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【各学部の倍率と合格難易度ランキング】早稲田大学 地域探究・貢献入試



はじめに

この記事では、早稲田大学 地域探究・貢献入試の過去の入試データをもとに、各学部の倍率と合格難易度について分析しています。

早稲田大学の地域探究・貢献入試は、歴史が浅く、一般入試や共通テスト利用入試と比較すると、マイナーな入試方式です。ゆえに、情報が出回っておらず、入試データの分析は受験生にとって重要な情報です。

地域探究・貢献入試を受験予定の方のご参考になれば幸いです。


01|全体の傾向

志願者数

志願者数は年ごとに変動がありますが、全学部の志願者の合計は約200-300名で推移しています。

本入試の存在は早稲田大学を志望する受験生にもあまり知られておらず、また地方の受験生を対象にした入試方式であることも手伝って、開始から5年以上が経った現在でも志願者数は少数です。競争率の高い一般入試では、人気学部は約9000名程度の志願者数であり、それと比較すると非常に少ないと言えます。

例えば、商学部の2024年度一般入試の志願者数は7,730名でしたが、地域探究・貢献入試の志願者はわずか42名と約184分の1です。文学部は一般入試の志願者数が7,755人、地域探究・貢献入試の志願者数は33人と約235分の1でした。このことからも、地域探究・貢献入試の志願者数がいかに少ないかが分かります。

過去3年(2024-2022)を例にとると、地域探究・貢献入試の志願者数トップは文化構想学部であり、次点で商学部、法学部です。文学部、人間科学部、スポーツ科学部は例年志願者数が少ない傾向にあり、トップの文化構想学部とは大きな開きがあります。

ちなみに、2019年度、2018年度の入試データには、一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の志願者数も記載されていました。首都圏出身者の方はこちらの記事もご覧ください。


1次選考合格者・倍率

1次選考では、事前に提出する課題レポートの書類審査が行われます。1次選考の倍率は非常に低く、例年、志願者の過半数以上が合格します。2024年度で最も倍率が高かったのは文学部で、志願者33人に対し、1次選考合格者は20名、倍率は1.7倍でした。一方、最も倍率が低かった人間科学部は、志願者12人全員が1次選考を通過しています。

このことから、1次選考は一定水準の課題レポートが準備できれば合格可能なハードルの低い試験であり、多くの受験生に2次選考へのチャンスが与えられています。


2次選考合格者・倍率

他方、2次選考の合格者数は1次選考に比べて大幅に減少します。特に重要なのは、1次選考合格者数に対する2次選考合格者数の割合です。つまり、「1次選考合格者のどれくらいが2次選考に合格しているか」ということです。②÷③の値が高いほど、2次選考が厳しいことを示しています。

2024年度で最も倍率が高かったのは商学部です。商学部の志願者数は42人、1次選考合格者は38人、倍率は1.1倍でしたが、2次選考合格者はわずか5人、1次選考合格者に対する倍率8.4倍と高い競争率です。一方、最も倍率が低かった人間科学部は、志願者が12人、1次選考合格者は12人、倍率1.0倍、2次選考合格者は10人、1次選考合格者に対する倍率は1.2倍でした。

1次選考と異なり、2次選考の倍率は学部ごとに大きく変動し、2024年度の場合は1.2倍から8.4倍と広範囲にわたります。


最終選考合格者・倍率

最終選考(共通テスト)の合格者数はさらに絞り込まれ、各学部で5名未満です。2024年度のスポーツ科学部や2023年度の文学部、2022年度の商学部など、最終合格者が0名の学部もあります。

最終選考の倍率の高さから、地域探究・貢献入試の難易度が高いと判断されがちですが、最終選考は1次選考、2次選考と異なり、絶対評価で行われることが明記されています。つまり、他の受験生の得点は無関係に、共通テストで240/300点(80%)以上を得点できれば自動的に合格となるため、共通テストの得点が合否を左右する重要な要素となります。

■ 合否判定
2次選考合格者のうち、共通テスト(配点300点)の得点が240点以上の者を合格とします。

早稲田大学 地域探究・貢献入試 入学試験要項

例えば、2024年度の文化構想学部では、2次選考合格者15人中4人が最終選考に合格しています。これは、15人中4人だけが共通テストで80%以上を得点できたことを示しています。一方、スポーツ科学部では2次選考合格者3人全員が共通テストで80%以上を得点できなかったため、最終選考合格者は0名となりました。

