マガジンのカバー画像

素数日

111
いつの頃からか覚えていないが、厚洋さんが逝ってからの日数を数えるようになった。このnoteをを始めたのは、一年以上経ってからのこと。 命日だけではなく、記念日も思い出していたが、…
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

若き日をめぐり巡りて雛の夜

若き日をめぐり巡りて雛の夜

 せっかく出したお雛様。今夜でお仕舞い。明日はお片付け。長い長い二人だけの毎日を過ごしてください。二人で居られる「幸せ」をちゃんと味わってくださいね。
 結局、せっかく出したお雛様は、真愛とチャーちゃんの二人にしか見てもらえず、しまう事になった。

 ひな祭りはもともと五節句のひとつ、「上巳(じょうし)の節句」という。
 この日は古代中国では忌日(いみび)とされ、そのけがれを祓うため水辺で体を清め

もっとみる
「今でも、キスしてる?」って、そんなのいいだろう?聞かなくったって!901日

「今でも、キスしてる?」って、そんなのいいだろう?聞かなくったって!901日

 愛しい人が亡くなって901日。彼の入院していた病院のエントランスホールで、名前が呼ばれるのを待っていた。
 福原愛さんの報道が「コロナ禍」も「菅さんの息子」も席巻している。
 なんとも、平和というか、お節介というか、どうでもいい事を公共の電波で伝えているのだろうと呆れる。
 それを見ている自分にも呆れた。
 コメンテーターが言う。
「愛ちゃんと旦那さんは仲が良かったように
 見せていたんですよ。

もっとみる
919日 会いたくて

919日 会いたくて

 雪柳の白が切ないです。
 愛しい人が逝ってしまって919日。
 会いたくて、話したくて、髪を撫でてもらいたくて、情緒不安定な真愛になりました。

「お前の描く白い花の絵が好きだ。」
 彼の優しい声が聞こえます。
 
「命がけの恋」をして、命がけで愛されて、彼はひとりで逝ってしまいました。
 彼の書き続けていたメモ日記に「今日からは私が書く」と記して、狂ったように書きました。
 亡くなってからも書

もっとみる
記念樹

記念樹

 君の名前を彫りたまえ
 やがて天まで とどくほど
 大きく育つ木の幹に
 大理石と比べたら
 立木の方が得なんだ
 彫り付けられた君の名も
 一緒に大きくなって行く
  
 堀口大学訳のコクトーの詩である。

 初任の学校には大きな欅の木があった。
 根本は一本なのに、2Mぐらいから2本に分かれる。真愛は、勝手に「恋人の木」って思っていた。
 だから、卒業する大好きな子達一人一人と写真を撮った。

もっとみる
夜桜や白きうなじのかすかなり

夜桜や白きうなじのかすかなり

 我が家の桜が満開になり、ひとひら・ふたひらと散り始めている。今夜から雨が降るという
夜桜は見られても、雨の中。
 夜雨の桜もいいかもしれない。
 

 月は十三夜。
 未だ天中には達しない頃に見上げる月と桜は格別である。
 厚洋さんが元気だった頃から、彼の飲み屋さんからのお迎えの帰りに「夜桜見物」を楽しんだ。
 家に大きな古木の桜があるにも関わらず、遠回りして帰ってくれたのだ。今思えば、結婚して

もっとみる