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重ね着した夢を脱いで

10年勤めた会社を退職する。
色々思い悩み、ようやく退職を決断できたとき、退職日がちょうど10年経つ、まさにその日となった。
10年間、いろいろあった。休職させてもらったこともあったし、泣きながら会議に参加したこともあった(オンライン会議で顔を出さなくていい環境でよかった)。

会社が嫌いなわけではない。職場の人間関係は良好。
けれど、たくさんある仕事のうち、これは天職だと思う仕事もあれば、どうしても苦手意識を克服できない仕事もある。
大きな組織であればあるほど、企業は成長していなければならず、同じく職員は成長を求められる。
私の思う成長の定義は、「できなかったことが、できるようになる。」である。苦手意識を克服できない仕事に直面したとき、私の中で「成長できない」の警告音が鳴り響く。

自分が生み出した警告音に苛まれながら、思い悩み、今まで漠然と考えていた退職について、本腰いれて検討し始めた。
「これは逃げなのではないか」「これはネガティブな決断なのではないか」
「辞めずにいたら、誰かが感謝してくれるのではないか」
脳内会議をした結果、これらの疑問に対する回答は、YESだった。

一か月悩んでも、決断はできなかった。どっちに転んでも自分の中で、すっきりしない。私が悶々としているのを見かねた友人が、「もっと色々吐き出した方がいいと思うよ」と言ってくれる。

私は「仕事の悩みは、仕事で解決する。」という考え方の人間だ。
仕事でミスをした・仕事で嫌なことがあったときは、仕事で解決し、自分を許す。プライベートでストレス発散はするが、根本的な解決にならないからだ。
例えば、誰かと喧嘩して、それを他の人に相談したって、もやもやはなくならない。最終的には喧嘩した相手と直接話をしないと解決しない。仮に喧嘩別れになったとしても、当事者同士でケリをつけたい性分の人間である。
面倒くさいとよく言われるが、自分としては道理が通っているので、考え方を変える必要はないと思っている。

退職を本当に決断できた瞬間は、上司2人と飲みに行ったときだった。大変な業務をともにこなし、家族よりも一緒にいたのではと思うほど濃い時間を過ごした2人だった。
退職を迷う心に引っかかるものは、いつも職場の人たちだった。その職場の人たちに、退職したい旨を伝えたら、自分はすっきりするのではないかと思い立った。失礼は承知の上で、20年以上キャリアが上の上司2人へ週末に連絡をいれ、月曜日に飲みに行った。
その上司2人には1年前くらいから退職を考えていると伝えていたので、退職を決めたことについて驚きはなく、すんなりと受け入れてくれた。
あれは大変だったねと思い出話に花を咲かせているうちに、自分が許されていくのを感じた。退職することは悪いことではない。十分頑張った結果、次のステップに進むのだ。そう思うことができた。

なかなかに面倒くさい性格だが、時間をかけてもこのステップを踏んで、ようやく私は次のステージにわくわくすることができた。

2023年は、自分に退職というプレゼントを贈った。






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