つまり、2次選考(総合試験)合格者であっても、共通テストで80%を超えることのできる受験生は少数であり、共通テストが関門であることが分かります。



02|過去の入試データ

2024年度

  • 2024年度は地域探究・貢献入試の開始以来、初めて志願者数の合計が200名を切りました。

  • 1次選考の倍率は全学部平均で1.4倍と過去最も低い数値です。

  • 人間科学部は志願者数12名全員が1次選考に合格しています。1次選考合格率100%は過去初めてです。


2023年度

  • 2023年度の志願者数は全学部合計242名と、前年より増加しました。

  • 1次選考の倍率は全学部平均で1.5倍でしたが、文学部と文化構想学部の倍率が特に高く、1.9倍でした。

  • 最終選考の合格者数は全学部で合計16名と少なく、特に文化構想学部では最終選考の合格者が0名でした。


2022年度

  • 2022年度の1次選考倍率は平均1.7倍とやや高めでした。

  • 商学部では1次選考合格者数が31名と多い一方で、2次選考での倍率が6.0倍と非常に高く、競争が激しいことが分かります。

  • 最終選考では、多くの学部で合格者が出なかった年となり、特にスポーツ科学部では最終選考合格者が0名でした。


2021年度

  • 2021年度は全体的に志願者数が少なく、特に文学部の志願者数は53名と低かったです。

  • 1次選考の倍率は全学部平均で1.6倍であり、安定した倍率となっています。

  • 文化構想学部の2次選考倍率は36.0倍と非常に高く、最終選考合格者が0名でした。


2020年度

  • 2020年度は1次選考の倍率が全学部平均で1.5倍と比較的低かった年です。

  • 文学部の2次選考倍率が11.0倍と高く、最終選考合格者数は2名にとどまりました。

  • 人間科学部では1次選考合格者が54名と多かった一方で、2次選考の倍率は4.8倍でした。


2019年度

  • 2019年度の1次選考倍率は全学部平均で1.4倍であり、安定した倍率を維持しています。

  • 文化構想学部の2次選考倍率は3.7倍と比較的低く、最終選考合格者数は4名でした。

  • 商学部では1次選考合格者数が37名と多い一方で、2次選考倍率は7.4倍と高く、厳しい選抜が行われました。


2018年度

  • 地域探究・貢献入試初年度にあたる2018年度は1次選考の倍率が全学部平均で1.4倍でした。

  • 文学部と文化構想学部の2次選考倍率はそれぞれ2.9倍、3.4倍と高く、競争が激しいことが分かります。

  • スポーツ科学部の最終選考合格者数は2名と少なく、全体的に最終選考の合格者数は低い年でした。


03|各学部の合格難易度ランキング

2018-2024年度の「1次選考倍率」「2次選考倍率」をもとに各学部の合格難易度をスコア化、ランキング化しました。

合格難易度スコアは、「平均1次選考倍率」と「平均2次選考倍率」を掛け合わせた数値です。スコアが高ければ高いほど難易度が高いことを示しています。このスコアにより、各学部の合格の難しさを相対的に比較することができます

平均的な合格難易度スコアは4.73です。商学部が他の学部と比較して非常に高い難易度を示している一方で、人間科学部はかなり低い難易度であることが分かります。

1. 商学部

  • 1次選考平均倍率: 1.21

  • 2次選考平均倍率: 6.64

  • 合格難易度スコア: 8.02

商学部は最も合格難易度が高い学部です。1次選考の倍率は比較的低いものの、2次選考の倍率が非常に高く、このことがスコアを押し上げています。※商学部は2024年度で募集停止


2. 文学部

  • 1次選考平均倍率: 1.64

  • 2次選考平均倍率: 3.72

  • 合格難易度スコア: 6.09

文学部は2番目に合格難易度が高い学部です。1次選考の倍率が他学部と比べて高く、2次選考でも一定の競争が続くため、高いスコアとなっています。


3. 法学部

  • 1次選考平均倍率: 1.46

  • 2次選考平均倍率: 2.87

  • 合格難易度スコア: 4.18

法学部は中程度の難易度を示しています。1次選考の倍率は他学部と遜色ありませんが、2次選考での倍率が比較的抑えられているため、合格難易度スコアも中程度に収まっています。


4. スポーツ科学部

  • 1次選考平均倍率: 1.53

  • 2次選考平均倍率: 2.64

  • 合格難易度スコア: 4.04

スポーツ科学部も法学部と同様に中程度の難易度です。2次選考の倍率が低いことが、合格難易度スコアに影響しています。


5. 文化構想学部

  • 1次選考平均倍率: 1.42

  • 2次選考平均倍率: 2.83

  • 合格難易度スコア: 4.01

文化構想学部も中程度の難易度を示しています。1次選考の倍率は平均的ですが、2次選考の倍率がやや高めです。


6. 人間科学部

  • 1次選考平均倍率: 1.30

  • 2次選考平均倍率: 1.56

  • 合格難易度スコア: 2.03

人間科学部は最も合格難易度が低い学部です。1次選考および2次選考の倍率がともに低く、2024年度の1次選考では志願者全員が通過しています。


まとめ

以上のデータから、早稲田大学の地域探究・貢献入試は、一般融資や共通テスト利用入試と比較して志願者数が全般的に少なく、1次選考を突破するハードルは比較的低いことがわかります。しかし、2次選考や最終選考では倍率が大きく上がり、特に共通テストで80%以上を得点することが重要な関門となります。

特に、「志願者に対する1次選考合格者の割合(①÷②)」および「1次選考合格者に対する2次選考合格者の割合(②÷③)」の高さが、選考の難易度を示す重要な指標となります。

人間科学部の合格難易度が相対的に低いため、合格可能性を優先的に考える場合、人間科学部への出願が選択肢に挙がりますが、本入試では課題レポートや総合試験との兼ね合いから、最も志望度の高い学部に出願することをおすすめします。

志願者数に対して最終選考合格者数は非常に少ないため、本入試の受験を検討されている方は、レポートや小論文のスキル以上に、共通テスト本番で80%を超えられるかどうかを判断基準にすることをおすすめします。


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