高尾山 採集 7/27
今回は採集記です。
1.無風の昼
7月下旬~8月中旬の高尾山と言えばアオタマムシ。
私も探しに行ったのですが家から3時間もかかるため、飛来時間に間に合わず…
なぜか歩いてたコブスジツノを回収しておしまい。
わるくないけど、前も採ったし…
2.空振りの夕刻
昼はうまくいかなかったが、夕刻からは活動する虫が変わってくる。
特に高尾算を代表するヨコヤマヒゲナガカミキリも夕刻から活動を始めるらしいのでそれを狙って後食するブナのひこばえを見ていく…
が、いたのはウスバカミキリのみ。
残念。
3.色々いた夜
今日はあまりとれずに山頂まで来てしまったが、根本的に真夏の昼は昆虫が少ないもの(正直アオタマムシがなかったら昼間に来るつもりはない)。
ここからが、クワガタのような夏虫の本番の時間帯。山頂でクヌギの木から樹液が出まくっていたのを夕方確認していたので様子を見ると、アカアシオオアオカミキリ太刀が走り回っていた。
アカアシオオアオカミキリはかつては里山の雑木林などで見られていたらしいが減少し最近まで局地的な分布を示していたカミキリだ。しかし、近年になって東海、関東地方で増加している。
神奈川や東京では公園では爆発的という発生をしている話を聞くが、高尾山でも発生している。大阪にいたころは遠出して採っていた虫なので、関東では増殖しているとはいえ採れてうれしい虫だ。思いのままにアカアシオオアオカミキリを採集し、樹液にいた小さなケシキスイも回収して頂上を後にする。
頂上すぐ下の樹液が出ている木には昆虫はあまり集まっていなかったが、代わりにヒキガエルがいた…お弁当をつけて
不思議なことにこのヒキガエルは足の付け根にヒメトゲムシをつけていた。
ヒメトゲムシはオオキベリアオゴミムシのように両生類が関わる生態をしているわけではないのだが…
樹液に住み、水生昆虫と類似する特徴を持つヒメトゲムシならマメガムシ方式の脱出ができる…かもしれない?
そのあと向かい側の倒木を見ると面白い虫がいた。クロホソゴミムシダマシだ。
この甲虫は珍しいことにキクイムシの捕食者である。
キクイムシを捕食する昆虫はホソカタムシやカッコウムシ等たくさんおり、クロホソゴミムシダマシもそのひとつである。
一方で、ゴミムシダマシとしてみると異端児である。ゴミムシダマシの仲間は朽ち木食か菌食がほとんどであり、たんぱく質を食べるとしても死骸である。しかし、このクロホソゴミムシダマシは生きた虫をとらえる肉食であり、その点で異端児である。
この木からは他にもホソカタムシがいくつか取れたので、キクイムシがベストコンディションなのだろう。フラスはでていてもキクイムシはおらず、という木が少なくない高尾山においては重要ポイントなのかもしれない。
そのあとは少し下山を進めてツガノサルノコシカケが生えた倒木を見る。
いつものように、ゴミムシダマシたちがついているので採集しておく。
こいつらはおそらくツガノサルノコシカケやそれに似た針葉樹(スギヒノキを覗く)に生えるキノコに付く昆虫で、モミが多い高尾山らしい昆虫ではある。
その後、薬王院の回り道でネブトクワガタを採集、高尾山は生息限界付近らしく珍しいらしい。むし社の図鑑によるとなんと、アオタマムシやヨコヤマヒゲナガカミキリよりも珍しいとか。西にいた自分にはあまりわからなかったが…
そして、薬王院のブナの幹に白いカミキリを見つけた。
ヒゲナガゴマフカミキリだ。このカミキリは主にブナやミズナラをホストにするブナ帯のカミキリ。標高を上げたブナ帯では見つけやすいようだが、都市近郊の低山でも見れるような虫ではない。
高尾山を代表する虫ではないが、高尾山の環境を示す虫だろう。
そのあとは、ミヤマクワガタのメスを数匹拾ってケーブルカー駅についた。
この日はオス0メス4とかなり偏っていて、採集圧の高い高尾山ではオスが優先的に消えてしまうのかなと思ったり。
最後に雑にスイーピングをしていた網の底を確認すると、ムツモンミツギリゾウムシが入っていた。
ミツギリゾウムシはその細い姿から有名な昆虫なのだが、どうにも会いずらいなかまであり、このムツモンミツギリゾウムシは会いやすい方だがブナ帯の虫である。
これもブナが残る高尾山らしい虫であり、最後に予期しないであいに満足しケーブルカーで高尾山をあとにした。
4.まとめ
アオタマムシやヨコヤマヒゲナガのような代表選手には出会えなかったものの、モミにつくニセコブスジツノゴミムシダマシやブナ帯の虫であるヒゲナガゴマフ、一方で関東で侵攻するナラ枯れのクロホソゴミムシダマシや謎の大発生を起こしたアカアシオオアオカミキリのようなタイムリーな虫も見れたよい採集であった。
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