見出し画像

自身でさえも騙していた。

この26年間、誰かを『羨ましい』等と思ったことは一度だってなかった。

私が、彼に出会うまでは。

『お前は人間として、大事なものが欠けている』

かつて、私には吊るんでいた、悪友とも呼べる人がいた
これはその人から言われたコトバ。

何の気もなしに言ったんだと思う。

別段、特別な想いがあってそういうことを言ったんじゃないのだろう。
そんなことは分かっていたけれど、5年近くも前に
悪友から言われたそのひと言は、ずっと私の頭の中を駆け巡っている。


私には会いたい人がいる。もうずっと会ってない。
多分、私が彼にとって都合がいい存在じゃないから、
思っていたのと違うから関わるのをやめたのだろう

きっと忙しいから会えないのだろう
自分にもそういう時代があったから分かる

そんな言い訳を勝手に思い浮かべては、頭の中に並べて消して、の繰り返し。

こんなにも会いたいのは、私だけなのだろうか。
誰にも分からない、私にも分からない。


でも、果たして私が今、彼に再会できたとして、正直に
胸の内を明かすことができるだろうか。

『あなたに出会って、私もやりたいことを始めようと思った』

私は全てを諦めていたフリをしていた。自分の心さえも完璧に騙して。

『羨ましい』

ちゃんと持っていた、忘れようと、消そうとしていたキモチ。

『お前は人間として、大事なものが欠けている』

私に欠けているというのは、それだ。熱望とも切望とも言えるような
それでいて少し闇を帯びるような、何とも形容し難いそれは。
人に認められたいという気持ちにも近い、嫉妬のようで、そうでない、
それでいて、どこか前向きな。そういうキモチのカケラ。

今更になって分かる。自分にないものと他人の手元にあるもの。

『どうせ、私にはできない』

ずっとそういって、やりたい事から目を逸らして
全力で逃げていたのは私だった。

いつしか自分の本音が分からなくなっていたんだと思う。

いつだって応援してくれた人は居ただろうか。
馬鹿にされたって、頑張れって言ってくれる人がいただろうか。

もしも、私があの時、あの頃本気でそれらを望んだとしたら。


私は今、羨ましい。色んなモノもいろんな人も。

夢がある彼も。全てを投げ出してもいいから
追いかけるモノがある彼が。

心を預けられるパートナーがいる人、
好きなことを共有できる友人との時間がある彼女も

深夜から明け方まで語り尽くしても
飽き足らない同志、

永遠に心の底から笑っていられる居場所。


果たして、それらが自分に手に入るモノなのかは分からない。
努力もしないで得られるモノでないのは分かっている。

自分が居たいと望む場所はどこか。

よく私は他人に羨ましがられる、疎まれる
その意味が今よく分かる。

他人になくて私が持ってるモノ、
まだ希望と呼ぶにも、夢だと心を躍らせるまでには至らない
小さくてカタチにもなっていない頼りないモノ。

そして、それをうまく活かすことも
使うことも思うことを創ることさえままならない自分に苛立ちが募る。

他の人にはできるのに自分にはどうして、できないのだろうか。

でも、そうだよな、他の人が何十年も前から目指していたものを
今から目指すことになるんだから、まだ芽が出なくても
アタリマエなんだよな。

無理矢理じゃなく、嘘偽りもなく
思うがままに楽しく創りながら過ごしていたらきっと
自然と掴めるものなのかな。

他人に言われたからじゃなく、自分が目指したいと心の底から望むものを
こうして世界に放っていきたいと思う。

The things is  実はね…

いつか貴方に私の本音を打ち明けられる時が来るといいな

今はまだ、その時じゃないだけ。

でも、もう逃げるなよ私。


#Z世代の独白
#自分語り
#自分物語
#エッセイ
#夏に語る私の夢
#織原あると

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?