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山下かつみ物語 第二章~暗黒の日々

音楽で食べていきた~い

専門学校卒業後、破天荒にも家を飛び出し約8か月、音楽だけは続けていた。
わけあって家に戻ったものの、勝手に飛び出し突然帰ってきたムスメ。
その上、音楽一本で食べていきたいなどと言うてしもたワタシ。
今から考えたらハチャメチャや。

姉はアカデミックなクラシックのピアニスト。
父にしたらワタシのやっている音楽はもはや音楽の「オ」の字もない。
「音楽一本で食べていくやとーーー!
そんな分けわからんヤ〇ザなもんに手を出しよって、この親不幸者ーーーー!」
ってな勢いだ。
それでもこのままだと野垂れ死んでしまうという変な親心か危機感からか、有難いことに職の世話をしてくれた。

結婚と育児と音楽

とりあえず働かないと、とコネで入った職場でフツーの事務員となり、趣味でやっていたバンド仲間だった彼とめだたく?結婚!
彼もミュージシャンの端くれでドラマー、同じバンドでワタシは歌ってた。
かつみ24歳。

一人目の子どもも授かり、育児もがんばった。
ある日、冷蔵庫から取り出した牛乳をいっきに飲んだら、なんや息苦しくなり、焦ったらドンドン呼吸が苦しくなった。
当時、グリコ森永事件が巷では連日報道されており、すっかり飲んだ牛乳に毒が仕掛けてあったと思い込んだ(笑)
これがパニック障害の始まり~今でいう「過呼吸」。
救急車で運ばれる途中、車内の処置でスーパーの袋を口にかぶせられた(笑)。
で、病院に着くころには治まっていたという・・・(;'∀')

なんやかんやとありながらも歌を続けてた時、尼崎にバナナホール系のライブホールが完成。
そのこけら落としでボーカルコンテストが開催されるとの情報キャッチ。
もちろん出演!
そしたらなんなく優勝してしまったのだ!
歌った曲はボズ・スキャッグスの「We are All Alone」

よっしゃ!ワタシいけるんちゃう?と思ったのは言うまでもない。

この頃にコピーで演ってたのはソウル系、ロバータ・フラッグやダニー・ハサウェイなど。
低音を生かしてツインボーカルの男性パートがお決まりの定位置だった。


子どもが幼稚園に入ると、延長保育を利用して28歳の時に復職。
この頃から夫とはギクシャクしだし、なんやかんやとあり離婚!
かつみ30歳。

これから一人で子どもを育てていかなあかん。
子どもを扶養に入れてもらうよう会社に願い出た。
翌週の朝、出社したら大学卒の若い女の子がワタシの席に座っていた。
離婚なんぞするいい加減な奴は必要ない!
学歴も大したことない!
と今なら訴えられるような完全なパワハラで有無を言わさずリストラ。
誰もが耳にしたことある大企業のグループ会社で、こんなことがまかり通っていた。

見かねた関連会社の外注業者が拾ってくれた。
市営住宅に住みながら、交通費をうかすために尼崎から塚本まで自転車で通勤。
ホンマに息つく間もなく育児もがんばりながら必死で働いた。


2度目の結婚

1995年1月17日、阪神大震災。
家の中はグチャグチャ、2週間くらい靴を履いたまま生活してた。

この震災で、自分でも気づかないくらいかなり精神的にダメージがあったようで、かなり弱気になっていた時に彼氏ができた。
これで楽になれる・・・そんな思いがどこかにあって再婚!

この夫がDVだと気づかずに・・・
かつみ36歳。

特に酒が入るともう大変だった。
二人目の子どもを妊娠中も殴られた。
出産後も子どもたちのために我慢して耐えた。
体重は38㎏まで落ちた。

2年くらい耐えたある日、酔った勢いでまだ歩きも出来ない子どもを夫がはたいた。
その場で子どもがふき飛んだ。
もうアカン!
ある日、夫が出勤するのを見送り、着の身着のまま逃げた。

やっと離婚調停に入った時、夫の訃報が入った。
夫の死はもちろんショックだったが、その悲しみに追い打ちをかけるかのように夫の両親から人殺し扱い。

アンタがこんなことせんかったら息子は死ななかった。
アンタが殺したんや!

わずかな死亡保険金の手続きに姑が同行し、受け取ったその場で全部もっていかれた。
もう心身ともにズタズタだった。
パニック障害も再発し、電車にも乗れなくなった。

二人の子どもを抱えながらパートを掛け持ち。
経済的に苦しくて、米が買えなくてうどん玉やスパゲティで凌いだ。
それも底をついた時の主食はキャベツ!

ここで、娘たちとかつみの記憶の相違!

かつみはキャベツをちぎって出してたと記憶している。
娘たちは丸ごとドーンとテーブルに置いていた、と。
ホンマに丸ごとドーンやったんか?
その丸ごとドーンを3人で一枚ずつ剝がしながら食べてたんだろか?
ソースか何かつけてたんかな?

今じゃ娘たちとの笑い話になるが、この頃が「かつみ暗黒の日々」だった。

次回に続く・・・

かつみが立ち上げ毎年開催している音楽イベント
あまがさきJAMフェスティバル

第一章~なんやかんやで音楽!
「第三章~稲妻が走る!」
「第四章~ガンとの闘い」
「最終章~ボーダーレスの音楽祭」


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