

          田舎移住002.田舎へ移住しました。

          1月の中旬に田舎へ移住する予定のご報告をさせていただきましたが、地獄の引越作業もなんとか乗り越え、移住が完了しました。 なぜ引越作業が地獄になってしまったかといいますと、自分ではほどほどに断捨離をしていたつもりだったのですが、いざ荷造りをすることになって愕然としました。本や道具や家具や衣類が多すぎることに気がつきました。トラック1台では運ぶことができない量です。 で、捨てなければならないということになったのですが、これが捨てるということはとても難しいことなのですよね。 本は

          田舎移住002.田舎へ移住しました。

          田舎移住001.田舎へ移住します。

          突然ですが、1月末に東京世田谷区から田舎へ移住することになりました。 かねてより、ゆくゆくは都会を離れて田舎の里山の近くに移住したいと考えていましたが、実際に実現するかどうかわからないという認識でいました。 友人たちに願望を語ると、みんなは勝手に「眺めがいいところ」「四季の変化がはっきりしているところ」と冗談半分に贅沢を言うので、そういうところを見つけるのは無理だろうとも思っていました。ところが、そういうところが見つかってしまいました! 疑り深い性格なので、いわゆる「引き寄

          田舎移住001.田舎へ移住します。

          哲学#024.美とは何か。

          「夕焼けが美しい」とは、よく使われるありふれたフレーズです。「夕焼けが汚い」と言う人はほとんどいません。「花が美しい」も同様です。 ところが、その美を「実感する」ということになると、それが「ある(在る)」人とない人に分かれてきます。   心理学者のV・E・フランクルは「人間にはただ二つの『人種』だけが存在する。誠実な人種と不誠実な人種だ」【※1】と述べましたが、その人種の違いとは「美を発見できる人種と発見できない人種」ともいえると思うのです。 「誠実」も「美」も「人間関係」に

          哲学#024.美とは何か。

          哲学#023.美人という神話と経済の関係。

          ほとんどの女性は「美人」を目指して日々たゆまぬ努力を続けていることと思います。私も子どものころから自分の実体以上に「美人」に見えるよういろいろ工夫して生きていました。ヘアスタイル、メイク、ファッションなど、雑誌などを参考に多くの時間とお金をそれに費やしました。勉強よりそちらの方に力を入れていた感があります。最近は整形をする女性も増えていますね。 女子が集まると、話題はお洒落と恋愛がほとんどでした。みんな、女性は「美人」を目指すことがあたりまえのように考えていたと思います。私

          哲学#023.美人という神話と経済の関係。

          哲学#022.輝く夢と、虚しい夢。

          「夢」という言葉には、「将来実現したい願い」という意味があります。 私は子どものころ、「将来の夢は?」と尋ねられるのが不快でした。「夢のある生き方はしたくない」と答えて、可愛げのない子どもだと言われていました。   なぜ、そんな答え方をしていたかというと、子ども心になんとなく「夢」という言葉に「愛」という言葉と同様のふわふわとしたいかがわしさを感じていたからです。そして、何よりも「夢」などより、生きる「根っこ」が欲しいと思っていました。   生きる「根っこ」とは何かというと、

          哲学#022.輝く夢と、虚しい夢。

          哲学#021.教育、何を教えるべきなのか。

          繰り返しますが、人は「人間」となるように教育されなければ「人間」になることはできません。 いまの世界の悲惨の元凶は、まともに成長して「人間」になった人の絶対数の少なさにもあると思います。   なぜそのようになってしまったのかというと、人の本能には子育てのノウハウが組み込まれていないためです。人は誰かから学ぶことなしには子育てを実行することができません。ところが多くの人は子育てを学んだ経験がないままに子どもをつくり、とりあえず食を与えて身体は「大人」サイズにまで育てます。 しか

          哲学#021.教育、何を教えるべきなのか。

          哲学#020.学校は何をするところなのか。

          人は生まれただけでは「人間」にはなりません。正しく養育されなければ「人間」にはなれません。 他の生物は、自分の子を自立させるための教育方法を生まれながらに知っていますが、人はそれを知らないで生まれてきます。人は、自分の子の教育方法を自分の頭で考えるしかないのです。 いま、日本の親の多くは、自分の子を自分で教育せずに学校へ通わせます。しかし、日本の学校は、はたして子どもを自立させるために教育するという機能を果たしているのでしょうか。 人間にとって自立するということは、一人前

          哲学#020.学校は何をするところなのか。

          哲学#019.お金のない社会は可能か。

          お金は人に求められているにもかかわらず、嫌われてもいる不思議な存在です。   「お金は淋しがり屋、たくさんある方へ寄っていく」   これは、1998年和歌山市の夏祭りでヒ素入りカレーを人々に食べさせた疑いで話題になった主婦の夫が言った言葉です。 この家族は夫婦とも無職なのにもかかわらず、立派な家を構え、裕福な生活を送っていました。なぜそのようなことが可能だったかというと、保険金詐欺をはたらいていたためと後に判明しました。自分や知人に多くの掛け金で保険をかけ、保険会社をだまして

          哲学#019.お金のない社会は可能か。

          哲学#018.触ることで開けていく世界、皮膚も考える。

          皮膚は嘘をつかないと思います。 触覚は、人の感覚器官のなかで最も精度が高く重要なものだとさえ思えるほどです。人は脳で考えているのかもしれませんが、皮膚がなければ、それは正しく機能しないとさえ思います。   「目は口ほどにものを言う」と言いますが、肌も、ものを言うと思います。好意をもっている人に触られるとうれしいですが、嫌いな人に触られると「虫ずが走る」ほど不快に感じてしまいます。 「肌が合う(気性が合う)」「肌を合わせる(心を合わせる)」「一肌脱ぐ(他者のために身を入れて尽力

          哲学#018.触ることで開けていく世界、皮膚も考える。

          哲学#017.恋愛の真のゴールは結婚ではない。

          恋愛の行き着く先は結婚ではないと思うのです。 今や恋愛結婚はあたりまえ、結婚は恋愛のゴールという風潮がすっかり定着してしまっています。しかし、私は疑問に思っています。人々は恋愛を間違って認識しているのではないかと思うのです。   「恋愛、この12世紀の発明」と言ったのは、フランスの歴史学者シャルル・セニョボスという人です。この言説は、「恋愛」は人の本能的な働きではないということを示しています。「恋愛」は人によって発明されたものなのです。 12世紀に発明された「恋愛」とはどうい

          哲学#017.恋愛の真のゴールは結婚ではない。