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映画『総理の夫』感想

映画館が土日祝休館という事で公開当日とはいかなかったが、休みの調整がきき、わが県では公開初日の昨日9月24日映画『総理の夫』をみることができた。

記憶が薄れないうちに初回の感想を綴っていく。

ここからは大いなるネタバレがありますのでお気を付けください。



パジャマ姿の日和がテラスで大好きな鳥をみているシーンから始まるこの映画。


愛おしそうに鳥を眺める顔。
子どものように嬉しそうに出張の準備をする姿。


『人畜無害』いつかのインタビューで中谷美紀さんが田中圭を現した言葉を思い出す。


開始数分で日和の温かさや穏やかさ優しさが伝わってきて目元と口元が緩んでしまう。
映画館の中には年配の女性と男性が多かったのだが、日和の一挙手一投足に声を出して笑う人もいて、彼の人柄に空気が柔らかくなった気がした。


出張から帰ってくると妻が総理になっていて人生が一変した日和。


「えっ?」「えっ?」信じられない事態に混乱している姿は滑稽で笑ってしまう。


総理大臣になった凛子の姿が流れる大きな画面を車の中から見ている日和がとても嬉しそうで、ずっと応援してきたんだろうなと思うと早くも胸が熱くなった。


日和と凛子、この夫婦の最も素敵だなと思ったシーンは、日和が出張から帰って来た時。
きっとものすごく刺激的で疲れた一日を過ごしていたはずの凛子が「出張どうだった?」と日和に尋ねる。
嬉しそうに話す日和を目を細めてみている凛子さんがとても優しくて、この夫婦は疲れていてもしっかり会話をしてきたんだろうな。と思った。
もう少し私も夫の話しに耳を傾けようと反省もした。


凛子の総理大臣就任を喜ぶ日和。
凛子に日記を差し出し「何か書いて」とお願いするシーン。
お母さんに着せられたちょっとレトロなスーツで凛子さんを見つめる日和くんが本当に優しくて温かくて胸が熱くなった。
「一日の終わりに日和くんがいてよかった」凛子の台詞に共感しまくった。


仕事の疲れがピークにきていたらしい私は、癒されまくってボロボロと泣いた。


付き人、母親、兄、凛子の秘書、ことあるごとに怒られては巻き込まれる日和くん。
巻き込まれる役を演じたら天下一品の田中圭。
その姿は可哀想だけれど、やっぱり笑っちゃう。
責められて謝る事の多い日和だけれど、凛子の事になると兄や母親に必死に抵抗するところ、凛子への強い信頼と愛が感じられる。


日和の職場のシーンにはホッコリした。
個性的な仲間たちにも弄られている日和だけれど、雨に濡れてずぶ濡れになって帰ってくるシーンではみんながタオルを持ってきて日和の身体を拭いてあげる。
もう・・・みんな日和の事が可愛くて仕方ないんだな。
中盤になると日和が愛おしくて心のうちわを振りまくりたい気持ちになっていた。

自分の好きな事を犠牲にして、凛子なら大丈夫と信じて支える姿。
人のために涙する姿。
こんな人が傍にいたら頑張れちゃうよね。

中谷美紀さん演じる凛子もとても素敵な人だった。
声から愛と説得力が伝わり、リーダーにふさわしいとても魅力的な人。
そしてどの角度から見ても美しい。
名前の通り凛とした女性だ。

そんな凛子のピンとはった糸をほぐしてくれるのは日和くん。
そんな日和くんに凛子が詰め寄るシーンがある。
その姿に大いにビビる日和くん。
一瞬のその表情から、やっぱり凛子さんにもこれまで色々と怒られてきたんだろうなと想像すると不憫な日和くんがより愛おしくなる。

妊娠、切迫早産。
自分の行動ひとつで子供を危険にさらしてしまう、凛子の恐怖。
母親ならだれもが感じたことのある感情だと思う。
数か月前までただの娘だった自分が急に背負わされる責任感は重すぎて押しつぶされそうになる。


男女平等とはいうものの、子供を産めるのは女性だけで産むためには自分の環境をかえなければいけない時が必ずある。
それを自分らしい生き方の終着点とするのか、大きく飛躍するための出発点とするのか、ラストの日和くんの言葉を聞いて色々と考えさせられた。
自分はもっと飛躍したいと思った。


そして、自分には出来ることは何もないと思っていても、自分の行動が誰かのパワーになることもありえる。
そんなメッセージも受け取った。


愛情をたっぷりうけて育ったであろう二人の子どもめっちゃ可愛いくて「パパだってママと行きたい」と言う日和くんが相変わらず愛おしくて、これからの凛子の活躍と日和の翻弄される人生を想像できるラストも大好きだった。
そして登場人物みんなが個性的だけど愛すべきキャラクターだった。

ものすごく見やすくて、笑いどころも沢山あるこの作品。

「胸に手をあてて考えてみなさい」的な空気感もないのに、いつのまにか大きなエールをもらっていた。

働きながら、子育てに翻弄され、まだまだ出来ることはないか模索している、いち働く母としては大いに心に響いた物語だった。

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