2023年1月の記事一覧
季節はいつだって青信号だ
昔の恋人が夢に出てきた。わたしはめったに夢を見ないか、あるいは覚えていないので、都合、2023年の初夢ということになる。
場所はどこかのレストランで、相手はわたしの前で幸せそうにフォークを口に運んでいて、けれどわたしは二人の物語がとっくに終わっていることを知っていた。皿の上から味のしない晩餐をけずりとっていくわたしを、相手は笑顔で見つめているのだった。
夢であるという自覚こそなかったが、とにか
赤ちゃんのころからみんな支え合って生きてんのや
かつて押しも押されもせぬ繁華街だったまちの、小さな喫茶店に入った。世は十日戎、新春飾りのまだ残る店内に、タバコの煙のすきまを縫って身体を滑り込ませる。
300円の珈琲を片手に細々とした仕事の作業をしていたら、ふいに斜向かいのテーブルから獣のような男の慟哭が響いた。
車椅子に乗った、70代後半くらいの老人だった。介護事業所のスタッフと思しき男性を前に、自立した生活がままならなくなっていることへの