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30秒小説『テナント』

「こなださ、むっちゃ面白いことがあってさ」
「なになに?」
「隣町の例の廃ビルあるじゃん?」
「うん」
「あそこ通りかかってたらね。声がするわけビルの中から、で近づいてみたら、ぼわーと何か白い――」
「ちょっと待って!それ怖い話じゃない?」
「最後まで聞いて!で近づいてみたらなんと小僧寿しなのよ」
「は?」
「小僧寿しが、ぼんやり光ってふわーと宙に浮いてたの。むっちゃ笑えない?」
「いや、怖いよ」
「後で調べたら、そのビルのテナントに小僧寿しが入ってたんだって」
「あれ?なんでだろ……ちょっと怖くなくなった」

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