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20秒小説『孤独飲ませろせがむ友』

「フラれたんだって?」
「嗚呼」
「飲みに行くか?」
「いい」
「そう言うな」
「独りにしてくれ」
「奢るから」
「いや、いい。知ってるか?"千年の孤独"って酒」
「焼酎だろ?知ってるよ」
「実はこんな日のために買い置いてある。今夜は独り、家で飲み明かすさ」
「せめて五百年にしとけ、千年は永すぎる」
 俺の肩を無理に抱き、友が歩き出す。ネオンが歪む。
「馬鹿やろうが」
 鼻声で毒づくと、髭面の笑顔がすぐそこでくしゃり。


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