5分10秒小説『ロバとデニール』
今週の映画紹介
『Organ of love and suffering』
邦題:『黄金ナマコ』
「目が覚めるとそこは海底で僕は黄金のナマコだった」という衝撃的なナレーションから始まる本作。主人公のランチは、海底の暗闇で異彩を放つ黄金の身体を持つナマコです。
当てもなく海底を彷徨う彼の脳裏に、不思議な光景がフラッシュバックします。
マストに整列するウミネコの群れ
テーブルに座り談笑する若い男女
包丁を振り上げる白い帽子の男
そして
「special lunch」という謎の囁き
ランチは、自分が存在する理由と過去の記憶を求めて旅に出ることを決意します。
天敵のカニとの迫力満点の格闘シーン、ランチの黄金の身体を狙うダイバーからの逃走劇、仲間のナマコとの熱い友情そして恋。
コルシカ島南に広がるティレニア海の美しい自然を背景に繰り広げられるドラマチックなストーリーは、きっとアナタの心に興奮と感動の渦を巻き起こすことでしょう。
主人公のランチを演じるのは、撮影の為に3ヶ月を掛けて減量を行い、体重を500gにまで落とした名優、ロバート・デニーロ。ヒロイン役のメスナマコ、マリアを演じるのはナタリー・ポートマン、ランチを追うダイバー役はティモシー・シャラメ、その他実力派の俳優陣が脇を固め、まさにザ・ハリウッドといった豪華キャストたちでお届けする壮大な物語、是非劇場でご覧ください。
映画レビュー
『黄金ナマコ』
かとちゃんぷさん
3月1日鑑賞
評価:★★★★☆
『デニーロの演技力に脱帽です!』
*注 ネタバレあり
いきなりのネタばらしで恐縮ですが、主人公のランチは、実は黄金ナマコでは有りませんでした。船上レストランで、ウエイターがうっかり海に落っことしてしまったオムレツ、それがランチの正体です。
ランチを追うダイバーですが、実は料理を注文した若い男で、彼は恋人へのプロポーズを成功させる為、サプライズとしてオムレツの中に結婚指輪を仕込んでいました。
つまりダイバーの正体は、黄金ナマコで一攫千金を狙う悪党なんかではなく、プロポーズの為に命懸けで指輪を探している青年だったわけです。
その事実を知ったランチは、自ら割腹して指輪を取り出し、青年に手渡します。このシーンでは館内のあちこちから啜り泣く声が聞こえてきました。間違い無く映画史に残る名シーンだと私は感じました。
割腹した後ランチは、ゆらゆらと海底に沈んでゆきます。誰もが「嗚呼、ランチは死んでしまったのだ」と思うシーンですが実は・・・ここから先のネタばらしはしません。衝撃のラストは是非映画館で確認して下さい(^_^)ノ
ここまで読んで皆さん、何かお気付きになりませんか?
そうです。ランチを演じたデニーロは、自分の正体がオムレツであることを観客に悟らせることなく終盤までナマコを演じきったのです。
私はこの映画を3回見直しましたが、冒頭から終盤までのデニーロはどうみてもナマコにしか見えませんし、終盤以降はオムレツにしか見えません。
全く異なる二つの役柄を表情や動きだけで違和感なく見せる演技力に何度観ても鳥肌物が立ちます。もはや彼が演じる事の出来ない役柄なんて存在しないのでは?脱帽です!
PS-早くもネット上では、オムレツの中に指輪を仕込んでプロポーズする『オムポーズ』という新ミームが誕生しているようですよ。
『黄金ナマコ』
ロバとデニールさん
3月1日鑑賞
評価:★★★☆☆
『痛々しくて観ていられないです』
*注 ネタバレあり
体重85kgから僅か500gにまで体重を落とすという荒技を成功させたデニーロ、その役者魂に対しては素直に敬意を表しますが、過度な減量は命を危険に晒す行為であることは間違い無いわけで、人道的にどうなのかな?と強く感じました。
体長20cmのデニーロを見て、一緒に鑑賞していた姪っ子が怯えて泣いてしまいました。トラウマになってしまったのではないかと心配です。
今後ハリウッドは何らかの自主規制を行うべきです!少なくとも子供と一緒に観ることはオススメできません。
ただし、ラストシーンは秀逸!腹が破けて瀕死状態のランチを、中盤で死闘を繰り広げボコボコにされてしまったカニが、見事な手術で生き返らせるという展開はまったく予想できませんでした。
そして、恋人のメスナマコ、マリーと共に未知の海を求めて旅立ってゆく感動のラストシーン、エンドロールに突如現れる「あれから1年後」の文字そして、海底に無数のミニオムレツが張り付いている映像は、次回作を期待させる印象的なシーンでした。
総論、ナタリー・ポートマンのナマコ最高!
『黄金ナマコ』
すんどぅぶどぅぶさん
3月1日鑑賞
評価:★★★★★
『気付いたの俺だけ?』
回想シーンで船上のマストに止まっているウミネコの群れの中に混ざって、ウィレム・デフォーがカメオ出演しています。開始から6分30秒くらいの1カットです!ほんの一瞬ですが。
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