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小説の神様

しばらく忘れていた言葉を、つい先日思い出した。
マンガの神様と言われる手塚治虫。氏に関する記事を読んでいた時のことだ。
“そういえば、小説の神様って言われてる人、ぱっと思いつかないな”
小説って、色々な分野に渡ってるし、ある人物が爆発的に進歩させたとか特定しづらいのかもしれない。
それで思い出したのが、ある作家のこんな言葉。

「わたしより小説の上手い作家はたくさんいるだろう。けれど、わたしより小説を書くことを愛している作家はいない」

すごい言葉だ。
小説を愛している、ではなく、小説を書くことを愛している。
すごい言葉だけど、それで思い出した。
昔は、そう思っていたこと。

自分だけの、自分の心の中の『小説の神様』に奉納する文章を書いている。
SNSで「いいね」がもらえなかったり、どこかの誰かに評価されたとかされなかったとか。そんなことにまぎれて、いつの間にか心から遠ざかってしまっていたけど。
きっと、最初に望んだことはとてもシンプルなことだった。

小説を書きたい。

きっとわたしだけじゃなく、創造に携わる人たちはみんな、自分だけの小さな神様を胸に抱いて、モノを作り続けているのではないだろうか。

そういえば十代のころ、すごい夢を見たんだった。
なんか……「国家反逆罪」みたいな罪で投獄されて、数日中に死刑になるって状況で、牢獄の中でペンを持って、わたしは小説を書いているのだ。
家族の面会も断って、なんとか生きているうちに仕上げようと必死になっているのだ。
そして、たぶん仕上がると踏んでいる。

あれほど楽しい夢は、いまだかつて見たことがない。



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