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そして私はババアを目指す

 ふざけたババアになりたい。それが今の私の夢である。別にふざけているわけではない。どっちだ。

 今までの私は頑張りすぎて、自分に厳しくあらねば、と思い込んでいたから、一緒にいてなんか息苦しいヒトだっただろうなあと思う。
 周りの人、よくそんな私に付き合ってくれてたよ、ありがとう。
 みんなたぶん天使とかだろう。みんなのプリけつがキラキラと輝いて見える気がするわ…。

 要するに格好つけたかっただけなのだ。出来る自分、ステキな私、すごいと言われるオトナの対応ができる人。
 でも格好つけてる姿って、結局のところ格好悪い。
 人間ってそんなにすごくないし。
 ダメなところも嫌なところも悪いところも絶対あるし。
 そうやって自分の問題を人間全体の問題にすり替える姑息な手段も、せこくて人間くさいし。
 私が格好つけてるのって、そんなすごくない自分を認めたくなくて、繕おうとしてるだけだったんだなーと。

 これからは深刻な時でも、何か不運に見舞われた時も、他人から否定的に見られても、出来ないことは出来ないって、嫌なものは嫌だって言っちゃうからヨロシクね! 何をヨロシクすりゃいいのか分かんないけど、とりあえず4・6・4・9!
 もうさあ、その場を何とか制御しようとかするのやめたの。
 できんものはできんーって、もう逃げちゃうからね~。

 従ってわたくし、普段から全力でふざけていく所存であります。
 どんなことでも真正面からぶつかって、相対することだけが正しいことじゃないからね~。一歩下がって視点をずらして、ふざけたことの一つも言っていたいのであります。
 そこからがっちり組み合うのも良し、いなすのも良し、土俵の周りをぐるぐると逃げ回っても、星を拾えばいいのである。

 そういうふざけた存在って、男の人には許されるけど、なぜだか女の人には許されないよね。女芸人が「女芸人」の枠にしかいられないみたいなものだと思う。女にお笑いは許されていないのだ。

 ましてババアである。

 ババアとは若くなくて、美しくない女への侮蔑の言葉だ。くそババアは性格などを含む内面への悪口だが、ババアは外面への悪口だ。
 「くそジジイ!」は相手を面罵したい時に使えるが、「ジジイ」そのものにはあまり悪口感がない。「ババア」の場合と比べて、ダメージが低く感じられる。

 それは女性が若いことと美しいことに、より高い価値を付けられているからだろう。ババアが罵倒の言葉として成立する世界では、女性の価値基準の第一位、二位が若いと美しいだ。
 次点は「家庭的な」だろう。これには家事能力の有無だけでなく、やさしいとか愛嬌があるも含まれる。その世界にはこの三つ以外、項目すらないと思う。

 その点からみると、「ブス」は美しくないことの一点突破だ。それ故に力がそこに集中して破壊力は増す。「デブ」は太っていることは醜いという悪口だ。
 どれもルッキズムが生み出した、最悪の呪いの言葉だと思う。人を呪わば穴二つ。これが恐ろしいのは、言った人にも百発百中で返ってくる呪いだからだ。
 どんなに美しい人だって、美の基準は人それぞれだから、「お前がどれほどのものなんだ」と言われて言い返せる人は少ない。ましていつまでも若いままでいられるわけなどないのだから。
 気づくと気づかないとに関わらず、必ずその言葉に自分も傷つけられている。なんだそれ、誰も得しないじゃん!!

 そんな不毛な争いから、全力で遠ざかりたい。人生は有限だから、そんなことに関わりあっている時間がもったいない。
 もはや若くもないし、時代の美の基準で測られて、美魔女なんて美容ビジネスのカモにされるのはまっぴらごめんだしな。

 あと、第三位の「家庭的な」もだけど、誰かを癒してあげる家庭的な女としての称号なんていらないもんね。
 愛する家族や友だちや大切な仲間はたくさんいるけど、助け合うのはお互いさまだ。迷惑かけることもあるけど、そん時はごめんとかありがとうって言って、いつかそれは返せばいい。
 一方的に与えるだけの聖母なんていない。
 いや、いるかもしれんけど、私には無理。なぜっておたんこナスだから。私はふざけた人生を全力で生きていくから~。

 だから私はババアを目指す。
 「ババア」である状態を全肯定するよ。別に美しさは人に測られるものじゃないしな。私は私が美しいと思うことをするし、私が美しいと思うものに囲まれて生きていたいだけだ。
 「ババア」が悪口である世界から、真っ先に逃げ出すわ。
 まだ「ババア」が侮蔑の言葉である社会なんて、くそくらえだ。あくそくらえなんて、お下品ですわね。うんこでもお召し上がりくださいませ~。

 今後の人生、「ババアですけど何かご迷惑でも?」と、しなやかにしたたかにふざけ続けることにする。ババア同盟、賛同者求む。ジジイも可。

  

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